日本での投票結果一覧表のPDF
2月23日に始まった韓国の第20代大統領選挙の在外投票が28日に終了した。日本では駐日韓国大使館をはじめ10の公館所在地に設置した19カ所で投票が行われた。投票は28日までの6日間だが、一部の追加投票所は25日から27日までの3日間だった。19カ所の投票総数は1万8836人だった。
全世界では115カ国(177公館)219カ所の投票所合計が16万1878人で71・6%の投票率だった。国別では米国が3万658人(投票率69・1%)、中国2万459人(68・6%)、日本の順。駐ウクライナ大使館の在外選挙事務は中止となった。
最も多く投票したのが韓国大使館管内の第1投票所である韓国中央会館(韓国総領事館)で4032人。次いで、新宿区にある追加投票所の韓国文化院(3444人)、大阪総領事館(2220人)、東京上野の在日韓国人貴金属協会ビル(1668人)の順だった。日本全体の有権者は2万8816人で、投票率は65%をこえ、第19代大統領選挙の56・3%を上回り、関心の高さをうかがわせた。在外投票の投票紙は在外投票所管理者から在外投票管理官に引き継ぎ、これを外交封印袋に入れ韓国に回送し、外交部長官が封筒・封印状態を確認した後、中央選挙管理委員会に渡り、韓国国内投・開票日の9日に開票される。
韓国中央会館8階大ホールの投票所には、都内の同胞の多くが投票に訪れた。特に休日だった、初日の23日をはじめ、連日、開場前から行列ができた。
新型コロナウイルスの防疫対策として受付の前に、体温検査、手指の消毒液と手袋を備置し、マスク着用の要請などを徹底している。スタッフらも手袋とマスクを着用して対応。
23日、午前10時には姜昌一駐日韓国大使をはじめ、民団中央本部3機関長や大使館職員らが投票を終えた。
投票後、本国メディアらとミニ会見した姜大使は「コロナ禍の中、日本でも厳しい状況が続くが、一人でも多くの在日同胞が貴重な1票を行使してほしい。特に3世、4世たちの次世代たちの積極参与をお願いしたい」としながら、追加投票所に多くの民団会館が利用されたことに対し「このような非常事態の中でも毎回、協力を惜しまない民団にはとても感謝している。各地方の民団に多くの同胞が投票に訪れてほしい」と述べていた。
◆埼玉と大阪生野に新規投票所
今回、全国各都市19カ所に設置された在外投票所には大使館館内では埼玉本部会館、大阪総領事館管内で生野南支部の民団会館が新たに追加された。追加投票所はいずれも2月25日から3日間の期間限定。今回初めて投票所となった両民団会館は民団関係者も投票所の助役として運営に協力した。
埼玉韓国会館には民団本部職員と景民杓常任顧問、大使館職員の3人が投票開始時間の8時前から玄関先で案内に立った。
午前中は30~40代の新定住者の投票が目立った。民団職員によれば「顔を知らない人」ばかりだった。民団を知らない新定住者のために民団紹介冊子と同本部発行の広報誌を一緒に配布していた。
いち早く投票した民団埼玉本部の田虓玔団長(59)は「次の大統領には韓日関係を再建できる人を切に望みたい」との思いで一票を投じた。
昨年、東京荒川区から浦和駅近くに自宅を構えたという3世の男性(25・特別永住者)も「史上最悪といわれている韓日関係の改善に力を注いでくれる候補に投じた」としながら、「近所に民団会館があり便利だった。これからも民団会館を訪れたい」と述べていた。
康和生さん(80・特別永住者)は「祖国平和統一政策と北との対話姿勢を推進してほしい」と述べていた。
金東炫さん(37・新定住者)は「ウクライナで起きている戦争は、北と対峙している韓国でいつ起きるかもしれない。とっても心配している。平和に国を運営していってほしい」と述べていた。
婦人会の関係者も初日からそろって投票に訪れた。朴初子さん(65)は「韓国の経済格差がすごい。(資産を)持っている人はいいが、そうでない人は生活が厳しくてかわいそう。国民が住みやすい国づくりをしてほしい」と候補を選び、許允禎さん(65)も「うちの国のビジョン、骨格が崩れているのが心配。国民が安心して暮らせることを願うばかりです」と投票後に語っていた。
朴貞子さん(66)は「若い人から年寄りまで安定した状態で、幸せに暮らせる国にしてほしい。韓日関係もなんとかしてほしいものだ。日本で暮らす私たちはとてもしんどい思いをしている」と述べていた。
一方、大阪に住む団員の半数が住むといわれる鶴橋駅近くに構える民団大阪・生野南支部(金勝博支団長)でも3日間あわせて、537人が投票に訪れた。
投票を終えた崔俊一さん(45)は「韓日親善に寄与してもらえる人が大統領になってほしい」と期待を寄せた。80代のハラボジは「自分の一票が祖国に反映されると思うと、感無量の思い」と目を潤ませた。また、梁秀晶さんも「日本との関係が良くなることを願いながら投票した」と一票に願いを託していた。
民団大阪本部の李元徹団長はじめ役員らは24日に駐大阪韓国総領事館で投票した。李団長は「誰が大統領になっても本国と同法の発展に協力していくことが民団の仕事」と思いを語った。