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韓国食育の歴史<8> 醤(チャン)
家伝の味 郷愁の逸品

 韓国の醤(チャン)類は、飲食や味を調和させる基本調味料であると同時に、蛋白質の供給源でもある。昔からその家庭の醤油や味噌の味は家柄を計るバロメーターと言われ、一家のシオモニたちは家に受け継がれた秘伝の醤造りを嫁に伝授した。同時に嫁は、醤甕の管理に対する心得なども必然的に身につけた。

 台所を切り盛りする女性たちの重要な年中行事は、醤の仕込みとキムジャンであった。収穫した大豆を炊き、砕いて発酵しやすい大きさにかたどったメジュ(味噌玉麹)は、藁床に寝かせると麹菌により自然と発酵が進む。

 このメジュは翌年の2、3月に表面のカビを洗い落として乾燥させたら、消毒した甕に重ねて入れる。そこへ煮冷ました塩水を注ぎ入れ、木炭、赤唐辛子、ナツメを浮かしたら異物侵入防止のため、粗織りの綱紗で被い蓋で密封する。主婦は毎日、甕の表面を清潔に洗い、太陽が昇ると蓋を開けて日光を浴びせ、日が傾くと蓋を閉める。

 不浄のものの接近を防ぐために甕の縁にしめ縄を巻き、甕の表面にポソン(足袋)の原型を逆さに張りつけ雑神がポソンのなかに入って出られないようにと、呪術的なこともする健気な主婦もいる。

 メジュを塩水に浸して30、40日間熟成させたものをこして、汁とメジュに分離させる。メジュは塩加減を調えて味噌となり、汁は煮つめて冷ましたら甕に貯蔵する。

 この半透明のベッコウ色の清醤は主に、おすましやナムルなど食材の色を生かす味つけに用いる。また数年、甕のなかで寝かした陳醤は甘みが増し、色も濃くなることから煮付けや薬食、チム料理に使われる。

 昔から醤の味が変わると不吉な兆候とされ、仕込む際には吉日を選び、仕込みにたずさわる女性たちは3日間不浄を避け、犬も叱らない。当日は韓紙のマスクをかけて作業をするなど、決まりが厳しかった。

 20、30年前までは各家庭でつくられた醤類だが、居住環境などの変化に伴い、食料品店で買って食することが普通となった。その一方で農協や寺院では、従来の方法で品質のよい醤油や味噌、コチュヂャンを特産品として積極的に販売、年々、これらの商品を買い求める消費者は増えている。

 外国人は最も美味しい韓国料理に焼肉、キムチを挙げるが、私たち韓国人は小さいころから食べ親しんできた味噌チゲをおふくろの味として、郷愁を覚える逸品として自信を持って挙げるでしょう。

料理研究家 姜連淑

(2008.9.17 民団新聞)
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