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北韓核・拉致問題の早期解決を(04.1.1)
総連中央に「反核共同行動」を呼びかけた第58回光復節中央記念式典
「在日」の立場から尽力…韓半島平和・安定に不可欠

総連中央も共栄へ呼応せよ…「開かれた日本」のためにも

 核開発、日本人拉致、脱北者問題。北韓が引き起こした一連の問題が、解決を見ずに年を越した。本団では昨年8月の光復節記念式典で、金宰淑中央本部団長が、韓半島の平和定着と在日同胞の生活安定の面からも、一刻も早い問題解決を訴えてきたが、04年の年始めに当たり、改めて見解を明らかにし、在日同胞の立場から「反核」の声を結集したいと思う。


 昨年は、北韓の核兵器開発問題の平和的解決に向けて、南北韓をはじめとする周辺諸国による6者会談がはじまり、世界がその推移を見守った一年でした。特に、在日同胞にとって、核問題はもちろん、日本人拉致問題で揺れ動き、実に重苦しい年でもありました。

 金宰淑中央団長は、このような日本社会の風潮を憂うとともに、韓半島の平和と安定を願い、昨年の第58回光復節式典の場で北韓の核と拉致問題に対する本団の基本的見解を明らかにしました。同時に在日朝鮮人総連合会中央本部(以下「総連中央」)に対して、一日も早く解決するよう共に立ち上がることを提案しました。この提案は在日同胞はもとより内外から肯定的に受けとめられました。

 04年度中に北韓の核と拉致問題の平和的解決に向けて大きな進展があることを心から願い、韓半島の平和と安定、ひいては東北アジアの平和を願い、本団の基本姿勢を明らかにいたします。

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絶対容認できぬ核兵器開発

 昨年末、第2回6者会談のための事前協議で難航した経緯をみますと北韓の意図を窺うことができます。韓・米・日の3国が「北韓が完全かつ検証可能で不可逆的な形の核廃棄意志を表明し、米国が北韓の安全を保証する」用意を示したのに対し、北韓は「核廃棄と体制保証の一括妥結、そしてエネルギー支援」を見返りとして求めたことから調整が困難となり越年したといいます。北韓住民を飢餓状況に追い込み、脱北者を大量に発生させている事態を放置、さらに国際的な合意枠組みを踏みにじり、自らの体制保全のために支援を求めるというなりふり構わぬ北韓の姿勢に暗澹たる思いを禁じえません。

 北韓は、なぜ汚れた大量殺戮兵器と言われる核開発に手を染めたのか。総連中央の言葉を借りるならば「核があるから韓半島が存在する。核がなければ米国から滅ぼされる」「米国の挑発への対抗」と因果関係をひっくり返す「見なし論法」で核開発を正当化しています。

 総連中央は95年の第17回全体大会で綱領を全面改定しましたが、その際「大量殺戮兵器と核武器の製造と使用禁止」等の項目を削除しています。従来の反核姿勢を転換したことを裏づける結果となりました。本団の提案に対し、従来と同じく「米国の好戦勢力と日本の右翼反動たちの『主張』を代弁している」「民族協助を阻害し反民族・反動」等と全くお門違いの決めつけかたは実に残念です。

 環境破壊と人権蹂躙の象徴的存在として、核兵器の廃絶を世界の人々が訴えている中、この動きに呼応こそすれ、核開発に手を染めてはならないとするのが、わが民族の守るべき伝統です。

 核を体制存続のために交渉のカードとする時代は終わりました。既にロシアと中国は核保有国です。北韓が核保有を強引にすすめたとして、ミサイル発射、工作船、拉致問題によって「北」脅威論に揺れ動く経済大国日本はどうでるでしょう。「核」競争時代がはじまったとしたら、切り札どころか人類危機の扉をこじ開けたことになり、その責任は重大です。

 また、その直接的脅威はどこに及ぶのでしょう。「まさか同族には使用しないだろう」という声もあります。それでは「在日同胞が居住する日本」なのでしょうか。80年以降に限ってみても、83年アウンサン廟爆破事件、87年大韓航空機爆破事件、94年の南北閣僚級会談席上での北韓代表の「ソウル火の海発言」、02年の西海砲撃戦など、非道なテロ・挑発行為を思い出します。日本に対しても拉致事件や98年のテポドン発射、さらに01年に撃沈を招いた工作船侵犯などがあります。

