民団の秋の恒例行事、10月のマダンや国際交流まつりが全国各地で開かれた。コロナ禍が明け、5年ぶりの運動会やカラオケ大会、ノレチャラン(歌自慢)に加え、全国化するK‐POPダンス。婦人会手作りの韓国料理には長蛇の列ができた。初めて食べる韓食に「甘辛くてとても美味しい」などの声が相次いだ。同胞過疎の地方でも一般市民にマダン(広場)という言葉が定着しており、10月のマダンは地域に根付いてきている。
【京都】民団京都本部(張祥一団長)は10月20日、京都国際学園グランドで「同胞交流ハンマダン・運動会」を開催し、民団や婦人会から約200人が参加した。張団長は「日頃のストレスを忘れ、今日一日、元気に楽しく過ごして下さい」と挨拶し、実行委員長の金貴志副団長も「グランドでの開催は5年ぶり。怪我のないよう気をつけて楽しんで」と激励した。
当日は前日の雨とはうってかわり晴天に恵まれ、運動会日和となった。子ども徒競走やお玉競争、紅白の玉入れ、買い物競争など団員たちは学生の頃に戻ったかのように大はしゃぎ。最後の綱引き決勝では一進一退両者譲らず熱戦を繰り広げた結果、黄正安監察委員長チームが孔信根議長チームを負かした。
【広島】民団広島本部(金基成団長)は10月19日、広島韓国会館でカラオケ大会「ウリノレチャラン」を開催した。出場者の年代は小学生から80代までと幅広く、10組27人が韓国語の歌で自慢の喉を競い合った。
韓国語講座の日本人受講生が多数を占め、韓日友好を願う「10月のマダン」にふさわしいひと時になった。今年は特別に韓国全羅道からテピョンソ演奏者を招待し、広島の韓国民俗音楽研究所の鄭慎二先生とコラボの韓国伝統文化公演で会場を盛り上げた。
その他のゲストとして町内会メンバーのフラダンス公演と婦人会の韓国歌を披露した。1等賞には韓国学園で韓国語を学んでいる高校生が選ばれた。2部交流会では韓国料理を提供し、参加者に喜ばれた。
【佐賀】民団佐賀本部の韓国伝統文化交流「第19回ふれあい交流マダン」が10月13日、656(むつごろう)広場で開かれ、同胞ら約580人が参加した。朴弘正団長は「コロナ禍の時も中止することなく皆さんの協力で開催できたことに感謝する。地域の小さな交流イベントだが、今後も韓日交流の懸け橋となるように継続していきたい」と力強く開会宣言をした後、駐福岡韓国総領事館の朴建燦総領事と佐賀県日韓親善協会の中尾清一郎会長がお祝いの言葉を述べた。
同本部のマダンは韓国の伝統文化(芸能・韓服)や料理を通して韓日市民交流と親睦を深めるもので、地域に密着した市民一体型の韓日交流イベントとして認識されている。朴団長は「一般市民にマダンの単語が定着している。リピーターが多いのが特徴で今年は若い同胞家族が目立った」と語る。
サムルノリの実演では会場と舞台が一体化し、韓日市民が総踊りで盛り上がった。KidsダンスはK‐POPに合わせて子どもらがパフォーマンスを見せた。テコンドの演舞、佐賀大学のヨサコイ嵐舞が披露された。韓服の試着体験と撮影会が好評を博した。
韓国屋台でチヂミやトッポギ、ホトック、ホルモン汁、トリ皮焼きが人気で観客が長い行列つくった。韓国物産のキムチ、キムパブ、唐辛子も売れ行き好調だった。
【千葉】民団千葉本部(高炳佑団長)は10月27日、千葉中央公園で日韓友好のマダンIN千葉シウォルマダンを開催した。駐日韓国大使館、民団中央本部、千葉県、千葉市などが後援した。高団長は「韓日は来年国交正常化60周年を迎える。様々な葛藤があったが、過去の教訓を土台に何があってもお互いに文化交流を通じてゆるぎない基盤を作っていこう」と挨拶。駐日大使館の金賢淑総領事も「このマダンは相互理解、コミュニティの場だ」と強調した。
民団千葉本部の3機関長や千葉県日韓親善協会による鏡開きで恒例の10月マダンが始まった。芸能ショーのトップは千葉韓国教育院の土曜学校生13人で構成するオリニ合唱団が韓国の「アプロ」やディズニーの「小さな世界」を披露した。韓国無形文化財の金多慧さんが民謡「セタリョン」に合わせて舞踊を踊った。その後は雰囲気が一転し、望月貴子さんのフラメンコが登場した。続いて松戸馬橋高校女子生徒14人によるK‐POPカバーダンス3曲で若さを爆発させ、拍手喝さいを浴びた。
舞台では和太鼓や韓国トロット歌謡、サムルノリが繰り広げられた。浅草サンバチームの阿波踊りが公園内を練り歩き、よさこいソーラン節で会場が一体になった。
韓国食品ブースではチジミやユッケジャンスープ、マッコリが売られ、観客のお祭り気分を盛り上げた。
