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イルボンで出会いのエッセイ<1> 金益見
「わしも在日や、ほんまやー」

 ある日の夕方。花の水遣りをしていると、「お花きれいやね」と声をかけられた。突然の声に驚いた私が顔を上げると、お爺さんが目の前に立っていた。「この辺りは在日の人が多いんやねぇ、表札に金とか姜とか書いてあるわ」とその人は笑った。

 「そうなんです。ここは在日が多い地域なんです。私も在日なんです」。私が答えると、お爺さんはますますニコニコしながら「そうかそうか。わしも在日や、在日1世。こう見えても70過ぎてるねん」

 とてもそうは見えなかったので「またまたー!」と言うと「ほんまやほんまや」と、お爺さんは財布から外国人登録証明書を出して見せてくれた。

 「ほんまやー!!」私はびっくりすると同時に嬉しくなった。生まれた時から祖父がいない私は、1世のお爺さんと話せる機会などほとんどなかったからだ。

 「実は私、在日のいろんな方々にインタビューして、漫画描いてるんです。在日の先輩方の思いを若い人に伝えれたらなあと思って!」

 少し興奮気味にまきずし大作戦のことを説明すると、お爺さんは「ええこっちゃ。わしら苦労したけど、若い人がそうやって元気に自分のやりたいことしてくれたら嬉しくなるわ。でも、在日やゆうてもなんも特別なことあれへんよ。色んな人がおるからな、在日の前に人間として色んな人と会ったらええよ」と言った。

 メディアに取り上げられて、プレッシャーに苦しんでいた私に、その言葉は静かに響いた。するとお爺さんは思い出したように、「そうそう、花が好きで、大事に育てられる人に悪い人はおらへん。この辺りは花がきれいに咲いてる家が多いから、ええ人間が多いっちゅうこっちゃ。気楽にな」と笑った。

 私は、なんだかわからないけど、このお爺さんともっと話してみたいと思い、急いで家に入りメモを取って出てきた。すると、お爺さんはもうおらず、急いで辺りを探したけれど、見つからなかった。

 私はいつかのこのお爺さんの話を書きたいと思っていた。どこかでこの記事をお爺さんが読んでいてくれたら嬉しいなと思う。たった一瞬の不思議な時間だったけど、お爺さんからもらった言葉は今でも私の中で生きています。

■□
プロフィール

 金益見(きむ・いっきょん) 在日3世。大阪在住。在日コリアンをHP「まきずし大作戦」で漫画で紹介する活動を行っている、行動派大学院生。(まきずし大作戦HP http://makikome.com/

(2007.10.10 民団新聞)
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