 北韓の核の脅威は、90年中盤から北韓に対して食糧支援などを進めてきた韓国と日本に対して向けられています。容認できるはずがありません。

 在日同胞は、世界で唯一の被爆国である日本に居住しています。広島や長崎で尊い命を失った人たちの中に多くの在日同胞が含まれていることは周知の事実です。直接的な被害者という立場からも絶対に認めるわけにはいきません。

 本団は重ねて、北韓に民族内部の約束である92年発効の「核を製造せず、使用せず、搬入しない」とした韓半島の「非核化共同宣言」と2000年の「6・15南北共同宣言」の順守を求めます。さらに94年の米国との「ジュネーブ合意」と02年に朝日首脳会談で署名した「9・17平壌宣言」、そして国際的な枠組みである核拡散防止条約への復帰を求めます。一日も早く民族的良心にたち、国際協調路線に復帰することを心から期待するものです。

 本団は、北韓が核と拉致問題を平和的に解決する姿勢を明らかにするならば、経済難、食糧難にあえぐ北韓に対して、非力ではありますが、食糧や医療支援をする用意があることを再度、明らかにするものです。


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事件の真相究明と原状復帰

 「9・17」朝日首脳会談で、拉致問題について「知らぬ存ぜぬ」「日本側のでっち上げ」と繰り返してきた北韓当局が態度を一変し、金正日国防委員長自ら「特殊機関の中の妄動主義、英雄主義が韓国に対する工作員養成のため日本人を拉致をした」と認め、謝罪しました。この衝撃的な事実に日本国民は激怒し、在日同胞は驚愕しました。3世帯5人の拉致被害者が帰国するや真相究明の声はさらに激しくなりました。一番深刻に受けとめたのは、ほかでもない総連中央でしょう。総連中央に対する地方本部や傘下団体からの突き上げは激しく、沈静化に躍起になったようですが、総連同胞の失意は深刻で、組織離れが相次いでいます。

 本団は、日本に対する北韓当局の「主権侵害」であり、日本国民の「人権」を蹂躙した国家犯罪であると断じ、北韓と太いパイプを持つ総連中央が真相究明と一日も早い解決に向けて立ち上がるよう呼びかけました。総連中央は「当時、朝日間は敵対関係にあった」「金委員長が謝罪した」「日本と北韓とのこと、総連は全く関係ない」と弁明しました。

 如何に工作員だとしても、手引きもなく日本で巧妙な犯行を重ねることが可能でしょうか。何らかの協力があって可能と考えるのが妥当でしょう。既に総連幹部だった人が関与した事実が判明しています。総連中央は内部調査を行うのが筋であり、その結果を公表すべきでしょう。また、百歩譲って具体的な犯行に関わってないとしても、北韓労働党の海外支部、そして準外交機関として自他共に認めてきた事実から、少なくても道義的な責任は取るべきでしょう。

 日本の国論は「拉致問題の解決なくして国交正常化はない」という基本姿勢です。1月初旬からはじまる国会に、外為規制や万景峰号の寄港制限などの措置法の制定を求めるといいます。その一方で、総連各級組織に銃弾が撃ち込まれたり、爆弾騒ぎ等で住民が避難するという事件まで起きました。

 本団は、民団、総連を問わず、在日同胞全体の生命や生活に対するテロ行為として、絶対に見逃す訳にはいかないとの立場を明らかにしました。指弾されるべきは、北韓の為政者とその取り巻きであります。

 金委員長の「韓国に対する工作員養成のために日本人を拉致をした」という発言が気になります。拉致被害者のある人は金日成軍事大学で教鞭を取ったといいます。あたかも昨年、数10年ぶりに韓国入りしたドイツ籍の宋斗律教授が北韓の工作員であったことが明らかになり韓国で一大騒動となりました。現在も韓国や日本で工作員が暗躍しているのでしょうか。

