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民主的秩序守る決意決然と示せ…憲法裁の統合進歩党違憲審判
内乱陰謀罪で起訴された李石基議員の初公判を前に傍聴券を求める市民(12日、水原地裁)

 韓国政府は5日、従北勢力の巣窟・統合進歩党(以下、統進党)に対する「違憲政党解散審判」を憲法裁判所に請求し、合わせて、同党所属議員の議員資格喪失宣告請求と政党活動停止の仮処分申請も提出した。一方、水原地方法院は12日、内乱陰謀容疑で逮捕・起訴された同党所属の李石基議員ら7人を裁く初公判を開いた。当分の間、韓国憲政史上初めての違憲政党解散審判に臨む憲法裁と、内乱陰謀事件を扱う法院の審理が同時進行する。審判や公判の過程で国政中枢にまで浸透した従北勢力の実態にどこまでメスが入るのか、それがまた、国の根幹を揺るがしてきた理念葛藤にどのような影響をもたらすのか。在日同胞社会にも波及が必至なだけに目が離せない。この問題を法理と実情に即して検証する。

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最小限の防衛的規範
「対北融和」で後退…残る「左派コンプレックス」

 憲法第8条4項は「政党の目的又は活動が民主的基本秩序に違背するときは、政府は憲法裁判所にその解散を提訴することができ、政党は憲法裁判所の審判により解散される」と規定している。解散要件は「目的又は活動が民主的基本秩序に違背するとき」と実に簡潔である。

 ただし、憲法裁は2001年、この「民主的基本秩序」について、基本的人権と複数政党・選挙・市場経済の各制度を尊重するとともに、すべての暴力的、恣意的な支配を排除し、多数の意思と自由及び平等に依拠した国民の自己決定を土台とする法治国家的統治秩序と定義している。

 民主的基本秩序とは、つまり開かれた社会を志向する範囲内で、自由民主主義から社会民主主義まで多様な理念と政策を許容すると同時に、その民主主義を防衛するために設けられた最小限の制限規範と言える。

 そこには主として、開かれた社会に与えられた自由を悪用して北韓独裁に阿附・追従し、韓国の憲政体制を瓦解させようとする政党の存在は許されない、との意志が込められている。

 問題はその意志の強弱だ。80年代の民主化旋風と98年から10年にわたった金大中・盧武鉉両政府による融和的ないし宥和的な対北政策のもとで、目に見えて後退したことは否めない。それと反比例するように、80年代半ばには主思派(主体思想派)が自生し、時を追って増殖した従北勢力を核に親北性向の裾野が広がった。

 立法・司法・行政の3権の府にもそうした勢力が浸透し、隠然とした力量を保持したまま、李明博大統領下の5年、朴槿恵大統領下の1年が過ぎようとしてもさほど清算されてはいないという。

「親北」性向にかげりあるが

 東亜日報などが先月実施した全国1500人を対象とする意識調査で、自身の「理念性向」を「保守」32・7%、「進歩」26・1%、「中道」41・2%とする結果が出た。3年前の22・6%、32・9%、44・6%に比べ、「私は保守」が10ポイント多い。「韓米同盟の必要性」についても、「必要」が87・2%から96・0%に増えている。

 この3年間に、天安艦撃沈事件(10年3月。延坪島砲撃事件は同年11月)があり、昨年末からこの春にかけて北韓による長距離弾道ミサイル発射や核実験の強行とそれにともなう核戦争危機の造成があった。統進党とその前身である民主労働党(以下、民労党)の内部選挙の不正による激しい内紛もあった。

 韓米同盟への信頼感が高まったのも、従北勢力に活動空間を提供してきたとも言える「進歩」ブームにかげりが見えはじめたのも、当然の成り行きだろう。だが、社会に染み込んだ親北性向が薄まり、国民意識が従北勢力を窒息させる方向に傾く可能性は高くない。

 合理的保守を自認する識者らから、「統進党は国民が選挙で自然と退出させることができる。敢えて政府が介入し、司法に解散審判を要求したのは、議会民主主義を傷つけかねない」との懸念が表明されているという。

