掲載日 : [19-08-07] 照会数 : 13710
「こんな時こそ交流」 対馬「通信使行列」無事挙行…韓国から60人参加
[ 国書交換式に臨む朝鮮通信使正使(右側)と日本側の対馬藩主(左側) ]
[ 市内約1.5㎞を練り歩いた朝鮮通信使再現行列 ]
[ 前日の歓迎会で「こんな時こそ民間の交流を続けることが大切」と強調する呂健二民団中央本部団長 ]
【対馬】長崎県対馬市の「厳原港まつり」で江戸時代に朝鮮王朝から来日した外交使節団を再現する韓日交流イベント「朝鮮通信使行列」が4日、開催された。日本と韓国の関係が冷え込む中、韓国から訪れた60人を含む計約300人が当時の装いで街を練り歩き、関係改善を願った。民団中央の呂健二団長も現地を訪れ、民団対馬支部の関係者とパレードを見守った。
前日に行われた対馬市主催の朝鮮通信使歓迎晩餐会で呂団長は「こんな時こそ民間の交流を続けることが大切。朝鮮通信使の善隣友好精神を皆さんが示してほしい」とし、「交流の灯を消してはならないという熱い気持ちに感謝を込めて」と乾杯の音頭をとった。
韓国側は朝鮮通信使の衣装で、日本側は武士など江戸時代の衣装をまとい、太鼓や笛を響かせながら市内中心街、約1・5㎞を30分間パレードした。
「国書交換式」では対馬藩主の宗対馬守役を務めた陸上自衛隊対馬駐屯地の山口勝司令が「今後も私たちは『平和の遺産』朝鮮通信使の『誠信交隣』の精神を東アジア、ひいては世界に広げていこう」と述べ、朝鮮通信使の正使役を務めた国立釜慶大学の南宋祐名誉教授が「文化交流こそ政治的、経済的葛藤を解決する鍵になる」と答えた。
対馬の朝鮮通信使行列再現は1980年ごろ、地元の商工会が中心となって始め、毎年8月にある「厳原港まつり」のメイン行事になっている。韓国から釜山の民間団体らが毎回参加。対馬観音寺の仏像盗難事件で、13~14年の2年だけ取り消されたが、40年近く続いてきた。
「途絶えさせぬ」釜山文化財団
今年は悪化する韓日関係によって取りやめの危機だった。釜山市の呉巨敦市長が先月23日、日本の経済制裁に遺憾の意を表明し、朝鮮通信使行列を含む交流事業の全面見直しを宣言したからだ。しかし、釜山文化財団が「こういう時こそ民間交流を続けるべきだ」と強く主張し、予定通りパレードが実現した。
同財団の姜東秀理事長は「交流の歴史を途絶えさせてはならないと、メンバーらは自費参加も決意していた」と述べていた。ただ、友好姉妹都市の職員計約20人が出席を取りやめ、釜山市から寄港予定だった通信使の復元船も中止になった。
縁地連絡協議会が11月に全国交流会
NPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会(松原一征理事長)では11月に滋賀県長浜市で全国交流大会「第26回朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流長浜大会」を開催する。
(2019.08.07 民団新聞)