掲載日 : [22-02-21] 照会数 : 6712
大阪市のヘイトS条例は合憲…最高裁がはじめて判断
民族差別を煽るヘイトスピーチを行った個人や団体の名前の公表を定めた大阪市の条例が憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、最高裁判所は15日、「表現の自由の制限は必要やむをえない限度にとどまる」として憲法に違反しないとする判決を言い渡した。
大阪市は2016年に、弁護士などで構成する有識者審査会の意見を踏まえ、市がヘイトスピーチに当たると判断した場合、内容と発信者の個人や団体の名前を公表するほか、掲示物の撤去を要請すると定めている内容の条例を制定した。
この条例について、市内に住む6人が憲法が保障する表現の自由を侵害するもので無効だと訴えていた。
1審の大阪地裁と2審の高裁はいずれも合憲とし訴えを退け、市民側が上告していた。
15日の判決で、最高裁判所第3小法廷の戸倉三郎裁判長は、「条例の規定は、表現の自由を一定の範囲で制約するが、人種や民族などへの差別を誘発するような表現活動は抑止する必要性が高い。市内では過激で差別的な言動を伴う街宣活動が頻繁に行われていたことも考えると、規定の目的は正当だ」と指摘しました。
そのうえで、「条例で制限される表現活動は、過激で悪質性の高い差別的言動を伴うものに限られており、表現の自由の制限は必要やむをえない限度にとどまる」として憲法に違反しないと判断し、市民側の敗訴が確定した。
ヘイトスピーチを規制する条例に対し、最高裁の判断が示されたのは初めて。同様の条例を検討している自治体にも影響を与えそうだ。