全国の民団や傘下団体が1月6日の始務(業務開始)式を終え、各地で2025年の新年会を開催した。実質的な業務の始まりだ。韓日の国会議員ら内外の来賓を招いたパーティ形式あり、団員の焼肉店でのアットホームな集いあり、オリニを含めたファミリー型の団らんあり。韓国内の政局混迷に胸を痛めながらも、植民地支配からの解放80周年、韓日国交正常化60周年の節目の年を団員とともに歩む、その第一歩を踏み出した。
【中央】 民団中央本部は10日、東京本部と共催で2025年新年会を都内のホテルで開催し、首都圏の地方本部三機関長や団員、傘下団体幹部、韓日の国会議員ら内外の来賓含め約300人が出席した。 式典では24年一年の活動を振り返る映像が紹介され、7月のパリ五輪で銀メダルを獲得した女子柔道の許海実選手と8月の全国高校野球選手権で優勝した京都国際高校の部員らが新年挨拶をした。続いて24年12月29日に発生したチェジュ航空機事故で犠牲になった179人の冥福を祈り、参加者全員が黙とうした。
金利中団長は開会辞で「今年は韓日国交正常化60周年と日本の植民地支配から解放された80周年の節目を迎える。100年を超える在日の歴史の中で、私たちは翻弄され、苦しんできた。その当事者として自由と民主主義、世界平和を一貫して願い求めてきた」と述べた上で「民団を中心にしながら、韓国をルーツに持つ日本国籍者や新定住者同胞を含めた総力を結集し、揺らぐことのない韓日の平和友好親善を発展させる」と強調した。
駐日韓国大使館の朴喆熙大使は「赴任した初日から強調したのは『揺らぐことのない、後ずさりしない韓日関係』だ。政治的変動の影響を受けない、堅固で多層的な韓日関係を築いていかねばならない」と呼びかけた。
韓日議員連盟の朱豪英会長は「昨年末に起きた本国の政治状況に不安を感じている皆さんに慰労の言葉を述べたい。政治家の一人として混乱を一日も早く収束するために最善を尽くす」と述べた。
韓日親善協会の金泰煥会長は「非常戒厳や弾劾訴追により韓日関係の将来を心配する声があるが、韓国社会が見せた力強い民主主義の復元力は明日への希望に繋がっている。両国関係をより一層強化し、発展させる努力を惜しまず追求する」と強調した。
在外同胞庁の卞喆煥次長は「民団が同胞社会の求心点となり、新定住者や帰化者を包容し、グローバル韓民族共同体の力量拡大のために同胞社会結集の主導を願う」と求めた。
日韓議員連盟の長島昭久幹事長(自民党)は「国交正常化60周年記念のロゴマーク『両手を携え、よりよい未来へ』というキャッチフレーズにあるように、未来に向けて関係を発展させる」と誓った。
日韓親善協会中央会の河村建夫会長は「大阪・関西万博に合わせて親善協会大会を大阪で開き、コリアデーに韓国パビリオンを訪れる」と明かした。
公明党の三浦信祐参議院議員は「人と人、文化、安全保障などあらゆる分野で日韓交流を加速する年だ」と述べた。
立憲民主党の大西健介衆議院議員は「日韓議連の運営委員長として民団の皆さんの協力を得ながら今年を歴史に残る年にしていきたい」と強調した。
日本維新の会の金村龍那衆議院議員は「新しい時代の日韓関係を築く上で政治がしっかりと努力していかなければならない」と訴えた。
国民民主党の鳩山紀一郎衆議院議員は「明るい未来のために国会議員の一人として努力していきたい」と決意を表明した。
日本共産党の山添拓参議院議員は「定住外国人の地方参政権を超党派で成立させたい」と意欲を示した。
社会民主党の福島みずほ党首が「差別・排外主義をなくしていく」と結んだ。
東京本部の李壽源団長乾杯の音頭で韓日交流祝賀の宴が始まった。
【大阪】民団大阪本部(金明弘団長)と大阪韓国商工会議所(朴良基会長)主催の「2025年在大阪韓国人新春年賀交歓会」が11日、大阪韓国人会館で開かれ、各支部団員や婦人会、関係者ら約500人が参加した。来賓には駐大阪韓国総領事館の陳昌洙総領事はじめ韓国側から韓日議員連盟の朱豪英会長、金碩基副会長らが参席し、日本側は太田房江参議院議員(自民党)、石川博崇参議院議員(公明党大阪府本部代表)、辻元清美参議院議員(立憲民主党代表代行)、岩谷良平衆議院議員(日本維新の会幹事長)ら多数がかけつけた。
金団長は「韓日親善の懸け橋として、とりわけ大阪在住の同胞が解放以来、親善のための努力を重ねてきたと言っても過言ではない」と述べ、「韓日国交正常化60周年、大阪・関西万博開催の今年は、在日の心意気が試される年でもある。万博開催を成功させ、60周年の気運を盛り上げながら、韓日親善がより一層強固になるよう共に尽力していこう」と呼びかけた。
陳総領事は「今年は節目の年であり、在日同胞の知恵を集約して、韓日親善と在日同胞社会が発展することを願う」と期待を寄せた。
朱会長は「大阪御堂筋沿いに駐大阪韓国総領事館が建設できたのは、在日同胞の皆さんの協力のおかげであると称え「本国は皆さんのことを決して忘れない。韓日関係が未来的志向で前進することを確信している」と強調した。
