| 配達準備は完了したが、配達する綿布団はないようです。綿布団を打ち直す才能のあるあの家主は、世の荒波に押されて、今日も開店休業です。 | ある日、坂道で偶然、綿布団の打ち直し屋を発見しました。30年くらい前の記憶がよみがえりました。お母さんは冷たい風が吹いてくると、前の年に使った布団のなかの、平たくなった木花綿を取り出し、綿打ち屋に行きます。
お母さんは部屋のなかを片付けて、布団シートを広げ、ふわふわになった綿布団を広げます。その上に家族が好きな色の布をのせます。お母さんは針仕事が終わるまで、部屋に入れませんでした。それは針にささらないようにしようとする親心だったようです。
文責=ギャラリーKyo
作家・許旭
(2008.11.5 民団新聞)
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