損害賠償の勝訴受け 救出への決意新たに
【新潟】望郷の念を抱きながら北韓で亡くなったりするなどして未だに会うことのできないでいる元在日同胞とその日本人伴侶を追慕する式典が14日、新潟市内の新潟港中央埠頭で営まれた。第1次船が出港して64年を迎えたのを機会に北韓人権問題に取り組む市民団体「新ボトナム会」(川崎栄子代表)が呼びかけた。今年で5回目。
始めに追慕の辞を述べた同会代表の川崎栄子さん(81)。その表情には去年の式典で見せた涙はなかった。事実と異なる情報で渡航させ、過酷な状況で長期間の生活を余儀なくさせた北韓に対し計4億円の損害賠償を求めていた控訴審で10月、「全面勝訴」判決を勝ち取ったからだ。
川崎代表は「北韓で亡くなった人、苦しんでいる人たちに私たちが勝ちましたと報告できる」と述べ、引き続き横田めぐみさんをはじめとする日本人拉致被害者とすべての北送同胞らの救出に取り組んでいくことを誓った。
また、北送から65年を迎える来年には大がかりな国際行事を開催することも明らかにした。
北韓による拉致や強制失踪を調査している国連人権高等弁務官事務所ソウル事務所のエレオノール・フェルナンデス人権事務官は「東京高裁の前向きな結果を歓迎する。重大な人権侵害が不処罰であってはならない」と述べた。
この後、はるか先に北韓を臨む埠頭に立ち、川崎代表らの脱北同胞が代表して菊の花を献花した。このなかには2010年に脱北した際、長女が中国公安当局に拘束され、北韓で銃殺された60代女性の姿もあった。
追慕式に先立つ13日には新潟市内のホテルで北韓人権問題を考えるフォーラムを開催した。