掲載日 : [22-11-09] 照会数 : 4971
永住韓国人に「地方参政権」を 国連自由権規約委が勧告
[ 記者会見に臨んだ民団人権擁護委員会の趙學植弁護士(7日・参議院議員会館) ]
「植民地時代から居住」
国連自由権規約委員会(HRC)は3日、日本で永住する韓国人とその子孫の地方参政権(投票権)を認めるよう関連法の改正を求める日本政府に対する勧告(総括所見)を発表した。自由権規約委員会が外国人の地方参政権を認めたのはこれが初めて。委員会は10月13、14の両日、ジュネーブで自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)の実施状況に関する第7回日本政府報告書を審査した。審査は2014年以来8年ぶりのこと。
ヘイトスピーチ・クライムには罰則
国連勧告を受けて東京都内で行われた緊急記者会見
勧告は9パラグラフで構成。「マイノリティの権利」では「植民地時代から日本に居住する永住コリアンとその子孫に地方選挙での投票権を認めるよう関連法の改正を検討すべきである」とした。
国連勧告を受けて7日、東京都内で「人種差別撤廃NGOネットワーク」(EDRネット)の一つとして緊急記者会見に臨んだ民団中央本部人権擁護委員会(李根茁委員長)の趙學植弁護士は「画期的」と歓迎するコメントを発表した。
民団中央本部人権擁護委員会は永住外国人の地方参政権問題をはじめ、▼民族的または種族的マイノリティとしての権利の否定▼包括的な差別禁止法の不在▼公務就任権の過剰な制限▼ヘイトスピーチおよびヘイトクライム▼関東大震災朝鮮人虐殺を否定する言説まん延と政治家の言説助長ーーの6項目にわたる日本政府への提言を提出していた。
ヘイトクライムについては独立した定義を設け、禁止するよう促した。また、ヘイトスピーチ行動を規制する法的措置がとられていないという事実に対して懸念を表明。差別や暴力を煽るようなデモを含めたすべての活動を禁止するだけでなく、このような活動を行った人や組織を処罰できるような法的な枠組みを整えるよう求めた。
法執行官、検察官、司法関係者という法にかかわる人たちに対する研修強化。さらに、一般市民向けには啓発キャンペーンを呼びかけた。
同じく記者会見で外国人人権法連絡会の師岡康子弁護士は、この勧告を受けて各省庁に具体的なヘイトクライム対策を迫っていく考えを示した。
自由権規約は1966年の国連総会で採択された国際人権規約の一つ。日本は79年に批准した。自由権規約には国内で救済を受けられない人が国連の自由権規約委員会に直接救済を求めることができる個人通報制度について規定した「第1選択議定書」と死刑制度廃止について規定した「第2選択議定書」があるが、日本は自国の司法権の独立に影響が及ぶ可能性があるなどの理由から、これら選択議定書については批准していない。