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盧武鉉大統領の日本国会演説 全文(03.6.11)
真の和解と協力関係構築へ
「北東ア時代」ともに拓こう

在日韓国人に地方参政権付与を
地域と両国関係発展に有益な存在に

 本日、日本の民主主義と平和守護の殿堂である、ここ国会議事堂の壇上でごあいさつできることを大変光栄に存じます。

 温かく歓迎してくださいました議員の皆様に心から感謝の言葉を申し上げます。日本国民と各界の指導者の皆様にも厚くお礼申し上げます。

 私は第2次世界大戦が終結したその翌年に生まれました。いわゆる「戦後世代」です。そして、日本からもっとも近い釜山で、日本が民主主義と経済発展を成し遂げる過程を印象深く見守りながら成長しました。

 日本と韓日関係は、私にとって常に重要な関心事でした。

 韓国と日本は、民主主義と市場経済、そして平和という基本的な価値観を共有する、地理的、文化的に非常に近い隣国です。私は常に心の中で、韓日両国が北東アジアの平和と繁栄に向けて共に手を取り合って前進する時代を夢見てきました。

 尊敬する議員の皆様、いまや、その時代が間近に迫りつつあります。

 私の日本訪問が決まったとき、多くの人から質問を受けました。「過去の歴史問題をどうするのか」ということでした。

 私たちはみな、この問題がいかに重要なのかよく知っています。しかし、私は本日、この問題を超越した話をしたいと思います。

 それは私たちの未来に関することです。私たちの子供たちが生きていく30年、50年後の北東アジアの秩序に関するビジョンについて申し上げます。

 私は韓日両国の国民が胸襟を開き、真の和解と協力の時代を開いていくのに貢献したいと願っております。両国の国民が過去の歴史問題の影から完全に解き放たれて、自由に交流し互いに助け合う時代が一日でも早く来ることを、心から願っております。

 これがこの時代の両国の指導者が共に取り組んでいかなければならない最優先の課題であり、責務だと考えております。

 1965年の国交正常化以来、両国の多くの先輩指導者が絶え間ない努力をしてきました。1998年には両国政府が「21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ関係」の構築に合意しました。

 そして今回、私と小泉首相との首脳会談では、北東アジアの平和と繁栄のために両国がともに協力していくことを決議しました。非常に意義深い合意でした。

 私はこの場を借りて、議員のみなさまに今日と明日の韓国、そして韓日関係の未来に対する希望と抱負を申し上げたいと思います。

 5年前、韓国は深刻な通貨危機に瀕(ひん)しました。それまで邁進(まいしん)してきた物質的な量の面での成長が限界にぶつかったのです。激しい苦痛が後を続きました。

 しかしながら、韓国国民は危機をチャンスとするために、厳しい改革という道を選択しました。全国民が共に苦痛を分かち合いながら、経済全般にわたる構造改革を断行しました。

 危機は速いスピードで克服することができました。経済の体質が強化され、経営の透明性も向上されました。全国的に情報インフラを構築し、情報技術(IT)産業が飛躍的な発展を遂げました。

 韓国が危機を克服する過程で、日本をはじめ国際社会から大きな援助を受けました。韓国国民は今も、これに対し感謝の気持ちを持っております。

 今や、韓国は、新たな変化を追求しています。「量の面での成長」の限界を乗り越えて、「質の面での成長」に向かい始めました。

 意義ある多くの変化が急速に進みました。

 何よりも著しい変化は、国民の積極的な参与が活発になったことであります。政治・経済・社会はもとより、外交・安保問題にいたるまで躍動的な「参与」文化が根を下ろしつつあります。

 今年2月に発足した韓国の「参与政府」はまさに、こうした時代の流れをくんで誕生しました。「参与政府」の発足は、韓国国民が長い間切望してやまない、新たな変化を象徴しています。

 それは、原則と信頼が守られる社会、自由で公正な競争が保障される国、そして国民が国家の真の主人として遇される政府です。

 私は貧しい農家の息子として、豊かとは言えない環境で育ちました。独学で司法試験に挑戦し、判事として、また弁護士として活動するうちに政界に入門しました。

 人権と民主化のために闘いました。地域主義を拒否し、原則のない対立の政治に抵抗して、選挙では幾度も落選の苦杯をなめました。それでも私は最後まで、原則と信念を貫きました。

