朴槿恵大統領は9日の国務会議で、北韓が開城工業団地の北韓従業員を全員撤収させ、事業の暫定中断を発表したことについて「とても失望した」と表明、「北韓は誤った行動をやめ、民族全体の未来のために正しい選択をすべきだ」と促した。 朴大統領は「意図的に危機を高め、その上で妥協や支援を引き出すという、際限のない悪循環をいつまで繰り返すつもりなのか」と北韓を厳しく批判、軍事挑発と威嚇のエスカレートには断固対処することをあらためて表明した。 さらに「投資には予測可能性と信頼が最も重要な前提なのに、国際社会が見守る中で、このようなやり方で国際社会の規範と約束を破り、開城工団の運営を中断させるなら、今後北韓に投資する国と企業はどこにもないだろう」と強調した。これとともに「開城工業団地の正常運営が難しくなれば、韓国企業の被害補填のために南北協力基金が支出されるはずで、それだけ南北交流協力のための使い道は減るしかない」と述べた。 政府は8日、北韓が共同運営する開城工団から北韓労働者を全員撤収させ、工団の操業を暫定的に中断すると一方的に宣言したことについて「極めて遺憾だ」とする統一部声明を発表した。 声明は、「これにともなう全ての責任は北韓当局が取らなければならない」と主張し、今後、北韓が無分別な行動を取った場合は冷静かつ毅然として対処するとした上で、工団に滞在している国民の安全と財産保護に最善を尽くすと表明した。 南北は、開城工団など経済協力事業をめぐり、03年4月に経済協力合意書を交わした。このうち、投資保障合意書には「相手方の投資者の資産を保護し、投資および企業活動を目的とする人員の出入り、滞在、移動に関する問題を好意的に処理する」との規定がある。02年に北韓自らが定めた開城工業団地法にも「投資者の権利と利益を保護する」との条文がある。 ■□ 一方的に従業員撤収 北側、責任を韓国に転嫁 北韓は核先制攻撃や全面戦争再開を示唆するなど、意図的に対南挑発・恫喝を継続、韓半島での軍事的緊張を極度に高めている。移動発射式弾道ミサイル発射準備とみられる動きに続き、9日には唯一の南北経済協力事業である「開城工業団地」で働く北韓労働者を出勤させず、事実上操業を全面中断させた。 労働党対南総責の金養建統一戦線担当秘書は8日発表した談話で「開城工業地区で働くわれわれの従業員が全員撤収する」と明らかにし、「開城工業地区の事業を暫定的に中断し、存廃について検討していく。今後、事態がどのような方向に向かうかについては全て、南朝鮮当局の態度いかんにかかっている」と威嚇した。 北韓が同工団から北側従業員をすべて撤収させるのは2004年12月の工団稼働以来初めて。現在は北韓の労働者5万3000人余りが韓国企業123社で働いている。 南北関係が悪化したここ数年間も、工団事業は縮小されずむしろ拡大してきた。10年の北韓による韓国海軍哨戒艦「天安」爆沈事件や延坪島砲撃事件の際にも通常通り操業が続き、南北「最後の接触ライン」としての役割を果たしてきた。 (2013.4.12 民団新聞) |