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絵本で伝えよう平和の尊さ…韓日中の作家第1弾共同出版
『非武装地帯に春がくると』 イ・オクベ作、おおたけきよみ訳(定価2100円)
『へいわってどんなこと?』 浜田桂子作(定価1575円)
『京劇がきえた日』 姚紅作、中由美子訳(定価1890円)

初の試みシリーズで
相互理解と痛み共有へ6年の作業

 韓国、日本、中国を代表する絵本作家が4人ずつ、平和をテーマにしたオリジナル絵本を制作し、各国で共同出版する、絵本史上初めての試みとなるシリーズの第1弾が日本でこのほど、東京・文京区の童心社から刊行された。イ・オクベ作『非武装地帯に春がくると』、浜田桂子作『へいわってどんなこと?』、姚紅(ヤン・ホン)作『京劇がきえた日』の3冊には、次世代を担う子どもたちへ向けた、奥行きの深いメッセージが込められている。

日本の誘いに次々と応じて

 『日・中・韓平和絵本』3カ国共同出版の企画は、05年6月、「アジアに対する侵略という苦い過去を見つめ、平和の大切さを絵本で世界の子どもたちに伝えよう」という、日本の絵本作家である田島征三さん、田畑清一さん、浜田桂子さん、和歌山静子さんの4人が、中国の絵本作家に呼びかけたのが始まりだ。

 05年は小泉純一郎首相の靖国神社公式参拝問題や、扶桑社出版の「新しい歴史教科書」採択問題などで、韓国、中国から批判が相次いだ年でもある。日本人作家は中国に次いで、06年に韓国にも声をかけた。

 呼びかけでは、日本が中国、韓国を始めアジアの国々に対し、侵略と植民地支配によって多くの犠牲と苦痛を強いた点にも触れている。

 そして、未来を担う子どもたちに対して、同時代を生きる他の国の人たちと仲良く豊かな信頼関係を築き、戦争のない平和な世界を作ることへの希望を託している。

 「もし、中国、韓国、日本の絵本作家が連帯し、心を一つにして1冊出来たら、意義は大きい。絵本は子どもの心に直接働きかけられる媒体だから」。平和絵本に託す日本人作家の並々ならぬ思いが伝わる。

 韓国、中国の絵本作家との交流が続くなか、07年11月に南京会議(中国・南京)を開催。絵本作家12人と3国の出版社の編集者が集まり、各作品の企画について打ち合わせを重ねた。

 会議に出席した浜田さんは、「数日間の南京会議では、各国の作家は自分のアイデアを語り、それについて議論を交わした。それは私たち作家にとっては、お互いに勇気のいる体験だった」と回想する。

 また、『へいわってどんなこと?』の最初のダミー本を紹介した浜田さんに対し、韓国人作家から「へいわって、わるいことをしたらあやまること」を加えてほしいという意見があったと話す。

 さらに最終的な絵本の形が見えてきた09年12月、とくに戦争の場面では、「日本人の被害者意識が強調され、自分の国の枠を超えていない。普遍的な平和の表現になっていない」という厳しい批判も寄せられた。

 浜田さんは「『日本人の戦争に対する普遍的な無意識』という言葉は、今後戦争を考えるとき、私の頭にいつも存在することになるでしょう」という。

 08年5月には、ソウルブックフェアで3国の出版社が共同出版に向け、『日・中・韓平和絵本』の合意書調印を行った。刊行までに6年余をかけた共同作業は「国や民族を超えた、相互理解と痛み共有への努力の連続」だったと関係者は当時を振り返る。

韓国の作家は統一へ夢描く

 韓国のイ・オクベさんは、これまで、『ソリちゃんのチュソク』(セーラー出版)、『せかいいちつよいおんどり』(新世研)などを出版。韓国で初めてブラティスラヴァ世界絵本原画展にノミネートされるなど、名実ともに韓国を代表する絵本作家の一人。

 『非武装地帯に春がくると』は、分断の象徴でもある非武装地帯をテーマに、長い鉄条網が立ちふさがり、人々の手の届かない場所で生き生きと暮らす動物たちを通して、祖国統一と平和への願いを描く。

 『へいわってどんなこと?』は、身近な日常から、平和の意味と、守らなければならない大切な命を、さまざまな国の子どもたちの姿を通して表現している。

 『京劇がきえた日』は、中国の伝統的な演劇である京劇を題材に、1937年12月の日本軍による南京占領を問い、戦争は多くの人々の命と、文化を奪うものだということを訴える。

 問い合わせは童心社編集部(TEL:03・5976・4402)。

(2011.6.22 民団新聞)
 

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