【京都】京都の市民団体が1月31日、同志社大学会議室で「住民自治で差別を許さない人権条例を求めよう緊急集会」を開いた。関係者約60人が駆け付けた。
京都は2009年の京都朝鮮学校襲撃事件、21年のウトロ地区放火事件、ハングルの校歌がある京都国際高校へのヘイトスピーチ等、相次ぐヘイトにさらされてきた地域。主催者団体は京都府が昨年末に発表した「京都府人権尊重の共生社会づくり条例(仮称)」骨子案について、①被害を受けた当事者の意見を無視 ②「差別禁止」を条例に盛り込む最近の流れを無視していると指摘した上で、12日に開催される府議会に照準を合わせ、骨子案の見直しを求める緊急署名運動を展開すること等を決めた。
集会を主催したのは京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会、ウトロ平和祈念館等5団体。1月20日に京都府に提出した条例案の要望書には、京都府は差別犯罪の再発防止施策を講じる役割が期待されているにもかかわらず、啓発の取り組みにとどまっている、大阪市、国立市、神戸市、川崎市、沖縄県、三重県などで制定された条例には「差別の解消や禁止」、一部では罰則規定があると指摘、見直しを求めた。
ジャーナリストの中村一成さんは「国際人権規約や人種差別撤廃条約は、『差別禁止』を要請している。京都府の骨子案はその義務を無視し、他自治体の条例制定の動きにブレーキをかけかねない」と批判した。
また、オンラインで参加した川崎市ふれあい館の崔江以子館長、師岡康子弁護士は「ヘイトに対する教育や啓発の限界を越えている。差別を禁止する条例でないと意味がない」「京都府骨子案はヘイトスピーチ解消法よりも劣っている。他地域にもマイナス効果をもたらす」などと警鐘を鳴らした。