南北関係、まず離散の苦痛緩和…和解・協力・共同発展へ
信頼プロセス推進を再強調

　朴槿恵大統領は15日の68周年光復節慶祝辞の少なからぬ部分を「南北統一」に充てた。「真の意味での光復と建国は韓半島の平和が実現し、南北が一つになる統一を成し遂げた時に完成される」と強調。特に自身の対北政策構想である「韓半島信頼プロセス」に言及し、南北和解と協力および共同発展のための方案を提示した。

　前日に南北が開城工業団地の操業正常化に合意したことについて「これを機に過去の南北関係の誤った慣行が正され、新たな共生関係が始まることを願ってやまない」と表明。「多少時間がかかるとしても、常識と国際的な規範が通用する南北関係を定立し、真の平和と信頼の構築に向かう『韓半島信頼プロセス』を一貫して推進する」と改めて強調した。

　朴大統領は北韓に対して秋夕（旧盆。9月19日）を前後した南北離散家族の再会実現を正式に提案した。また非武装地帯（ＤＭＺ）内の世界平和公園造成も呼びかけた。

　これを受けて離散家族の対面事業をめぐる南北赤十字の第1回実務協議が23日に板門店で行われた。今回、離散家族対面が実施されれば、2010年の第18回対面（10月30日〜11月5日、金剛山）以来、約3年ぶりとなる。

飢えと苦しみ同胞見捨てぬ

　離散家族の対面が実現する場合、韓国政府の対北人道的支援再開につながる可能性もある。朴大統領は慶祝辞で「韓半島の片方が飢えと困難に苦しんでいる現実から目をそらすことはできない」として「政治的な状況とは関係なく人道的支援を継続していく」と明らかにしている。

　南北1000万離散家族の再会問題は、最優先的に解決されなければならない、南北間最大の人道的問題である。

　離散家族の再会・対面が実現したのは、1985年9月に解放40周年を期して南北からそれぞれ離散家族50人が平壤とソウルを相互訪問したのが初めてのことだった。

　その後2000年8月、6・15共同宣言（第3項＝人道的問題を早急に解決していく）に基づき、15年ぶりに平壤・ソウル同時相互訪問の形で家族対面が再開された。しかし02年4月の第4回から北側の要求により会場を金剛山に変更し、何度か中止・延期を繰り返しながら行われてきた。

　南北双方は07年11月の第9回赤十字会談で、今後は毎年双方から400人ずつ対面申請を受け付けることで合意したが、履行されなかった。平均年間2回もない機会（10年間18回）に各100人ずつ会う現行方法では離散家族問題の解決が不可能なことは明白だ。のみならず、この3年間は、北側の拒否により実施すらされていない。

　韓国では、北韓にいる家族との再会を果たせないまま死亡する離散家族が年間2000人に上る。7月末現在の韓国側の離散家族対面申請者は計12万8824人だが、すでに43％の5万5960人が亡くなった。統一部当局者は「離散家族の生存者のうち70歳以上が80％以上を占める」と指摘、「できるだけ多くの人が再会し、離散の痛みを解消しなければならないというのが政府の基本的な立場だ。対面行事の定例化を含め最大限多くの人が会えるようにしたい」としている。

　残された時間との競争視される離散家族の再会問題とは違い、ＤＭＺ内世界平和公園造成は、その実現可能性と関連して中・長期的課題視されている。

「ＤＭＺ公園」中期的課題に

　平和公園造成は、昨年12月の大統領選挙での主要公約の一つだった。朴大統領は去る5月の米議会上下院合同会議演説で「世界平和公園」推進構想を明らかにし、「この場所を平和と信頼が育つきっかけにしたい」と述べた。同構想は、習近平中国国家主席との会談、6・25韓国戦争休戦60周年記念式でも表明、多くの国で肯定的な反応を得た。

　同構想の推進には、何よりも北側の呼応が必要であり、南北関係を改善進展しなければならない。休戦協定に伴いＤＭＺを管理してきた国連軍司令部の承認も必要だ。

　2007年10月の南北首脳会談の時、盧武鉉大統領が「ＤＭＺ地帯平和生態公園」を提案したが、北側は反対した。北側は、朴大統領の米議会演説時にも強い調子で反対を表明した。

　だが、最近北韓を訪問した朴相権平和自動車社長は9日、金養建労働党統一戦線部長（対南担当秘書）が「開城工業団地も厳密に言えば非武装地帯にある。開城工業団地がうまくいけば平和公園もうまくいくだろう」と話したと伝えている。

（2013.8.28　民団新聞）