太田参議院議員は「韓国と日本は切っても切れない間柄。人的交流、経済関係の発展に力を合わせていきたい」と述べ、石川参議院議員も「日韓交流やイベントがたくさん行われる今年は意義ある歴史上の年になると思う」と期待を込めた。
席上、2024年度駐大阪韓国総領事表彰が行われ、受賞者7人に陳総領事から表彰状が贈られた後、壇上で鏡開きが行われ、鄭鉉権常任顧問が乾杯の音頭をとった。
【愛知】民団愛知本部(河隆實団長)は12日、「民団あいち・新年のつどい」を愛知韓国人会館で開催し、団員ら約230人が参加した。金星秀駐名古屋韓国総領事はじめ、大村秀章愛知県知事、広沢一郎名古屋市長、安江伸夫参議院議員(公明党)、西川厚志衆議院議員(立憲民主党)、古川元久衆議院議員(国民民主党)、中里高之名古屋市会日韓議員連盟会長ら多数の来賓が出席した。
河団長は「国交正常化60周年を迎え、今年はたくさんの行事を行いながら交流を深めていこう」と呼びかけた。金総領事からは「地域社会で韓日の相互理解、友好関係をより一層築くための活動に力を入れていくとともに、在日同胞社会の団結に積極的に支援、協力していく」と祝辞を述べた。
大村知事は「今年の国交正常化60周年を一つの契機として、名古屋と韓国とのつながりが更に深まることを願う」と期待を込め、広沢市長も「名古屋市民に韓国の食、ドラマ、K‐POPなど韓国の文化が根付いており、これからも大いに促進させていきたい」と語った。
国家有功同胞表彰では、丁海遊顧問に大統領表彰、民団愛知本部に国務総理表彰(団体表彰)が贈られた。
【兵庫】民団兵庫本部(金相英団長)と一社在日韓商兵庫(趙珉一会長)主催の「2025年度兵庫県韓国人合同新年会」が15日、神戸市内の会館で開かれ、団員、各顧問、婦人会ほか関係者ら約300人が参加した。駐神戸韓国総領事館の李相烈総領事はじめ一社在日韓商の柳和明会長、日本側から久元喜造神戸市長や桜井周衆議院議員(立憲民主党)、伊藤たかえ参議院議員(公明党)らのほか日韓親善兵庫県議連の山本敏信会長ら兵庫県議会議員、神戸市議会議員ら多数がお祝いにかけつけた。
金団長は「今年は阪神・淡路大震災から30年という節目の年。この震災は、ボランティア元年とも言われボランティアが支援する輪が広がる契機となったとともに、災害に対する防災対策が大きく進んだ30年とも言える」と振り返り、「今年は韓日国交正常化60周年のほか、4月には神戸空港から念願の国際チャーター便が運航されるなど、韓日関係が良好になるよう私たちができること、交流促進に力を入れていこう」と強調した。
趙会長も「神戸空港国際便運航により、神戸から韓国仁川へ皆さんと共に飛び立ち、新しい兵庫、神戸の時代の幕開けを共有するとともに、韓国と兵庫、神戸のビジネス交流の活性化推進に向け尽力していく」と挨拶した。
李総領事は「神戸空港国際化、関西万博の開催などは、韓日両国の交流にもつながる。皆さんの協力をお願いしたい」と呼びかけ、久元市長も「新たな国際都市としての神戸の可能性を大いに生かして、神戸、関西全体の発展に貢献できるような取り組みを全力で進めていく」と述べた。
【徳島】民団徳島本部(姜盛文団長)の新年会が12日、徳島市内で開かれ、団員と日本人の友人らのほか、駐神戸総領事館の李ヨンチョル副領事や神戸韓国教育院の金載昊院長、徳島県会議員、市議会議員らが出席した。来賓は三つのグループに分かれたチヂミ焼き大会の審査員を務めた。チームが一致団結し、それぞれ工夫を凝らしたチヂミを焼き上げ、優勝チーム、アイディア賞、個人最優秀賞などにプレゼントを渡した。会場はおおいに盛り上がりをみせた。参加者は「焼き方がよくわかり良かった」などの声が聞かれた。
韓服試着会では男性用パジチョゴリも準備され、夫婦で試着したカップルが「こういう機会はなかなかない。とても嬉しい」と喜んだ。懇親会ではトックやソンピョン等などが出された。「韓国のお正月気分を体験してもらうとても良い機会になった。参加者の喜ぶ姿が何よりも嬉しい」と姜団長も主催者冥利に尽きる表情だった。
【佐賀】民団佐賀本部(朴弘正団長)の「2025年同胞社会大統合新春の集い」が12日、佐賀市内のホテルで開かれ、団員ら約50人が参加した。一部の式典で朴団長は「今年は光復80周年と韓日国交正常化60周年の有意義な年を迎える。関連事業の推進に皆さんの協力をお願いする。本国の政局に対して大きな不安と動揺があると思うが、こういう時こそ皆で団結し、カッチカジャを合言葉に一緒に歩もう」と呼びかけた。
駐福岡韓国総領事の祝辞代読後、今年の3・1節記念式典で「韓日国交正常化60周年特別講演」を予定している佐賀大学の教授からの新年挨拶もあった。
二部のオリニわくわく会では、参加したオリニが民団手作りのお菓子セットとお年玉をプレゼントされ大喜び。夏・冬季のオリニ交流会で学んだ「歳拝」のかわいい動作に会場が温かい拍手と笑顔に包まれた。「ほのぼのとした雰囲気の新年会で大変居心地がよかった」「民団の新しい年が始まったと実感した」と参加者が喜びの声を上げた。