 かつて、激しい民主化運動に煽られたがゆえの心的外傷後ストレス症候群とでも呼ぶべきか。あるいは、保守インテリの左派コンプレックスとでも言うべきか。保守系にしてこの有様であれば進歩系は推して知るべしだろう。

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「自然退出」が望ましいのか
強制こそ禍根を断つ…歪んだ歴史観あなどれない

 統進党は昨年4月の第19代国会議員選挙で、民労党時代の5議席から13議席(地域区7・比例代表6)に躍進した。同党を牛耳る従北勢力の存在を国民多数が知っていたにもかかわらず、この結果である。大きく二つの要因があった。その一つが非主思派による主思派=従北勢力との野合だ。

 06年10月、金正日への忠誠を誓い一つの心で変わることなく、韓国社会の主体思想化を策す秘密結社・一心会が摘発された。この事件で複数の民労党中枢幹部の有罪が確定(07年12月)すると内紛が頂点に達し、「金日成主義者が党を牛耳っている」とまで糾弾して非主思派は離党する。「従北勢力」という言葉は、この紛糾の過程で彼らが初めて用い、社会的に広く流布されたものだ。しかし11年12月、一部幹部らが再び合流して統進党が結成された。

 もう一つは、その統進党と最大野党である民主党が昨年3月に発足させた「野圏連帯」だ。二つとも、第19代国会議員選挙での勝利を期した合作である。反保守勢力の票が割れるのを防ぐことに最大の眼目があったのは確かだろう。しかし、その裏に従北勢力の旺盛な活動力を取り込もうとする思惑があったのは否定しにくい。

 保守政権を打倒するために一致結束するのは、進歩勢力として当然だからと言って、執権を目指す政党が従北勢力とまで政策協定を結び、選挙協力を行えばリスクを抱え込む。いずれにせよ、「野圏連帯」が実現し、その結果として統進党が躍進したのは、従北勢力に対する国民一般の抵抗感がさほど強くない証と見るべきだろう。

 その根底には、南は米帝の手先に衣替えした旧親日派が建てた反民族・反統一の隷属国家であるのに対し、北は抗日パルチザンが樹立した愛族的・統一勢力の自主国家であるなどとする歪んだ歴史観の影響も大きい。北韓独裁と従北勢力が仕掛ける巧妙なプロパガンダから、たやすく自由にはなれない土壌がある。

 合理的保守を自認する識者の「自然退出論」に戻ろう。より望ましいのは退出以前に、登場そのものを許さないことだ。しかし、それは叶わなかった。では、自然退出は次善の策として本当に望ましいのだろうか。大いに疑問と言わざるを得ない。

 第一に、残念ながら今は国民一般の意識が理念葛藤に翻弄されている。その事実を認めてかかるべきだ。第二に、北韓が統一戦線方式によって韓国を呑み込もうとする路線を維持する限り、自然退出させても類似政党が出現する余地が残る。

存続も登場も許してならぬ

 政党法は、解散決定の下された違憲政党と類似の目的を持つ政党の結成を禁じている。民主的基本秩序に違背する政党は、存続も再登場もさせてはならない、との意志に基づく。自然退出ではなく、あくまでも憲法と政党法の意志を厳格に発動することで強制退出させ、政治的な規範を固めねばならない。

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憲法第8条4項の本旨
「目的」だけで判断可…具体的事件性なくとも

 法務部は「違憲政党・団体関連対策TF(タクスフォース)チーム」を9月6日に発足させ、統進党の違憲性を総合的に検討してきた。

 それを集約した「違憲政党解散審判請求」で、「統進党は2011年、北韓の指令に従い、金日成の対南革命戦略である《進歩的民主主義》を党の最高指導理念として綱領に掲げた」とし、「統進党が主張する韓米同盟解体と駐韓米軍撤収、国家保安法廃止、連邦制統一は、金日成の《進歩的民主主義》の核心内容とまったく同じである」と主張した。

