コロナ禍 地域に根ざし業績
韓信協(在日韓国人信用組合協会=呉龍夫会長)の会員4組合と近畿産業信用組合の総代会が6月中に開催を終えた。各組合とも長引くコロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻などによる世界経済の影響を直視しながらも、地域の中小事業者に根ざした金融サービスで業績を残した。韓信協がまとめた会員4組合の2021年度業績によると、4組合の総預金高は前年比695億7900万円増の1兆2532億3800万円とし、3年連続で1兆円を突破した。貸出金は732億1100万円増の9864億1400万円となった。近畿産業信用組合の業績とあわせると総預金は2兆6672億1000万円(前年比1102億300万円増)、貸出金は1兆9398億3700万円(1064億500万円増)となる。韓信協4組合の預貸率の平均は1・70ポイント増の76・32%。純利益合計は12億1700万円増の58億6800万円だった。
◆横浜幸銀 情報・人員を集約
横浜幸銀信用組合(呉龍夫理事長。本店・横浜市、第6期)は6月27日、横浜市内のホテルで開催。
コロナ禍の影響で引き続き厳しい状況だが、経営資源を集中させ、広範というスケールメリットを生かした、経営の効率化を進め、地域のニーズに見合った適正なサービスで競争力強化を図った。
「ファースト」「ベストパートナー」「子育て支援」「相続」「つばさ」など、主力定期預金商品の好評が続き、預金は前年比350億6700万円増の6091億4000万円となった。貸出金も「不動産購入ローン」「カーライフローン」「リフォームローン」「教育ローン」「カーライフローン」などの幅広い商品の売り出しが好調で277億5700万円増の4455億3300万円とした。預貸率は0・37%増の73・14%。自己資本比率は微増の8・72%とし、国内基準(4%)を大きく上回った。
純利益はコロナ禍による影響を鑑み、貸倒引当金を積み増したことで、前年比7億7600万円増の31億9900万円となった。配当率は前期と同じ1%とした。
呉理事長は今後の課題として「情報と人員の集約で営業力、相談力、対応力を強化し、コロナ禍で不安定となった地域経済と顧客の経営支援に取り組みたい」と述べている。
◆あすか 最高純利益で配当3%
6月24日に開催。継続的な公的機関の支援、金融機関による実質無利子・無担保の融資等により、事業者の資金繰りは小康状態を保っているが、今後は感染症拡大による国内貸出の信用コストの増加が懸念された中、預金は「あおば」「あすか」、60歳以上の顧客対象の「プラチナ定期」「シルバー定期」などの主力商品が好調に推移し、大幅に増加した。
結果、前年比316億7800万円増の3743億6700万円に大幅増加した。
貸出金も「不動産担保ローン」をはじめ、取引先の事業性を評価した融資に取り組んだことで、前年比401億5000万円増の3132億5500万円と伸張した。
その結果として業務純益が26億、純利益20億2800万円と前年度を大きく上回り、最高益を更新した。
今年、合併20周年を記念し、4月から特別金利の「20周年記念定期預金」を発売している。
この結果、出資配当率を前期の2%に合併20周年記念として1%を上乗せし、3%とした。
金理事長は「今年も極めて厳しい事業環境に変わりはないが、より一層コンサルティング機能を発揮してお取引先との関係強化を図りながら、①経営基盤の強化②持続的成長に向けた経営態勢の強化③働き方改革による生産性の向上等を基本戦略に据え、地域社会への貢献に務めていく」と述べている。
◆広島商銀 7次中期経営計画推進
信用組合広島商銀(井上一成理事長。本店・広島市、第61期)は6月24日、広島市内のホテルで開催。
「第6次経営計画」の最終年度として、コロナ禍で大きな影響を受けた中小事業顧客への支援を中心に推進した。その結果、預金・貸出ともに期末残高計画を達成した。
預金は山口県下2店舗(宇部支店、岩国支店)の統廃合で昨年比減額となったが個人組合員向けの「プレミアム・メンバー定期」の好調が続き、前年比2億4100万円減の1583億8000万円となった。
貸出金はコロナ禍で影響を受けた中小事業顧客への金融支援をはじめ、資金需要の高い「不動産事業」「旅館業」への融資を進めたことで前年比23億1500万円増の1177億1700万円とした。
自己資金比率は0・08%アップの8・01%、預貸率は1・58%増の74・33%。純利益は緊急事態宣言等による営業活動の抑制が影響したこともあり、2700万円減の1億8600万円で配当率は昨年より0・5%増加し1・5%とした。
今年4月から2025年3月までの4年間、「第7次中期経営計画」を策定した。
井上理事長は「コロナ禍で影響を受けている中小事業者に対し、引き続き適正な金融支援を進める。また、デジタル技術を活用した利便性の高いサービス提供や業務効率性の向上に注力していく」と語った。
◆愛知商銀 新理事長に大原清三氏
信用組合愛知商銀(大原清二理事長。本店・名古屋市、第69期)は6月28日、民団愛知本部会館で開催。
出口の見えないコロナ禍生活に加え、人流・物流の停滞から更なる景気後退が懸念されるなど、地域経済の見通しも予断を許さない状況が続いている中、信用組合の基本理念に立ち返り、地域密着型金融に注力するとともに、コロナ禍に喘ぐ地域中小事業者に対し、伴走型の事業支援を積極的に進め。
主力商品の「シルバー定期預金」と「すまいる定期預金」の堅調な売れ行きにより総預金は前年比30億7500万円増の1113億円5100万円とし、貸出金は、コロナ関連支援融資や不動産関連融資が増加したことなどにより前年比29億8900万円増の799億900万円とした。
収益は、貸出金や有価証券運用残高の拡大により利息収入が増加したことで経常利益は5000万円増の5億1800万円、純利益は1300万円増の4億5500万円となった。
自己資本比率も8・13%と国内基準である4%を大きく上回った。
役員改選が行われ、大原清二理事長が退任し、新たに大原清三氏(写真)が理事長に就任した。
大原新理事長は「引き続き、①法令遵守②取引先の拡大③人材育成④安定収益確保⑤不良債権管理⑥事務ミス撲滅⑦業務の効率化を経営モットーに、実効性のある取組みを展開する」と語った。
◆近畿産業 経常利益120億突破
近畿産業信用組合(大本崇博理事長。本店・大阪市、第69期)は6月20日、本店ビル「きんさんホール」で開催。
長引くコロナ禍や急変する国際情勢で影響を受けた顧客に対し、金融と財政面における政策拡充で、各種金融サービス提供とコンサルティング機能の発揮など、組合員に親身に寄り添うことに努力した。昨年八尾支店と阿倍野支店の新築移転を果たし、地域社会に根ざした各種商品を取りそろえた。
新支店キャンペーン商品や一昨年から、コロナ禍対策として新発売した非対面・非接触型の「きんさんWeb預金」の好調が続き、預金高は前年比405億6100万円増の1兆4139億円7200万円となった。貸出金は331億9400万円増の9834億2300万円とした。
実質業務純益は127億5600万円とはじめて120億円台に到達し、6年連続で100億円を上回った。純利益については前年比3億3000万円増の70億6000万円となった。
預貸率は前年と同水準の69・55%に。自己資本比率は前期比0・14%向上し、過去最高の11・75%を記録した。
大本理事長は「今年度は『態勢』計画を着実に進展させ、さらなる収益力の高度化と強固な内部管理態勢を確立し、事業遂行に伴走しながら、行動指針として『繋ぐ』をモットーに業務に努力していく」と表明した。