在日本大韓体育会（宋栄奉会長）は１９日、第５７回定期総会を韓国中央会館で開き、第１号から第５議案をすべて原案通りに採択した。

　宋会長は「昨年のパリ五輪で女子柔道韓国代表選手として出場した在日の許海実選手が銀メダルを獲得し、在日女子初の五輪メダリストに輝いた。また、京都国際高校が夏の甲子園で優勝した。在日アスリートが世界に羽ばたいた年だった。今年１０月に開催される第１０６回全国体育大会・釜山２０２５（釜山国体）海外同胞の部で優勝できるよう次世代アスリートの発掘、育成に全力を尽くす」と挨拶した。

　金利中・民団中央本部団長は「体育会はスポーツという文化を在日選手を通じて本国社会に送ってきた。民団としても選手発掘に尽力したい。在日の存在、力を本国にアピールするのが今度の大統領選挙。在外選挙権登録に協力を」と求めた。京都出身の宋基泰常任顧問は元京都国際学園の理事長を務めた。「京都国際高校は狭いグランド、悪い条件ながらも野球部の選手が甲子園で優勝した。栄誉を称えるハングルでできた校歌が全国にとどろき、本国からも喜びの声が届いた。感無量だった。本国に派遣した柔道の許選手のように今後も在日選手の活躍と会の発展を祈る」と挨拶した。

　２４年度第７２期の活動報告では、４月に開いた創立７０周年記念式典や大韓体育会との業務協約書締結などを評価した。２５年度の活動方針では、２５ぶりに釜山で開かれる「国体」と２０２６アジア大会（名古屋市）に向けて同胞選手の発掘、育成などに全力を尽くすと決めた。

　在日柔道選手テーマに講演会 「許海実に期待」

　総会終了後、「韓日スポーツ交流について‐柔道を中心として」をテーマに講演会が開かれた。講師は豊田正彦・共同通信社特別顧問。１９８６年のソウル・アジア大会や８８年ソウル五輪を取材したほか、アトランタ支局長として９６年アトランタ五輪、長野支局次長として９８年長野冬季五輪を報道した。

　在日の五輪メダリストは６人。すべて柔道選手だ。６４年東京五輪で金義泰選手が銅メダル、７２年のミュンヘン五輪で呉勝立選手が銀メダルを獲得した。両選手が生まれ育った神戸の旧神楽小学校（現長田南小）は柔道熱の強い地域だった。天理大で鍛えた金選手が韓国柔道のパイオニア。引退後に韓国柔道の礎を築き、在日大韓体育会や在日大韓柔道会が本国の国体選手派遣などで今日まで繋げてきた。

　豊田顧問は「３年後のロス五輪で許海実選手が在日コリアン初の金メダルを獲得することを期待する。日本人が在日を正しく理解し、新たなまなざしを向ける契機になってほしい」と語った。