 また、「RO(革命組織)が主軸である汎京畿東部連合が党権を掌握し、これを保護・黙認するNL(民族解放=主思派)系列だけが統進党に残留している」とし、「最近摘発されたROの内乱陰謀はまさに、武力暴動によって韓国を転覆させようとしたもの」と指摘。この革命組織は国会議員3人、議員補佐官のほか、最高委員、代弁人を含む主要党職者など32人を擁して統進党を掌握しているとも明らかにした。

 統進党の「目的」と「活動」の二つの領域で違憲性ありと判断したことになる。したがって、憲法裁と内乱陰謀事件を扱う法院の審理が並行する過程で、二つの事案が何かと関連づけて論議されるのは避けがたい。

 法律の一部専門家たちも▽統進党は綱領を民主的基本秩序に合うよう偽装し、隠密に北韓式社会主義を追求したか▽ROが実際に民主的秩序を暴力的に転覆しようとしたか▽一部構成員の行為を政党全体の違憲的要素と見なせるかなどの隘路を提起し、結局は証拠があるかどうかが問われると見る。

 また、内乱陰謀事件は有罪が確定するまでは無罪推定の原則が適用されるにもかかわらず、政府の統進党解散審判請求は法院の審理に影響を及ばす性急な決定だ、との見解もある。

 これらの論議には、仮に李石基議員らの内乱陰謀容疑が無罪となれば、統進党にも違憲性なしと判断されるほかない、との含みがある。果たしてそうだろうか。

 憲法には「目的又は活動」とあるのであって、いずれかが民主的基本秩序に違背すれば解散を命じる規定になっている。

 「目的」は「活動」に内容と方向性を与え、「活動」はそれに基づいて「目的」を具現する。分かちがたく結びついているとはいえ、違憲政党審判ではあくまで「目的」を第一義に扱うのが本筋だ。

 今年の4月と5月、二つの保守系市民団体が「一貫して敵の側に立ち、味方とその同盟国を非難する統進党の自由と民主的基本秩序を否定する反国家的、反憲法的利敵行為を看過できない」として、法務部に解散請願書を提出した。これを契機にするかどうかはともかく、内乱陰謀事件の摘発(9月5日)がなくとも、つまり事件性の有無にかかわりなく、解散審判の請求は法理的根拠を有していることを念頭におく必要がある。

 ドイツ基本法の第21条(政党)2項は「政党で、その目的又は党員の行動が民主的な基本秩序を侵害もしくは除去し、または、ドイツ連邦共和国の存立を危うくすることを目指すものは、違憲である」とする。韓国憲法の第8条4項と同趣旨だ。これに基づいて52年と56年に、ナチスの流れを汲む社会主義帝国党、同党と協力関係にあったドイツ共産党に活動禁止を命じた。いずれも、具体的な事件性を欠いたままの違憲判決であった。

東独より強い北韓の攻撃性

 北韓独裁の韓国に対する攻撃的な性格は、旧東ドイツの旧西ドイツに対するそれの比ではない。韓国の特殊性から見て、「活動」実績が検証可能になるのをまって解散に動くようでは安全を保てるはずがない。憲法第8条4項の原則は、「目的」に違憲性があれば「活動」が本格化する前に対処するよう促すものと解釈すべきだろう。

 憲法裁に求められるのは、民主的基本秩序を守ろうとする強い意志である。憲法精神と法理に徹する姿勢を示せず、違憲政党を野放しにするようでは国が成り立たない。同盟国である米国は言うに及ばず、普遍的な価値観を共有する友好国をはじめとする国際社会の信用さえ失いかねない。

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在日社会も舞台に
従北勢力、内外連携し場外闘争

 統進党解散審判と内乱陰謀事件をめぐっては、メディアを通じて双方の言い分が大々的に流され、集会・デモなどの場外闘争も過熱するだろう。在日同胞社会も当然、その舞台になる。

 朝鮮総連はこの間、「対北原則論は最高尊厳に対する挑戦」「対北体制変化要求は吸収統一の妄想」「外勢と結託し軍事的な対決を強化」などと韓国を中傷攻撃するビラを配布してきた。

