李舜臣将軍像のたつタワーから釜山市内が一望できる

山清郡で郷土植樹を行った慶南道民会（4月）

3自治体が共催で

　今年の韓国は「釜山・蔚山・慶尚南道訪問の年」。地方観光の魅力を積極的に紹介しようと、3自治体の共同主催となった。韓国観光公社は今月初め、東京、名古屋、福岡、仙台の4都市で「訪問の年」説明会を行い、ＰＲに努めた。日本内11カ所にある慶南道民会も郷土のイベントを後押しする意向だ。

『東医宝鑑』400年記念　山清伝統医薬エキスポ

　韓国観光公社は今年を「地方観光元年」と位置づけ、多彩な地方文化の紹介に力点をおいている。

　釜山はソウルに次ぐ韓国第2の都市だけに、見どころは多い。釜山市内を一望できる釜山タワーをはじめ、アクアリウム、龍宮寺、チャガルチ市場、海雲台ビーチなど、海と関連したグルメや観光スポットには事欠かない。日本と近く、歴史的にも深い関係にある。朝鮮通信使祭り（5月3〜5日）をはじめ、釜山国際映画祭（10月3〜12日）や世界花火祭り（10月26・27日）といったイベントも楽しみだ。

　現代自動車工場や造船所を擁する蔚山は、1人当たり所得が韓国内トップの都市で、山と海の景観にも恵まれている。今月25〜28日にはクジラ祭りが実施される。

　慶南の今年のイベントで見逃せないのが、「山清世界伝統医薬エキスポ」（9月6日〜10月20日）と「大蔵経世界文化祝典」（9月27日〜11月10日）。

　同エキスポは、朝鮮朝時代の1613年に許浚が刊行した医書『東医宝鑑』（23編25巻）がユネスコ世界記録遺産に登録されたのと、発刊400周年を記念し、山清郡で開催される。伝統医薬のエキスポ開催は世界でも珍しい。会場は、智異山の裾野にあたる王山や筆峰山に囲まれたところ。霊気が集まる場所として知られ、「東医宝鑑村」と称される。

　海印寺（陜川郡伽　面）で開催される大蔵経祝典は、2011年の高麗大蔵経制作1000年を記念し実施したのに続くもの。記録・写真展や公演などが催される。

国際線34便を追加就航　金海空港年内に

　釜山市によると、金海国際空港を発着する国際線が年内に11都市に34便追加される。

　今年初めに中国・西安線を4便新設したのをはじめ、成田、香港線など計15便を増便した。さらにマレーシアやクアラルンプールなど3都市に15便も新規就航する。

　1119億ウォンを投じて、搭乗橋や手荷物用ベルトコンベヤーなどを増設し、施設も拡充する。滑走路の拡大などで、1時間当たりの発着回数は現在の平日16回から、来年には20回に増える。

在日の11道民会も後押し

　今年の「訪問の年」をひときわ楽しみにしているのが、在日同胞でつくる慶尚南道道民会。北海道から千葉、東京、神奈川、静岡、京都、近畿、兵庫、岡山、広島、山口にいたるまで、日本全国に11カ所にある。

　各地の道民会は1970年代半ばから毎年、合同で故郷に植樹を行ってきた。

　37回目を数える今年は4月初め、300人近くが訪れ、山清郡に1万本を植樹した。

　参加者は多い時で、東京だけでも大型バス5〜6台を連ねたという。毎年、郷土植樹祭に参加することで、全国の会員は同知事をはじめ多くの故郷の人々と交流を深めながら1世の郷土愛を継承してきた。

　今回、「訪問の年」に選定されたことで、例年以上に故郷訪問者が増えそうだ。夏休みに子弟を母国体験させるほか、秋には山清伝統医薬エキスポなどのイベントに参加する。

（2013.4.24　民団新聞）