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北韓強制収容所を告発 在日同胞がアニメ映画で世界中に実態
清水ハン栄治さん

制作費1億 出資者募る

 わずかな飼料用トウモロコシと塩水程度で命をつなぎ、1日12時間の強制労働に甘んじる。これが一部の脱北者を通じてもたらされた北韓強制収容所の実態だ。約10万人を数える北送同胞も、その2割がいわれなき「スパイ」の濡れ衣を着せられ、収容所に送られているという。在日同胞の清水ハン栄治さん(40、Emotional Content代表)は、こうした実態を告発するためアニメ映画化を思いついた。

 清水さんは、「人の痛みを和らげるようなヒューマニティーに貢献できる生き方をしたい」と5年前にリクルート社を脱サラ、メディア制作会社を立ち上げた。これまでにダライ・ラマ14世、マハトマ・ガンジー、マザー・テレサなどを描いた伝記漫画をシリーズで出版してきた。この5年間で出版した作品は世界20カ国で10カ国語に翻訳されている。ダライ・ラマを描いた伝記漫画は、インドやネパールのチベット人学校で教科書としても採用された。

 伝記漫画の次はより影響力のあるアニメ映画をと考えていた昨春、在日同胞の知人を通じて強制収容所問題を知り、「心に火がついた」。「飢えに苦しんだ母親が、死んだ息子の肉を食べたという話も聞いた。まるでホロコ‐ストの世界だ。どの人でも、この現実に目を向ければ心に火がつくはず」と意志の強そうな目を光らせた。

 アニメ映画は1時間40分程度を想定。北韓で辛苦を味わう北送同胞の家族を主人公としたシナリオの骨格を固めた。日本の優秀なアニメーターも確保したが、1億円前後と見積もる制作費の捻出に苦戦している。清水さんは在日コミュニティーから支援の声が上がるのを期待しているという。

 「アニメ映画のように大衆性があり、接近しやすいメディアを利用すれば、世界中で沈黙している多数の関心を引き出せる。このような方式で強制収容所問題に打撃を与えれば、体制にも大きな影響を与えることになるだろう」と話している。

 清水さんの連絡先はinfo@biographicnovel.com

(2011.1.26 民団新聞)
 

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