Home > ニュース > 参政権 |
自治体でバラツキも 外国人会議「提言」施策にどう反映(03.02.05) |
| 京都市外国籍市民施策懇話会で意見を交わす委員(昨年)
| 担当部局の意欲いかん
外国人市民の市政参加を保障するために自治体が設置した各地の外国人会議から市長(知事)に宛てた報告(提言)が出そろいつつある。各報告を受けて当該の行政機関はこれまでどれだけ市政に反映する努力をしてきたのか。自治体によってはかなりばらつきがみられるようだ。
川崎市・年次報告で常時検証
外国人会議は法制度的には審議会にあたり、外国人市民にとっては参政権行使の代替の場としての側面を持つ。委員は一定期間、調査と審議を行い、その結果を提言として市長(知事)に報告するのが一般的。この提言をどれだけ施策として取り入れているのかは、担当部局の姿勢いかんでかなり違っている。
川崎市外国人市民代表者会議は行政との協力体制が比較的うまく機能している例だ。具体的な成果も多い。
提言については年次報告で各項目ごとに行政側の検討および実施状況を見ることができる。提言がどこまで実現できたかは一目瞭然だ。それだけに担当部局としても手をこまねいているわけにはいかない。なかでも外国人市民ばかりか障害者、高齢者も視野に「入居保証制度」と「居住継続支援制度」を盛り込んだ全国的にも先駆的な住宅基本条例の制定は、代表者会議の提言に応えようとする担当部局の確かな意欲が感じ取れる。
行政側としては提言を受けると、担当局が関係各部局に取り組みを依頼する。実施いかんは各部局の自主性に任されている。それだけに外国人会議の一部には「第1期提言から2年経つが目に見えるような効果はまだ実感できていない」(静岡市外国人住民懇話会の金勇副会長の話)というような例も出ている。
京都市外国籍市民対策懇話会でも、提言の施策への反映は遅々として進んでいるわけではない。ただし、1年に1回の「緊急申し入れ」だけはほぼ確実に実現してきた。このなかには民族学校への助成拡大、市職員一般職の国籍要件撤廃などが含まれている。この京都市の事例は、行政側がその気になればかなりのことを実現できることを示している。
大阪では、府と市の双方で全国に先駆けて有識者会議を設置している。これまでは特定のテーマで行政側からの諮問を受け、各委員が論議するという形態をとってきた。行政側はこの論議結果を踏まえて外国人施策に反映している。ただし、在日同胞の委員の一部からは「言いっぱなしでどこまで施策として実現したのかわかりづらい」という声も聞かれる。
外国人会議を実り多いものにしていくためにも、行政側には「できること」からやろうとする積極的な姿勢がなによりも求められているようだ。
(2003.02.05 民団新聞)
|
|
|
|