掲載日 : [22-05-25] 照会数 : 6694
在日無年金障害者救済を…同胞・市民団体が厚労相に要望書
[ 要望書を手渡す李幸宏代表(左) ]
【兵庫】兵庫県は中度に相当する外国籍の無年金障害者に対し、2022年度から障害基礎年金2級相当の2分の1に相当する月額3万2537円(年間39万444円)を予算化した。各市町は県との共同事業としてすでに2分の1相当額を支給しているが、県は予算措置をとってこなかった。対象者は16人。
兵庫県と県内各市町は在日の無年金者に対し、日本人とほぼ同額の高齢者給付金と障害者1級給付金を15年に実現。県による在日無年金2級給付金の予算化が課題となっていた。
90年から粘り強く行政交渉を重ねてきた「障害年金の国籍条項を撤廃させる会」(北川敏雄代表、神戸市)は「兵庫県における在日無年金差別との闘いは32年という長い歴史の上にやっと解決に至った。ただし、国の無年金差別はまだ続いている。すべてが解決したわけではない」と話している
兵庫県も半額予算化…中度障害者 市町と共同事業へ
市民団体「年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会」(李幸宏代表、東京都町田市)をはじめとする全国の関係4団体は18日、後藤茂之厚労相に在日無年金障害者の救済を求める要望書を提出した。
1959年に国民年金法が施行された当時、同法に設けられた国籍条項により、在日韓国人をはじめとする日本在住の外国人は国民年金への加入を拒まれた。日本が82年に難民条約に加入して以降、これに伴う法改正によって国籍条項が撤廃された。
しかし、日本政府が必要な経過措置を取らなかったため、20歳を超えていた一部の在日外国人障害者たちが無年金になった。22年現在、在日無年金障害者は60歳以上になる。
市民団体側は先ず、在日無年金者には自己責任はないこと、無拠出制の福祉年金についての議論であることの確認を求めた。そのうえで18年8月30日の国連・人種差別撤廃員会からの勧告にについて見解を求めた。
厚労省側は「そういう議論を踏まえて立法、行政府で議論し、制度を立案する。決して軽視しているわけではない」と述べたが、いまだに「検討」を繰り返すにとどまった。