 国家首班が罪を認め謝罪したのですから、早急に拉致事件の全容を明らかにすべきです。そして被害者は全員原状復帰させるべきであり、当然、賠償もすべきです。問題は北韓で生まれ育った拉致被害者の子どもたちです。人道的な立場に立ち、家族および本人の意思を最大限に尊重することが早期解決の糸口ではないかと思います。


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脱北した在日同胞への思い

 昨年一年間で韓国に入った脱北同胞は1200人を超えました。韓国戦争(50〜53年)後から89年まで6百余人にすぎなかったのですが、北韓経済が悪化しはじめた90年代に次第に増加、02年から1000人を超える規模で増加しました。中国東北部に潜み、人身売買や密告などによって悲惨な境遇におかれている脱北者は、ゆうに30万人を超えるともいわれます。

 その中には、かつて、総連や日本のマスコミの「地上の楽園」という宣伝を信じ、新生活を夢見て北韓に渡った元在日同胞も含まれています。そしてすでに、この日本にも元在日同胞やその妻として北韓に渡った日本人も戻ってきています。

 彼(女)等の生々しい証言の数々を聞くと耐え難い苦痛と哀しみ、そして向けどころのない怒りを抑えることができません。総連は北送事業が始まった直後、北韓が「地上の楽園」でないことに気づいたといいます。それでも、民族差別や生活苦で悩んでいた同胞、そして祖国建設の意欲に燃える若い青年たちを美辞麗句で欺き送り続けたのです。

 どう強弁しても「人道主義的」とはいえません。その彼(女)等らが国を捨てたのは、一言で言って「生きる」ためです。あこがれの祖国と、信じていた総連から裏切られ、不平、不満一言でもつぶやけば、容赦ない処罰が待っている金日成・金正日独裁体制から命を懸けて脱出するしか道はなかったのです。

 本団は昨年6月、日本に命一つでたどり着いた脱北同胞を支援する「支援センター」を立ち上げました。就職の斡旋など生活面全般についてできる限りのケアーに務めています。支援活動に必要な募金も数多く寄せられ、なかには匿名を条件に総連同胞からも寄せられています。

 本来、支援に率先すべき総連中央に、共同対処を呼びかけたのは当然のことです。しかし、「米韓の情報機関につながって『脱北騒動』を起こしているグループに繋がっている」と本団を非難し、脱北者に対しても「犯罪者」呼ばわりしました。「反共和国、反総連騒動の手先」「体制と社会秩序になじめず逃げた者」と罵りました。

 総連中央は脱北者が相次ぐ原因を知っているはずです。北韓の経済は、金日成・金正日政権が軍事力増強を最優先にする「強盛大国」づくりに奔走した結果、破綻したのです。水害などの天災が直接的原因ではなく、主体農業や誤った巨大事業にその原因があります。配給制度も止まり、食糧難を招き300万人ともいわれる餓死者を出しました。

 02年7月に日本の経済援助を当て込んだと思われる経済改善措置は失敗したといわれています。ハイパーインフレに入ったと指摘される北韓の経済は、悪化一路にあり、脱北者は増加することはあっても減ることはないと思われます。昨年の3月、元在日同胞脱北者らが総連中央を激しく抗議しました。総連中央は北韓に送り出した歴史的責任を一日も早く認識し、その道義的責任を果たすべく本団と共に支援に立ち上がるよう要望します。


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平和・繁栄への願い新たに

 本団は、21世紀が韓半島の平和と繁栄の世紀となることを願い、日本社会においては地域住民の権利としての地方参政権の獲得を通じて、開かれた日本を目指して闘ってきました。

 しかし、北韓による核と拉致問題によって「非戦」を柱とした憲法を持つ日本が、イラク戦争を契機に憲法上難しいとされてきた集団的自衛権の行使に道を開く有事関連法案を与野党あげて賛成し、自衛隊員を派遣するまでに至りました。その動きに火をつけたのが、北韓であり、総連中央だったということに改めて忸怩たる思いがします。

 韓半島の平和と安定、そして東北アジアの繁栄にとって、北韓の核と拉致問題の平和的解決は不可避です。

 「6者会談」の推移を注視しつつ、いかなる困難があっても在日同胞の立場から、その平和的解決に向け、不退転の覚悟で努力していきたいと思います。

(2004.1.1 民団新聞)
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