パリ五輪第4日は29日(現地時間)、柔道女子57キロ級が行われ、在日3世の許海実(22、慶北体育会)が銀メダルを獲得した。韓国柔道が今大会で獲得した初のメダルであり、在日同胞女子として初の五輪メダルとなる。
許海実は女子57キロ決勝で世界1位のデグチ・クリスタ(29、カナダ)にゴールドスコアの勝負の末、指導3つを許し、反則負けした。デグチは許海実が5月の世界選手権の決勝で対戦して勝利した相手だ。両選手がそれぞれ指導2つを受けた延長戦で、攻撃を主導していた許海実に対してむしろ偽装攻撃の判定をし、指導を与えた。最後の判定は審判でなく審判席の委員長の指示で下された。
試合後の韓国メディアとのインタビューでは「授賞式で歌おうと愛国歌の歌詞を覚えてきたのに残念だ。天国の祖母に金メダルを見せられなくて残念だが韓国代表としてメダルを取って幸せだ。4年後には必ず金メダルを勝ち取る」と意気込んだ。
許海実は2002年、東京都江戸川区出身。父親は韓国国籍、母親は日本国籍だ。祖父母は韓国国籍だ。父と祖父の故郷が慶尚北道軍威の許海実は、東京都江戸川区出身。祖母は民団江戸川支部婦人会長を歴任した。高校2年だった2019年6月に慶尚南道の慶山で開かれた韓国ジュニア選手権で優勝し、韓国代表入りした。
早稲田大学スポーツ科学部2年生だった2021年、祖母の遺言で日本国籍を放棄した後、慶北体育会柔道チームに入団し、今年2月、代表チーム選抜戦を通じて韓国代表になった。
許海実は独立運動家、許碩(1857~1920年)の子孫でもある。許碩は日時代の1918年、慶尚北道地域に抗日檄文を貼り付け、日本警察に逮捕され獄中にあった独立闘士だ。出獄した3日後の1920年4月24日に死去した。1982年に大統領表彰、1991年に建国勲章「愛国章」を受章し、慶尚北道軍威郡に殉国記念碑が建立されている。
在日3世の女子柔道選手の許海実がパリ五輪で銀メダル獲得。韓国民団の傘下団体である在日本大韓体育会の宋栄奉会長がコメントを出した。 以下コメント全文。
在日同胞女子選手初のオリンピックでのメダル獲得という快挙を成し遂げてくれた許海実選手、おめでとうとうございます。感慨無量の歓びで一杯で、すべての在日同胞と歓びを共にしたいと思います。
日本で生まれ、育った在日同胞3世が韓国人としての誇りを持ち続け、韓国国家代表として鍛錬を積み重ね、持てる力を思う存分に発揮し、見事な闘志で栄光をつかんだことに、心から敬意を表します。
韓国を始め日本に住む、多くの在日をはじめ、世界の同胞たち、そして、次世代たちに大きな勇気を与えてくれました。
許海実選手がまだ15歳だった2019年に、本会から派遣した韓国国体ソウル大会で優勝以来、韓国国家代表として、世界に羽ばたく選手になったことは、在日同胞ばかりか世界中の同胞の誇りです。
明日の女子63㎏級に出場する金知秀選手も許海実選手に続いてメダル獲得を期待しています。
1964年の東京五輪で金義泰選手が在日同胞選手として初めて五輪に派遣し銅メダルを獲得してから60年が経ちました。その後も、数多くの韓国代表選手を輩出してきた在日本大韓体育会ですが、今後も世界に羽ばたく在日アスリートの育成と支援を続けていきます。
在日本大韓体育会
会長 宋栄奉