
1923年9月1日の関東大震災発生直後に起きた朝鮮人大虐殺と現在の入管問題を見つめ、その根底にある「差別」の歴史を掘り起こしたドキュメンタリー映画『ナウ・アンド・ゼン』が、東京・ユーロスペースほか全国順次公開中。
23年6月、改正入管法が与党の賛成多数で可決され、難民認定を求める3回目以降の申請者が強制送還の対象になるなど、難民の状況がさらに深刻化する中、状況を変えるべく多くの市民が行動を起こすようすが描かれる。
大学生の宮島ヨハナは学内に難民支援団体を立ち上げ、国際基準に沿った入管法への改正を求める。東京で牧師を務めるヨハナの父・牧人は、これまでに200人以上の仮放免者の保証人となっている。
入管法が改正された23年は、1923年の関東大震災の際に起きた、朝鮮人や中国人に対する虐殺事件から100年が経過した年でもあった。朝鮮人・中国人に対する虚偽情報によって拡散した虐殺事件の犠牲者は、6000人に上ると推定される。この事実を日本政府は未だ公式に認めていないが、アーティストや映画製作者、そして市民団体が、この隠された歴史を広く知らせるために活動している。
若者たちのグループ「百年(ペンニョン)」は、市民が虐殺現場を訪れるワークショップを定期的に開催。在日の映画監督・呉充功は、学生時代に朝鮮人虐殺に関するドキュメンタリーを制作し、当時何が起きたのかという事実を広めるため、40年に渡り上映活動を続けている。カメラはそれら若者グループや研究者、仮放免当事者の声を記録し、 日本の排外主義の長い歴史と、植民地主義の歴史を未だに反省せず、忘却しようとする国家的アイデンティティーについて切り込み、問題点を浮き彫りにする。