 それに加えて、「内乱陰謀事件をねつ造するなど維新独裁に回帰する朴槿恵政権は、父親と同じ末路をたどるだろう」などとするビラを作成、先月末には、在日同胞や日本人に流布する宣伝事業を展開するよう全国の各級組織に指示している。

 韓統連も11月8日、統進党の解散審判請求を糾弾する声明を発表し、大統領選挙に際して朴槿恵候補を批判した統進党・李正姫代表に対する政治報復であり、国家機関の選挙介入に対する国民の批判を封鎖しようとするものだと主張した。

虚偽宣伝拡大朝総連が指示

 韓国内外の従北勢力はこれまでも、北韓当局の指示の下に共同キャンペーンを展開してきた。統進党に対する違憲審判が下されれば、従北勢力にとって決定的な打撃となり、活動基盤を大きく損なうのは間違いないだけに、韓日関係の悪化を助長をしながら、韓国糾弾の世論を盛り上げ、それを韓国内に環流させようと懸命になっている。

 違憲政党解散審判は特に、韓国憲政秩序の確立・安定にかかわるといって過言ではなく、祖国の平和的民主統一に向けた体制整備の面でも重要な意味を持つ。虚偽・歪曲宣伝を排除する万全の構えを整えたい。

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政党解散審判とは
憲法裁判所の5大権限…迅速処理見込む

 政党解散審判は、違憲法律・憲法請願・権限争議・弾劾の審判とならぶ憲法裁判所の5大権限の一つで、民主的基本秩序に反する政党を強制的に解散させる制度だ。

 憲法の規定により、解散審判請求人は大韓民国政府、代表者は法律上、法務部長官が務める。政府は今回、鄭 原国務総理主宰の閣議を開いて「違憲政党解散審判請求の件」を審議・議決し、欧州を歴訪中の朴槿恵大統領の電子決済を経て憲法裁に提出した。

 憲法裁は一般的な事案であれば、主審裁判官を抽選で無作為に決定し、書面審理を原則とする。今事案はその重大性にかんがみ、裁判所長と裁判官の合議によって主審を決定し、審理も口頭弁論で行う。

 統進党の綱領や政策、党首と幹部の演説、出版物の内容、政党名義による活動、党首や幹部・党員らの活動実体を検討する。審理の結果、統進党の目的または活動が憲法の定めた民主的基本秩序に反すると裁判官9人中6人が認定すれば、解散が決定される。

 9人の裁判官は、大統領が3人、国会が3人、大法院院長が3人をそれぞれ指名、国会の同意を得て大統領が任命する。

 憲法裁は180日以内に審判を下すことになっているが、これは必ず守るべき強制規定ではなく、遅延することもあり得る。だが、処理が遅れることによって国や自治体に重大な損失を与えるか、社会に不必要な消耗を強いる可能性がある場合、あるいは利害関係者が多く国民的な関心が高いケースについては、「適時処理」の内部規定によって迅速処理を原則とする。本事案はその「適時処理」の対象だ。

 統進党には11年12月の結成以降、政党補助金や選挙補助金として血税100億ウォンが投入されてきた。強制解散されない限り、例え李石基議員の有罪が確定して国会から除名されても、統進党は公費で活動でき、所属議員の議員身分もそのまま維持できる。来年6月4日には第6回全国同時地方選挙があり、現状のままでは統進党も候補者を立てられる。混乱を避けるためにも可能な限り迅速に処理される展望という。

 政府は同党所属議員の議員資格喪失宣告請求も行った。憲法学者の間では解散決定が下された場合、その政党所属議員は全員議員資格を失うとの見解がある一方、比例代表議員はそれに該当するが、地域区選出議員は職を維持できるとの見方もある。この件について政府は、明文規定はなくとも、解散政党の所属議員は議員職を自動的に喪失するのが違憲政党解散制度の趣旨に適合するとの解釈だ。

(2013.11.20 民団新聞)
 

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