掲載日 : [23-05-12] 照会数 : 4258
「大阪コリアタウン歴史資料館」オープン
【大阪】大阪市生野区の大阪コリアタウンに4月29日、「大阪コリアタウン歴史資料館」がオープンした(写真)。運営主体は「一般社団法人大阪コリアタウン歴史資料館」(洪性翊理事長)。画家でもある在日3世の洪理事長が普段、作業場として使っていたアトリエを無償で提供した。白を基調にした建物の前には詩人の金時鐘さんの作品を刻んだ「共生の碑」(縦90㌢、横165㌢)の石碑が置かれている。
館内には韓国関係の資料や書籍など2000冊と、「猪飼野」と呼ばれた当時の風景、看板、住民たちを移した写真800点を展示。来館者がわかりやすいようにタッチパネルでテーマ別に詳細がわかるように工夫している。
民団大阪・生野西支部の鄭康実支団長は「過去にタイムスリップしたかのよう。懐かしい気持ちでいっぱい。ここ生野区のコリアタウンに資料館ができたことはとても意義深い」と話していた。
また、京都からコリアタウンに買い物にきたという40代の日本人女性は「コリアタウンの歴史を知ることができる場としてすばらしい」と感嘆していた。
同資料館前で今後の繁栄を願い、厄払いの意味も持つ韓国の伝統儀式「告祀(コサ)」で開館を祝ったあと、洪理事長はじめ金時鐘さん、洪理事長のオモニの康安子さん(88)、同資料館の高正子館長、民団大阪本部の李元徹団長、筋原章博生野区長ら多数がテープカットを行った。
コリアタウン内にある班家食工房に場所を移して行われた開館式には関係者120人が参加。駐大阪韓国総領事館の李弘〓副総領事もお祝いにかけつけた。
洪理事長は「感無量で、感謝の気持ちでいっぱい。コリアタウンの歴史、在日の歴史をしっかりと知らせる場所をつくらなければという思いで約3年前に資料館建設構想を立ち上げた。紆余曲折があったものの、皆さんの協力のもと、これまでに例のない在日コリアンに関する資料館ができたと思う。今後とも総合劇場や小劇場を併設することで、本当の意味で在日の資料館をつくっていきたい」と胸を膨らませていた。
李団長も「在日が多く住んでいる大阪のコリアタウンに資料館が出来たことは、在日の歴史を知る象徴となる。多くの日本人にも浸透すれば韓日の草の根交流にもつながると思う」と期待を寄せた。
高館長は「若い在日にとっては自分のルーツを知る場、日本人にとっては自分の隣に在日がいることを知る場だ。共生のモデルとして日本の歴史に刻まれることを願っている」と話していた。
大阪市生野区桃谷4‐4‐11。入館料300円。午前10時~午後5時(入館は4時半まで)。毎週水曜日休館(12/25日~1/3は休館、臨時休館日あり)。