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日本の内閣府はこのほど「人権擁護に関する世論調査」を発表しました。それによると、在日外国人の人権について、日本人と同じように守るべきだ、と考える人が54%にとどまったことが明らかになりました。
この数字は前回97年の65・5%に比べて11・5ポイントの減少で、過去4回の同調査の中で最低のものです。また、外国人が不利な扱いを受けることを差別だと回答した人も、前回より9・5ポイント減の30・4%で、これも過去最低を記録しました。ゆゆしき事態です。
内閣府「世論調査」の結果
内閣府と法務省人権擁護局は、外国人犯罪の増加が背景にあると分析しています。しかし、北韓による日本人拉致問題や一連の核問題の衝撃が、「対北不信」を噴出させ、その反発の矛先がこの数字に表れているのではないか、という懸念を否定できません。
昨年、韓日両国はサッカーのワールドカップを史上初めて共催し、成功裡に導きました。官民あげての交流も増え、両国が真のパートナーシップを確立する大きな契機となったことは、何よりの成果でした。これらの地道な努力とその結果に対して冷水を浴びせたのが、北韓の挑発的な言動です。
米・中との3者協議のさなかに伝えられた北の核保有発言は、あらためて世界に緊張をもたらしました。日本における北韓断罪の声は、拉致問題の全面解決や核放棄をしない限り、容易に鎮静化しそうにありません。
積極的な地域社会参与を
これらの極めて深刻な政治課題は、米・中とともに、統一のパートナーである韓国はもちろん日本などの周辺諸国も加わり、話し合いを継続しながら平和的な方法で解決されるべきです。
同様に、私たち在日同胞も自らの人権を守るという視点から日本社会の中で共生のための一層の努力が求められています。国家間のぎくしゃくした関係により、日本国憲法が保障する個々人の基本的人権が脅かされることはあってはならないからです。
さらに、長引く不況がもたらす閉塞感が、日本の保守化傾向に拍車をかけています。「教科書問題」や首相の靖国神社参拝は、その象徴的な現象であり、地方参政権問題など、在日同胞の人権確立に歯止めをかける状況をもつくり出しています。
人権意識の低下が憂慮される状況だからこそ、お互いの違いを認め合う日常の取り組みが大切です。すでに日本の教育現場や地域の集まりに出向いて、多文化共生のための取り組みを続けている同胞がいます。自治体の各種委員になって、政策提言を行っている同胞もいます。私たち一人ひとりが身近でできる草の根の運動を継続すれば、人権伸張に活路が見いだせるはずです。各地の住民投票権獲得で示したような積極的な地域社会への働きかけが、今私たちに求められているのです。
(2003.5.21 民団新聞)
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