掲載日 : [20-11-11] 照会数 : 12237
甲子園出場高まる期待…京都国際、近畿高校野球大会で初の4強
[ ドラフト会議で育成選手に選ばれた2人(前列中央)とナイン ]
【京都】京都国際学園が秋季近畿地区高校野球大会で韓国系の高校として初の4強入りを果たした。10月31日、大阪桐蔭との準決勝戦ではコールド負けしたものの、序盤ではリードし、「あわよくば決勝進出も」との夢を見せてくれた。京都大会での過去の戦績を振り返ると2008年夏がベスト8、16年春はベスト4、18年春は優勝し念願だった近畿大会出場を果たしている。関係者からは初の甲子園出場へ期待の声が高まっている。
京都国際高校硬式野球部は京都韓国学校当時の1999年に創部。野球部としての歴史は比較的新しい。当時は韓国からの留学生や在日韓国人の選手によってチームを編成していた。
野球部後援会長の金安一さん(現在、京都国際学園副理事長)が当時を振り返ってくれた。
「韓国学園の生徒が減少していくなか、なにか生徒たちが集まれるところをと考えた。私自身も高校で野球をしていた経験から野球部を創部した。当初、経験者は2人だけ。他の部員は遊びや草野球程度ぐらい。初の練習試合は0‐58の3回コールド負け。99年夏の京都大会初戦も0‐34の5回コールド負けだった。しかし、当時の監督は特別な練習はせずに基本練習を大切にし、01年夏の京都大会初戦で念願の公式戦初勝利を収めた」
京都韓国学園は04年に日本政府の認める一条校、京都国際学園となった。すると、「京都国際で野球を極めたい」という生徒が集まるようになり、創部5年目でベスト8入り。昨年夏の京都予選では強豪の平安に勝って決勝に進み自信をつけた。
金後援会長は「学校には60~70人収容の寮もある。韓国や在日にルーツを持つ他県からの生徒も募集している」と呼びかけている。
京都国際学園常任顧問の宋基泰さんは「去年の夏の京都大会では立命館宇治に大量点で先制! とうとう甲子園の夢がかなうと信じました。しかし、9回サヨナラで夢破れました。この秋はようやく3位に滑り込み、近畿大会に出場が決まりました。会場が地元京都という地の利もあり、経験の浅い1年生が持てる以上の力量を発揮して、4強を果たしたことは素晴らしいこと。これからも無の境地でたくさんの試合を戦ってほしいです」とエールを送った。
婦人会京都本部は宋常任顧問と一緒に学園内で野菜を育て、寄宿舎に届けてきただけに初の4強入りを誰よりも喜んでいる。「後援会会長の声かけでこれまでたくさんの試合の応援に行ってきた。負けた時や勝った時など泣いたり笑ったりとたくさんの感動をもらった」
朴慶洙校長は京都国際の4強入りを「野球部の歴史に大きな足跡を残した」と称えた。これまで甲子園を目前まで手繰り寄せながら終盤の逆転で苦渋を飲んできた苦い経験があるからだ。「近畿大会ベスト4に入ったことにより、創部以来22年目にして初の甲子園へ大きく前進しました。引き続きの応援よろしくお願いします」