「21世紀に向けた日韓パートナーシップ共同宣言」から25周年の節目の年を迎えて日韓・韓日親善協会中央会と民団中央本部の3者は、宣言に込められた精神を持続しつつさらなる高みをめざして「次世代に向けた日韓・韓日合同セミナー」を11月29日、東京都内のホテルで開催した。韓日の有識者が基調講演と鼎談を行い、人的・文化的交流を柱に安保、経済など各分野で協力強化を呼びかける提言を行った。
「共同宣言」には11項目の宣言文と5分野のテーマなど、合わせて43項目の「パートナーシップ行動計画」が盛り込まれている。1998年10月、当時の金大中大統領と日本の小渕恵三首相が採択した。
あらためて「宣言」を読み直したという民団中央本部の呂健二団長はセミナー冒頭、「宣言から25年が過ぎたが、まったく色あせていない」と驚きを語った。
日韓協中央会の河村建夫会長は「日韓友好の流れを高めていきたい、持続させていきたい」とセミナー開催の狙いを述べた。韓日協中央会の柳興洙会長は「宣言の精神を発展させ、未来世代に譲らなければならない」と呼びかけた。
基調講演に立った元韓国富士ゼロックス会長の高杉暢也氏(ソウル市名誉市民)は、「共同宣言を具体的に進めるシンボル」として「日韓交流おまつり」と日韓の高校生交流を挙げ、草の根交流活動の継続的推進を強く訴えた。
同じく世宗研究所の陳昌洙日本研究センターセンター長は両国の大学生を視野に、パスポートを提示するだけで自由に韓日間を往来し、いずれの大学においても自ら望む授業を受けられるような制度的保証の実現を提案した。
経済協力分野では、高杉氏が日韓FTA(自由貿易協定)の実現を望んだ。日本の1億2000万と韓国の5000万で合計1億7000万人の巨大なマーケットの実現が可能になるからだ。長期的にはEPA(経済連携協定)も視野に入れている。
一方、外交・安保分野では、差し迫る北韓の核の脅威を前に陳センター長が韓・日・米の協力を訴えた。また、韓日両国でエネルギー協力や環境問題にも取り組むべきだと述べた。
最後に基調講演を担当した2氏に静岡県立大学の小針進教授と李俊揆元駐日韓国大使が討論に加わり、宣言の趣旨を具体的な条約にしていこうと呼びかけた。