


中央本部は10月12日、東京・港区の韓国中央会館で次世代育成に取り組む各地の指導者を対象とした「オリニ事業促進セミナー」を開いた。オリニ事業の現状把握と再構築、情報交換を目的に文教局が企画、在外同胞庁が後援した。
第5回目の今年は「これならできる!今、私たちにできること」をテーマに掲げ、北は東北・秋田から南は九州・福岡まで、東京、神奈川、千葉の首都圏を中心に全国5都県から文教担当者やオリニ教室講師、青年会中央本部、オブザーバーら17人が集まった。
開会のあいさつに立った中央本部文教局の李相哲局長は「今年は約200人を超えるオリニが集まり本国の地で3泊4日の日程でジャンボリーを開催した。とても意義深い事業ではあるが、中央本部は一過性のオリニ事業しかできない。やはり一番大事なのは地方本部、支部に根付くオリニ事業が必要だ。中央本部はオリニジャンボリーで次世代事業の種は蒔ける。あとは大きく育てて綺麗に花を咲かせるのは地方本部・支部の力だと思う」と激励した。
セミナーではオリニ事業の必要性を再確認し、支部や過疎地方本部での実現可能なオリニ事業は何か、オリニ事業の情報交換と意見交換の場としてオリニ事業に携わる関係者の連帯感強化等、各地の取り組みを共有して支部や地方本部単位で今何ができるかを模索した。
文教局の李優志主任は、全国のオリニ対象事業やオリニジャンボリーなど、今年度の次世代育成事業について説明した。その中で李主任は、「次世代育成事業は民団との距離を縮める機会。民団を知るきっかけにして欲しい」と強調した。
開催事例紹介の質疑応答では、神奈川本部の閔秀智文教部主任と東京台東支部の金智恩文教課長が発表した。
閔主任は、オリニサマーキャンプを例に挙げ、民団の活動を知ってもらうために大人や周囲の人を巻き込む大切さを説明した。また、「行動せねば同胞の絆は自然消滅する」という危機感を持って意識的な共感に訴える重要性を説いた。
台東支部の次世代対象の韓国語と伝統文化体験プログラム「ハングル探して三万里」の成功例を紹介した金課長は、「ハングルやテコンド教室に該当するクラスが無くても、団員や支部内でやりくりするなど、一人の参加でも大切にしている」と説明。続けて「SNS連絡も一斉送信ではなく個別に行うなど、きめ細やかな繋がりが大切」と強調した。また、文通や絵本を送るなど他支部と繋がる事業を展開。「子供の少ない支部とメールではなく文通をすることで、中央の行事などで直接会った際の喜びが何倍もなる」と説明した。
中央本部文教局の徐順子副局長は、後半期の文教事業について、クリスマス会をはじめとしたオリニ冬季行事や韓国文化体験教室などの実施方針を明らかにした。続けて、幼少期における教育の重要性を強調。「韓国にルーツを持つ人間としてどう生きるのか。在日の両親はどういった教育をしたいのかを考える必要がある」と強調した。さらに「民団事業は在日韓国人としての自信を付けさせ、日本の学校では教えてくれない在日としてのプライドを自覚できるようになる」と続けた。
一方、参加者からは、「今回会場に展示されていた教材を使いたい」「全国でどんな活動をしているのか、どんな悩みを抱え、解決策を出しているのかなど実務者間での情報交換ができるセミナーの継続をお願いしたい」などの要望が寄せられた。また、「オリニ事業だけでなく次世代事業の現状と課題、やるべきことが再確認できてとても有意義だった」といった意見が寄せられた。