【神奈川】民団神奈川本部(李富鉄団長)は10月19日、20日の両日、横浜市の三ッ池公園で「2024韓日市民交流マダン」を開催した。李団長は「京畿道と姉妹提携し、1994年に公園内に韓国庭園ができた。今年は34回目のマダン。昨年から駐横浜韓国総領事館と共催で実施している。この場所は韓日交流ができる喜びを感じる。一丁目一番地の交流をさらに深めたい」と挨拶した。
金玉彩総領事も「昨年12年ぶりに韓日シャトル外交が再開し、様々な分野で交流が増えている。今年は両国の人的往来が1000万人を超える勢いだ。決して後退させてはならない」と強調した。
ステージでは京近道舞踊団による韓国舞踊やサムルノリのほか、韓国の歌番組「韓日歌王戦」を再現。様々なジャンルの日本人歌手が韓国の歌を、韓国人歌手が日本の歌を披露した。
【埼玉】民団埼玉本部(崔洛文団長)は10月13日、埼玉県日高市の高麗神社で毎年恒例の10月のマダンを開催した。青空が広がる爽やかな陽気の中、「神楽殿」を舞台として約4時間にわたって農楽、民謡、テコンドー師範など各種文化公演が行われた。
一昨年度から演目に取り入れられたK‐POPダンスは県内の高校生を招いて行い、今年は韓国大使館主催で8月に開催された「1都3県K‐POPカバー大会」で大賞を獲得した埼玉県立草加西高校ダンス部チームの「PILOT」がパフォーマンスを披露、音楽のリズムに合わせて踊る来場者もいた。
今年から始まったキムチ作り体験は、韓国料理レストラン「妻家房」総料理長の柳香姫氏が講師となり、実演した後、日高市役所での事前予約を経て来場した20人が体験した。飲食の屋台は民団各支部の女性を中心に運営され、チヂミ、ヤンニョムチキン、あわび粥を販売。会場入口付近では薄くスライスした豚肉をコンロで焼いた豚焼肉弁当が売れていた。
お昼過ぎの時点で「完売」するほどの盛況ぶりだった。
【島根】民団島根本部(李鍾九団長)は10月19日、島根県立産業交流会館くにびきメッセ多目的ホールで第19回島根県民団市民交流会「10月のマダン」を開催。500人を超える市民が集まった。駐広島韓国総領事館の申東允副領事、島根県環境生活部文化国際課の山本睦代課長、松江市観光部の福間千恵部長らが「日韓両国の交流と親善をもっと深めてほしい」と述べた。
ステージで進行した第1部では、7月20日に浜田市で開いた韓国語スピーチ&ノレバン大会で最優秀賞を受賞した3部門(スピーチ、スキット、ノレバン)の受賞者発表の後、韓国伝統舞踊講座「習ってみよう、韓国の伝統舞踊」講座の受講生が「扇の舞」を披露した。
2部のK‐POPライブ公演では、東京を中心に活躍している男性グループ・ジェネックスが登場し、会場は老若男女で盛り上がった。マダンでは本部が主催する「ポジャギ・韓紙講座」で作った作品の展示会や韓国伝統茶の体験コーナー、韓国と日本の屋台・物産販売ブースを設けるなど、老若男女が楽しんだ。
【奈良】民団奈良本部(李勲団長)は2日、奈良市内のなら100年会館で「2024歴史の道韓日文化ハンマダン in NARA」を開催した。会場は民団、婦人会関係者や地域住民ら1500人で満員御礼となった。
実行委員長でもある李団長は「両国間の国際交流として韓日の文化をゆっくり楽しんで下さい」と挨拶した。駐大阪韓国総領事館の陳昌洙総領事も「両国の国民の信頼を深め、善隣友好の関係を再確認する場となることを願う」と期待を寄せた。
ステージでは全羅南道立国楽団が扇の舞や韓国民謡、サムルノリなどを披露。奈良県郡山市出身の和太鼓チーム・輪功ーLinkが力強い太鼓さばきを見せ、大阪市のダンススクールに通う8人グループが切れのいいK‐POPダンスで観客を楽しませた。
【兵庫】民団兵庫本部(金相英団長)は10月26日、神戸市内のピフレホールで韓国語スピーチ大会と民俗芸能を中心にした第29回兵庫県韓国学園連合文化祭を開いた。金団長は「コロナ禍で中止に追い込まれたこともあったが、みんなが集まり一緒にイベントを開催することがどれほど大切か」と意義を強調した。
神戸韓国教育院の金載昊院長は「一人の努力だけではなく、みんなが力を合わせて一つの心で和合し、共有するハンマダン。韓日の友好増進にも大きな役割を果たすよう祈る」と期待を寄せた。
スピーチ大会は初級の部で「私と韓国」について韓国語弁論をした神戸韓国学園に通う犬伏光代さんが大賞を受賞、上級の部は尼崎韓国学園で学ぶ下村加奈子さんが「50歳の挑戦」で大賞に輝いた。生徒を指導した各学園の先生にもサポート賞が贈られた。
民俗芸能発表では宝塚韓国学園の生徒が「窓際のトットちゃん」をストーリーを一人ずつ読み上げ、兵庫韓国学園が朝鮮通信使が身に着けていた衣装を中心に伝統韓服ファッションショーを披露した。
特別公演では同本部の朴辰珠監察委員長と李客顕監察委員がメンバーのK‐POPカバーバンド・JYHが韓国の懐メロで会場を盛り上げた。