掲載日 : [19-06-21] 照会数 : 12784
孫基禎さんの「マラソン人生」ひとり芝居で描く
[ 小金井宣夫さん自ら描いたイラストを使った一人芝居のポスター ]
[ 舞台で禹長春を演じた当時の小金井宣夫さん(05年) ]
1936年ベルリンオリンピックのマラソン競技に出場し、金メダルを獲得した孫基禎さん。生涯最高の感激を味わいながらも、日の丸を胸にして表彰台に立つ孫さんに笑顔は見られなかった。国の亡い悲しさと悔しさにじっと頭を垂れ、涙をかみしめていた。その計り知れない苦衷を俳優の小金井宣夫さん(75)が「一人芝居」で代弁する。タイトルは「スルプン・スンニ(哀しい勝利)~もうひとつのオリンピック話」とした。
舞台には小金井さんがひとり立ち、写真や動画を交えながら約90分間、孫さんの「マラソン人生」を振り返る。小金井さんは「孫さんは2002年に亡くなりましたから自分は孫さんの幽霊。孫さんの身代わりとなって変身するつもりです」と穏やかな笑みを見せた。
小金井さんは65年に劇団文化座に入座。05年には韓日合作劇「わが祖国」(角田房子作)で朝鮮軍人と日本人の母の間に生まれた世界的な育種学者・禹長春を演じた。
原作では「悲しき亡国の民」と題して孫さんの金メダル獲得に1章を設けていた。小金井さんが孫さんのことを知ったのはこれが初めて。「成功したけれど、それなりに不当に扱われた」人生は禹長春とも重なった。小金井さんは「これはいつかやりたい」と思ったという。
東京・足立区の竹の塚センターホール(地域学習センター4階) 28日19時開演。
全席自由。一般2000円(高校生以下1000円)。
チケット申込みは「スルプン・スンニ」上演委員会
(090・2674・1174、03・3899・0650)。