【高知】「ネットワークを作ろう!高知県同胞家庭訪問」活動が11月1日から3日にかけて行われた。2022年6月、財政難から中央本部の直轄となった民団高知県本部の再生のため、今年新たに直轄団長に就任した中央本部・金政弘副団長が中央の任職員および高知本部の事務局とともに高知県内の同胞、団員宅を一軒一軒訪問し、民団高知への支援、協力を訴えた。
高知県内ではこれまでも18、19、22年に訪問活動が実施されており、今回が4回目の訪問活動となった。
家庭訪問活動は民団組織と同胞との絆を深め、ネットワークをより強化するために県内の同胞家庭を訪問するもので、災害時に救援物資や義援金を伝達するなど、円滑な救援活動を展開するために、どこに誰が居住しているかという調査も兼ねている。被災同胞の詳細が把握できていれば、より迅速かつ緻密な支援活動が展開できたというこれまでの体験が、活動の原点になっている。
民団が創団して80年近い歳月の中、世代が進むにつれて同胞同士の交流も減少する傾向にあり、日本国籍を取得して組織を離れていく同胞も増えていった。民団でも時代に応じて規約を見直し、地方本部・支部の国籍条項を撤廃、今では日本国籍者でも組織幹部として本部、支部をけん引する貴重な人材となっている。高知県内にも日本国籍を取得すれば民団を脱退するという誤った風潮があり、開かれた組織であることを団員や新規定住者にアピールしていくことも今回の訪問の一つだ。
今回の訪問先は民団との疎遠な世帯を中心に、3日間で34軒を訪問、21世帯と面談した。訪問先では居住状況の調査と同時に団員からの要望などを聞き、民団からは領事手続きの日程やオリニ事業、奨学金事業などを紹介、特に毎年開催されている「高知県同胞のための法律相談セミナ‐」の積極的活用を呼びかけた。
訪問先では、長い間民団に協力できず恐縮する団員や、入団以来初めて民団が訪ねてくれたと歓迎してくれる世帯もあった。特に、今回の面談を通じて翌日の行事に参加した高知市内の団員は「今回の訪問がなかったら民団と縁が切れていた」と、数十年ぶりの再会を喜んだ。
活動者たちは四万十町の津賀ダム建設で犠牲となった徴用工犠牲同胞の慰霊碑を訪ね、慰霊碑建立事業に民団高知として初めて携わった元団長と面談、貴重な証言を聞くこともできた。
高知県内同胞数は、30年前の850余人から約420人と半減した。団員登録世帯はここ最近の帰化の急増や韓国人出生者の減少で300世帯から3分の1に減少している。同胞は、日本の植民地時代に炭鉱、ダムや道路のインフラ工事、営林業などに動員され、この地に住み着いた。市内から遠く離れた集落で孤立した同胞も少なくない。
今回の訪問活動は、疎遠な同胞との再会によって団員との絆を回復する契機となった。