掲載日 : [22-12-16] 照会数 : 4204
【北送63】北送から63年、新潟中央埠頭で犠牲同胞ら追悼
[ 北で亡くなった両親、兄を偲び、涙にくれるカンさん(新潟中央埠頭) ]
【新潟】北韓から日本に戻ることなく、失意のうちに亡くなった北送同胞らを悼む式典が14日、新潟市内の新潟中央埠頭で営まれた。北韓の人権問題に取り組む新ボトナム会、NGOモドゥモイジャなど4団体が共催した。
この日は在日同胞とその日本人妻975人が第1船に乗船した1959年から63年目にあたる。
朝から強風が吹き荒れる悪天候のため、プログラムを簡略化。参加者全員で黙とうし、代表者数人だけが海に献花した。
2003年に北送から44年ぶりに脱北、翌04年に生まれ育った日本に戻ってきた在日2世の川崎栄子さん(新ボトナム会代表)は「生きて日本に戻ったからには、北朝鮮の人権と自由往来の実現をめざしてこれからも闘う」と決意を新たにしていた。北韓には14人の家族を残すが、いまだに安否確認すらできていない。「胸の中に血の涙が落ちてくる」と心境を明らかにした。
カン・ボンスンさんは60年代初頭、父母と8歳の兄ともども北送船に乗船した。北韓は「地上の楽園」どころか「地獄の国」だったという。
精神に異常をきたしたり、自らの手で命を絶った元在日同胞たちの姿を目にしてきた。脱北したいまは韓国で暮らし、NGOモドゥモイジャ韓国事務局長を務めている。
カンさんは波打ち際に立ち、「ついにあなた方が懐かしがっていた新潟へ帰ってきた。今日の荒波は北に渡った9万3340人の怒りを表している」と追悼の言葉を述べた。
追悼式に先立つ13日、新潟市内のホテルでフォーラムを開き、脱北者5人が北韓政府を相手取って計5億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した訴訟の判決について振り返った。
五十嵐章裕裁判長は3月、原告の訴えこそ退けたが「虚偽の宣伝で渡北させたのは不法行為」と、原告側の一部主張を求めた。講演した山田文明さん(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会理事)は「一審判断は希望の光。高等裁判所の判断に期待したい」と述べた。