非核化進展後に大規模協力 司令塔として「国家安保室」 朴槿惠大統領当選人の統一・外交・安全保障政策の3大キーワードは「持続可能な平和」「信頼外交」「幸福な統一」。このキーワードに基づく政策により、韓半島情勢を安定的に管理し、統一の基盤を実質的に構築するとの構想だ。政策を統括して調整する司令塔として「国家安保室」(仮称)を新設する。 朴当選人は、先安保・後協力という李明博政府の対北政策基調を維持しながらより柔軟な「進化する対北政策」の推進を公約としている。北韓政策のキーワードは、「南北間の信頼と均衡」、「北韓の非核化」。南北間に信頼関係が築かれ、北韓の非核化に進展があれば、韓半島経済共同体建設のために国際社会まで参加する大規模な経済協力策「ビジョン・コリア・プロジェクト」を推進する。この一連の過程を「韓半島の信頼プロセス」と呼んでいる。 金大中・盧武鉉両政府の包容政策(太陽政策)と李明博政府の原則主義(厳格な相互主義)に振れてきたこれまでの北韓政策では、北韓の実質的な変化を引き出すことはできなかったとし、二者択一の対北韓政策を脱却して均衡の取れた政策を推進するとしている。その一方で、「与えるだけの平和は本当の平和ではなく、北韓への漠然とした期待から一方的に支援することはない」との姿勢も明確にしてきた。 信頼醸成のために、南北間の対話に前提条件を付けず、必要ならば北韓の金正恩第1書記との首脳会談も可能との姿勢だ。だが「天安艦撃沈事件・延坪島砲撃事件のような、国民の命を奪ったむごい事件があったのに、何事もなかったかのように南北首脳会談を開催しようというのは問題がある」とし、必ずしも急がないことを明らかにしている。 「ビジョン・コリア・プロジェクト」は、北韓が自立する力を高めるためのインフラ構築(電力や交通、通信分野など)、国際金融機関への加盟、海外からの投資誘致の支援、羅先など北韓の経済特区への進出、南北と中国、南北とロシアの協力強化などを提示。保健・医療協力と環境関連協力の体系化、開城工業団地の国際化、地下資源の共同開発、南北ガスパイプラインの設置、送電網構築事業などもあげている。 南北交流協力事務所設置も 朴当選人は、南北経済協力および社会・文化交流の持続的発展と制度化のために、南北代表部の役割を担う「南北交流協力事務所」をソウルと平壌に設置する構想も提示している。 政治的な状況とは別に、人道的な問題の解決も引き続き促す考えだ。北韓支援の透明性の向上、乳幼児などに対する優先支援、南北離散家族問題の実質的な成果、6・25戦争時の韓国軍捕虜と拉致被害者の帰国などに重点的に取り組む姿勢を明らかにした。 民主統合党など野党側の反対で先送りされてきた北韓人権法の制定、北韓脱出住民(脱北者)の保護と強制送還の防止など、北韓住民の人権改善にも努める。 6・15南北共同宣言(00年)、10・4南北首脳宣言(07年)だけでなく南北基本合意書、韓半島非核化共同宣言(91年)など、これまでの南北合意に共通する基本精神を尊重しなければならないと強調している。 北韓の核・ミサイル問題については「平和を破壊する行動には、きちんと代価を払わせるべき」と語ってきた。北韓の核問題を解決する手段として、抑止力強化のもとでの交渉の多角化、南北間の実質協議の推進、韓米中による戦略対話の開始などを挙げている。 (2013.1.1 民団新聞) |