掲載日 : [19-06-05] 照会数 : 16496
ヘイトスピーチ対策法施行から3年 超党派参議院議員が記者会見
[ 左から有田芳生(立憲民主党)、西田昌司(自民党)、矢倉克夫(公明党)、仁比聡平(日本共産党)の各氏 ]
特定の人種や民族に対する差別的言動の解消を図る「ヘイトスピーチ対策法(解消法)」の施行から3年。対策法の成立にかかわった西田昌司(自民党)、矢倉克夫(公明党)、有田芳生(立憲民主党)、仁比聡平(日本共産党)4人の参議院議員が5月31日、参議院議員会館で成果とこれからの課題を語った。
西田氏(自民党)は「ヘイトスピーチは社会的に認められない、文明国として恥ずかしい行為なんだと国会が認めたことには意義がある」と、国の対策法ができた成果を強調した。矢倉氏(公明党)は川崎市や大阪市が差別をあおる団体や個人に、裁判所が一定範囲での活動を禁じる仮処分決定を出したことを指摘し、「大きな成果」と述べた。
参議院法務委員会は2016年3月、在日同胞が多く住む川崎市川崎区桜本の視察を視察した。仁比氏(日本共産党)は「警察に守られながらヘイトデモが(こちらに)向かってきた。人間の尊厳をどのように踏みにじるのかをちゃんと認識した」と明らかにした。国会で法案が施行されたのはこの年の6月3日のことだった。「人間的、根源的な怒りが根拠となって新しい法律につながった」(有田氏・立憲民主党)
有田氏によれば視察には当時の法務省人権擁護局長も参加し、涙を流していた。同局長はこのときの衝撃がきっかけで土・日には自らヘイトデモの現場に足を運んだという。
記者からは罰則の伴った包括的な差別禁止法を作るべきかという質問が出た。これについては意見が分かれた。
西田氏(自民党)は「日本人全体がヘイトされた者の悲しみを知るべきだ。まずは共通認識を持とう」と教育の重要性に言及。矢倉氏(公明党)も「刑罰で縛れば根絶されるというものではない。他者への理解と寛容を教育という手段でどうやっていくのか」と投げかけた。
仁比氏(日本共産党)は地方自治体で反ヘイトに向けた取り組みが広がりつつあることから「国会での議論をもう一度行う時期が来ているかと思う」と語った。有田氏(立憲民主党)も「ネット上の人権被害についていまの法律では限界があることは各党で一致できるのではないか。国会で新しい波をつくっていきたい」と締めくくった。