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韓国食育の歴史<6> 夏の補養食
汗流し三伏乗り切る

 韓国では夏の一番暑い時期に、初・中・末の三伏を迎える。これは夏至から数えて3回目の庚日を初伏、4回目を中伏、立秋の後の最初の庚日は末伏になる。この時期は高温、多湿で不快指数も高くなり、大汗をかき続け、あげくには体力の消耗も甚だしい。ついつい冷たい飲料の飲み過ぎで、体内の調整機能が低下する。

 こんなとき韓国では昔から健康維持のため、補身効果の優れた飲食を摂る習慣が伝えられている。熱いものを食して思いきり汗をかき、その後の爽快感を味わう。ひと夏のばてた体を補強して、三伏を乗り切るための滋養の豊富な熱いスープである補身湯(ポシンタン)を食す。

 特殊な補身湯に狗醤(クジャン)がある。「東国歳時記」によれば、中国の統一王朝である前漢の歴史書「史記」に、「城内4大門に犬を吊し虫災(虫害)を封じた。それゆえ伏日に犬を殺すことが三伏の行事である」とし、犬を厄払いの儀式に用いた風習が、後に食用になり、韓国では狗醤として三伏に欠かせなくなったのが後の補身湯である。

 しかし上流階級では犬肉を忌み嫌い、牛肉に替えてネギをたっぷり加えた辛味のユッケジャンスープを伏中の時節食としたものが、今日誰もが好む日常食に発展した。

 一般家庭で家族の健康のため、暑気払いと衰弱を補うため、主婦はひな鶏の頭と足、内臓を取り除き、腹のなかにもち米、ナツメ、栗、ニンニクを詰めて、スープが乳白色になるまで煮込んだ軟鶏白熟を食べさせることに心がける。この白熟に高麗人参を入れて炊いたのが、参鶏湯(サムゲタン)である。参鶏湯は薬効の優れた鳥骨鶏を使う。

 白熟や参鶏湯に適している鶏は、生後5〜6カ月の卵を産む前のひな鶏でなくては薬鶏にならない。副材料のニンニク、ナツメ、栗などは日常的に食している韓方剤であり、高蛋白で味と栄養が豊富な鶏と、古くから万病に効く妙薬とされてきた人参が調和をなし、薬食同源の概念が溶け込んだ代表的な飲食といえる存在である。

 この時季、これらを扱う飲食店はどこも、熱い具だくさんの汁を汗を流しながら食べる客で賑わう。そのなかでも参鶏湯専門店は予約客でも待たされる有り様である。

 この専門店で、大鉢に盛られた一羽丸ごとの参鶏湯を前にした日本の修学旅行生たちに遭遇し、「韓国の食文化を吟味することも立派な観光ですよ。疲れを癒して下さい」と微笑ましく思ったことがある。

(2008.6.25 民団新聞)
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