2024年甲辰年を迎え、全国の同胞の皆様、民団を支えておられる韓国及び日本の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上げます。
새해 복 많이 받으십시오。 本年が皆様にとって平和と希望に充ちた良い年でありますよう心より祈念申し上げます。
平和な世界を願う
ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、物価高、エネルギー高が重なり、私たちの生活は日々困難を強いられています。そのような中で、イスラエルとイスラム組織ハマスとの武力衝突が起こり、ガザ地区の災難は悲惨を極めております。世界は中東での戦争拡大を憂慮しています。私たちは争いのない、一日も早い停戦と平和を願っています。
昨年は、韓日友好関係が急速に回復し進展した年でありました。韓日の首脳会談が7回にわたって開かれ、両首脳の信頼関係と政府間の緊密な協力関係が進みました。昨年10月には、1988年の「韓日パートナーシップ共同宣言」25周年記念を祝うため5年ぶりにソウルで日韓・韓日親善協会の合同総会が開催され、私たちも親善協会の一員として参加しました。尹錫悦大統領は表敬訪問した代表団に対し、「韓日関係の改善と発展は両国国民の願い、意志である」と述べられ、両国の親善協会と民団が傾けてきた民間交流と友好の努力を高く評価しました。各分野における交流も活発となり、人的交流も1,000万に達する勢いです。私たちは、この友好の歩みが一層前進していくことを切に願っています。
また、11月には日韓・韓日親善協会・民団共催の「韓日パートナーシップ共同宣言」を次世代につなげるセミナーを開催しました。共同宣言には、在日韓国人が「日韓両国国民の相互交流・相互理解のための架け橋としての役割を担い得るとの認識に立ち、その地位の向上のため、引き続き両国間の協議を継続していくことで意見の一致をみた」と明記されています。私たちはヘイトスピーチの根絶、地方選挙権の実現に日本政府が努力していくことを念じています。
私たちは多くの同胞が厳しい環境のもとで、苦しい、悲しい思いをされながらも、未来のために心を開いて来られたことを心に深くとどめ、困難を乗り越えてきた先人たちの努力を引き継ぎいでいかなければなりません。
昨年は特に私たちにとって忘れられない年となりました。昨年5月、尹大統領は、G7サミットに出席するため広島を訪れ、初めて同胞原爆被害者を招待して懇談会を開きました。尹大統領は「大韓民国の大統領として、伺うのが遅くなり申し訳ない」と頭を下げ、「在日韓国人が悲しみと苦痛を受けた現場に故国が共にできなかったことに対して深く謝罪する」と述べられました。被爆者代表の一人は、「天国にいる先輩たちにあの世で会ったら、大統領がいらっしゃった、と誇らしく報告したい」「尹大統領が広島の被爆者に会ってくれたことが韓日関係の発展に貢献すると信じている」と、涙ながらに語っていました。その後、尹大統領夫妻は、岸田首相夫妻とともに韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献花し参拝しました。韓国の大統領が広島の韓国人慰霊碑を参拝するのは初めてで、韓日両国の首脳がそろって慰霊碑を訪れたのも初めてのことであります。韓国人原爆犠牲者の「恨」を解き、追悼の気持ちを伝える両首脳の行動は歴史に残るものとなりました。
また、昨年9月に、尹大統領は、私たち民団幹部を龍山の大統領室に招待し懇談会を持ちました。席上、尹大統領は「民団が半世紀以上にわたる長い歳月の間、韓国経済発展に多大な役割を果たして来られたことに感謝の意」を表しました。また「韓日関係が進展すれば、同胞社会にも大きな力になる」と強調され、さらに「民団の活動についてもしっかり側面から支援できるように細心の注意を払う」と述べられました。民団側からも各代表がトーキングのかたちで意見を述べ、尹大統領との懇談会は有意義な歓談の場となりました。
在外投票に参加を
尹大統領の公約であった「在外同胞庁」が昨年6月に新設されたことも記憶に残るものとなりました。在外同胞財団の業務を移管し、領事、法務、兵務、教育などの在外同胞関連部署が統合されました。今後、在日同胞の要望がより良く反映されるよう尽力して参ります。
本年は、在外同胞庁の新設を機に、民団が何のためにあり、誰のために奉仕する団体なのか、あらためて民団の存在価値を再構築していく年にしていきたいと思います。組織基盤の強化、人権擁護、生活権の拡充、次世代育成、韓日友好増進、韓半島の平和寄与は、民団活動の基軸です。
「みんだん生活相談センター」17年目を迎え、中央を含め20の生活相談センターが活動しています。次世代育成は、コロナ禍で中断していた「オリニ・ジャンボリー」を8月上旬に本国ソウルで開催する予定です。中高生・大学生対象のセミナーや韓国文化を体験する地方巡回教室も継続して実施していきたいと思います。あわせて、昨年12月に立ち上げた「みんだん留学生支援センター」を具体的に進めていきます。また、今年は3月27日から、第22代国会議員在外選挙が始まります。在日同胞社会の地位向上と発展のためにも、獲得した在外国民の権利をしっかりと行使できるよう在外選挙に積極的に参与していきましょう。
小異捨て団結を
新型コロナウイルス感染症の3年余り、民団活動が縮小し、その間の混乱等、民団の置かれている現状は厳しいままです。しかし、私たちはこれらの難局を乗り越え、大同団結して組織の結束を図って行かなければなりません。危機の時こそ、小異を捨てて和解・団結し、本団の存在意義を高め、融和を育む年にしましょう。本年がすべての皆様にとりまして、幸多い年となりますよう祈念申し上げ、私の新年のご挨拶とします。
中央本部団長
呂 健 二