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「地方参政権」の行方1 獲得まで運動継続へ(03.01.01)
2001年6月5日、定住外国人への地方参政権を求め、東京日比谷野外音楽堂に結集した在日同胞
既存方針より深化 多角的活動で全国展開

◆はじめに

 21世紀、新しいミレニアムに入り3年目を迎えました。私たちは21世紀を迎えるにあたり、この世紀が互いの「人権」を守り、共に協調して生きる「共生」社会を実現し、戦争のない「平和」の世紀であるようにと願って出発しました。その意味で、歴史的経緯をもって日本に定住する在日韓国人をはじめとする永住外国人の地方参政権の保障は大きな試金石となるものです。

 ところが現状はどうでしょうか。昨年4月末の政権交代以降、歪曲歴史教科書問題、靖国神社参拝問題の再燃、一部与党の強硬な反対等によって、国会における地方選挙権法案の審議はストップしたままです。

 特に一昨年9月の米国同時多発テロ事態以降、日本の顕著な右傾化が目に余ります。また北韓の拉致問題、長引く不況により社会全般に「余裕」が乏しくなり、一部で外国人を排除する風潮があるのは憂慮すべきことです。ここで私たちは、永住外国人住民に対する地方選挙権付与の機運を後退させてはなりません。

 永住外国人に対する地方参政権の保障は、必ず実現させるべきであるという多くの自治体や市民の声は根強く続いています。私たちはこれまで蓄積してきた成果を土台に実現への信念を持って、「日本の民主主義を後退させないためにも」しっかりと主体的に運動を進めていかなければなりません。

◆国会での審議状況

 国会でのこれまでの審議の状況の概略は以下のとおりです。

 1回目の審議は第145回通常国会の99年8月11〜12日に行われました。2会期目は第147回通常国会の00年5月23日に。第3会期目の審議は第150回臨時国会の00年11月15日〜29日の間に行われました。

 この3会期目の審議では辛容祥前民団中央団長をはじめとする5名の参考人聴取も行われ、審議が煮詰まり採決の段階にまで到りました。これによって次の国会での可決を私たちは期待しました。ところが、01年の第151回通常国会では、自民党の執行部が代わり、その反対によって与党間の調整が難航、結局採決延期、審議自体に入ることができないまま継続審議となりました。

 昨年7月末まで延長された第154回通常国会でも審議再開されませんでした。ただ、会期閉幕前の7月29日、与党3党党首会談で「次期臨時国会で審議を促進する」との合意がなされました。その臨時国会はこの10月18日から12月13日まで開かれましたが、北韓による日本人拉致問題、景気対策問題等により、結局審議時間がなく、最終日の12月13日に継続審議となりました。ですから法案はこの2年間審議されていな状況です。

◆今後の運動方針

 本団は、日本社会で永住する住民としての基本的権利として、必ず地方参政権を獲得するという強固な信念を確認し、これまでの運動で蓄積された成果を土台に、次の5つの基本方針のもとに継続して全国運動を展開して行きます。

 第1は、国会での早期立法化を求める要望活動を継続して展開します。各地方本部は、各都道府県別出身の国会議員に対し要望活動を繰り返します。第2は、地域ごとに研修会を開催することです。本団の幹部及び一般同胞がこれまでの地方参政権獲得運動の成果と現状を把握し、今後把握に向けた意思確認のための研修の場をつくります。疑問点や質問に答え、粘り強く運動を持続していくことを確認します。国会動向によっては、全国規模の大衆集会を開催していきます。

 第3に、永住外国人住民に対する「住民投票権」付与運動を促進します。住民投票権付与は、地方参政権獲得運動の成果の一環として実現しております。各自治体の住民投票権を獲得することによって、地方選挙権の実現に発展的に結びつくものです。最近、市町村合併の枠組みやその是非をめぐって、住民投票を実施する自治体が増えてきており、そのなかで永住外国人も同じ住民として投票権を付与する自治体が増加しています。昨年1月の滋賀県米原町での付与を皮切りに、現在まで18自治体で永住外国人を含めた住民投票条例を制定しています。このうち15自治体が自治体主導で付与されたもので、残り3自治体(大阪府高石市、三重県名張市、埼玉県岩槻市)は当初私たちを「除外」していたものを、民団の強い運動によって獲得したものです。

 これで改めて確認できることは、当事者である私たちが自治体に強く要望しないと、私たちを除外したまま付与しない方向にもっていくケースがあるということです。ここに留意して運動を積極的に進めなければなりません。

 第4に、地方自治体議会の意見書の100%採択に向け継続して要望活動をして行きます。現在、意見書等を決議している自治体は全国3300自治体中、1508自治体に至っています。これは採択率45・6%ですが、外国人が居住していない自治体が約600あることを差し引くとすでに採択率は50%を超えています。日本の人口比で見ますと75%になります。私たちの多くが居住している都市部では、全国691市議会中、531議会(76%)がすでに採択しています。戦後の議会制民主主義のもとでの意見書採択のうちで、これほど多くの採択数は稀であると言います。この地域の声をきちんと反映するのが国会の役目であります。民主主義を尊ばない一部反対派の声に屈してはなりません。第5に、韓国政府に対する支援要請活動を強化していきます。

 私たちが要求している地方参政権獲得運動は、一言でいうと「住民権運動」です。戦後半世紀以上、私たちは大きな差別の壁を一つひとつ取り払いながら、今日の生活を築いてきました。経済的地位、法的地位を獲得してきました。「在日」を否定されず、差別されず堂々と生きて行くためには、住民として安定した地位の保障がなければなりません。そのためには住民としての基本的権利である地方参政権が必要なのです。

 私たちは、この間推進してきた地方参政権獲得運動で蓄積した成果を土台に、必ず地方参政権を獲得するという強固な信念と意思を再確認し、今後も早期実現をめざし継続して全国運動を展開していきましょう。

(2003.01.01 民団新聞)
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