掲載日 : [23-05-08] 照会数 : 4095
韓日首脳 韓国視察団の福島派遣・供給網連携・安保協力で合意
[ 韓日首脳の拡大会談、7日 ソウル(提供:大統領室) ]
尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相は7日、ソウルの大統領室で首脳会談を行った。3月の東京での会談以来、52日ぶりに顔を合わせた両首脳は計102分にわたり少人数会合と全体会合を開き、会談終了後に共同記者会見を行った。
両首脳は会談で、東京電力福島第1原発にたまる処理済み汚染水の海洋放出問題を巡り、韓国の専門家による現場視察団を派遣することで合意した。
尹大統領は共同記者会見で「科学に基づいた客観的な検証が行われるべきだとする韓国国民の要求を踏まえ、意味ある措置が取られることを期待する」と述べた。岸田首相も、韓国国民に理解を深めてもらうため視察団派遣を受け入れることにしたと説明した。
両首脳は、韓国の半導体メーカーと日本の素材・部品・装置メーカーによる半導体のサプライチェーン(供給網)構築への連携強化も確認した。
北朝鮮の核・ミサイルの高度化に対抗し、韓日、韓米日の安全保障協力を強化していくことでも一致した。
また、19日から広島で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)を機に、韓米日3カ国の緊密な意思疎通と協議を行うとの認識でも一致した。
尹大統領は、先月の韓米首脳会談で採択された拡大抑止強化を明文化した「ワシントンン宣言」に盛り込まれた核協議グループ(NCG)新設に関連し「日本の参加を排除しない」と述べ、可能性を開いた。
尹大統領と岸田首相は輸出手続きが簡素化される「ホワイトリスト」への復帰、韓日・日韓未来パートナーシップ基金創設など3月の首脳会談の合意内容の履行状況を確認し、持続的な交流に対する意志を固めた。
会談では過去の歴史問題にも言及した。岸田首相は、歴史認識に関する歴代内閣の立場を引き継いでいるという日本政府の立場は「今後も揺るがない」と強調した。
日本植民地時代の強制徴用については「当時、厳しい環境の下で多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思い」とし、「困難な時期を乗り越えてきた先人たちの努力を引き継ぎ、未来に向けて尹大統領をはじめ韓国側と協力していくことが日本の総理としての私の責務だと考えている」と述べた。
尹大統領は過去の歴史問題について「真摯(しんし)に取り組むことが重要で、どちらか一方が相手に要求できる問題ではないと思う」との考えを改めて示した。
ただ、今回の会談でも前回の会談と同様に共同宣言は採択されなかった。
岸田首相の訪韓は、尹大統領が3月に日本を訪問したことへの答礼訪問で、日本の首相が2国間会談のため訪韓したのは2011年以来、12年ぶり。
尹大統領は全体会合の冒頭発言で「シャトル外交再開に12年かかったが、(岸田首相との)相互往来は2カ月もかからなかった。韓日関係の本格的な改善が鮮明に表れている」と述べた。岸田首相も「シャトル外交を本格化できたことを大変うれしく思っている」とし、3月の会談から2カ月たらずの間にすでにさまざまな対話がダイナミックに動き出していると評価した。