 私は国政の原理として、「原則と信頼」、「公正と透明」、「対話と妥協」、「分権と自律」の4つを強調しています。国民の参与を通じて、一層成熟した民主主義と躍動的な国家発展を成し遂げていきます。

 尊敬する議員の皆様。

 日本は早くから西欧の文物を受け入れて、アジアでは最初の近代国家を樹立しました。一時期、帝国主義の道をとったことで、韓国をはじめアジア諸国に大きな苦痛を与えたこともありました。

 しかし、戦後の日本は驚くべき経済成長を成し遂げ、民主主義を確立し、世界から羨望(せんぼう)と賛辞の対象となりました。

 また、日本は確固たる「非核三原則」と平和主義を提唱してきました。世界第1位の対外援助国として、国際的な信頼と評判を積み上げてきました。

 私は汗と知恵で今日の日本を築き上げた日本国民と指導者に、深い尊敬の気持ちを感じております。

 その一方で、不幸だった過去の歴史を思い起こす動きが日本から出るたびに、韓国を含むアジア諸国の国民は敏感な反応を見せてきました。防衛安保法制と平和憲法改正の議論についても、疑惑と不安の目で見守っています。このような不安と疑惑が全く根拠のないものでなければ、あるいは過去にとらわれた感情にだけ根拠したものでなければ、日本は解決すべき過去の宿題を解決できていないことを意味する。

 2年後の05年には、韓日国交正常化40周年を迎えます。

 その時まで、両国の国民が完全な和解と協力関係を成し遂げることができないとすれば、両国の指導者は歴史の前に顔を上げることができないでしょう。

 私は本日、議員の皆様と各界の指導者の皆様に「勇気ある指導力」を示してくださるよう、丁重にお願いしたいと存じます。

 過去は、あるがままに直視しなければなりません。率直な自己反省によって相手を理解し評価するよう、国民を説得していかなければなりません。真実を語ることこそ真の勇気だと考えております。

 昨年両国は、「韓日歴史共同研究委員会」を立ち上げました。「過去の歴史は、あるがままに認識しよう」という98年の両国間の合意精神に合った、望ましい結果が引き出されることを願います。

 そしてこれからは「未来」について話し合いましょう。両国の国民に、真心からの、未来に向けた協力の新たな道を提示しましょう。

 韓日関係の未来は、両国がいかなる目標とビジョンを共有しているかにかかっています。

 私はその共同目標として、両国が共に「21世紀の北東アジア時代」を開いていくことを提案いたします。

 日本の青少年が東京で列車に乗り、釜山とソウルを経て北京まで修学旅行に行くのは決して、遠い未来の夢ではないはずです。

 ヨーロッパ諸国はすでに半世紀前に、未来のための共同目標を設定しました。57年には欧州経済共同体(EEC)が発足しました。今日、欧州は単一市場、単一通貨まで実現し、国民の間の心の障壁は崩れ落ちました。

 韓日両国が意志を共にすれば、北東アジアでもこうした協力の未来を切

りひらくことは、いくらでも可能です。

 北東アジアの経済規模はすでに世界の5分の1を占めています。人口はヨーロッパの4倍に達しています。それに世界でももっとも躍動的な市場の成長と限りない成長潜在力を備えています。

 しかし今、この地域内ではいまだに不信の要素が残されています。経済発展の格差問題のほかに、世界的な地域統合の趨勢(すうせい)にも大きくおくれをとっています。

 従って、21世紀の北東アジア時代を実現するためには、だれかがまず乗り出さなければなりません。それは韓国と日本です。何よりも韓日両国は、民主主義の伝統と市場経済の経験を共有してきたからであります。

 私は、「平和と繁栄の北東アジア時代」こそ、両国の指導者が国民に提示すべき韓日共同の未来だと確信しております。

 改めて、議員皆様と各界の指導者の皆様に、大きな指導力を発揮してくださることをお願い申し上げます。

 韓国は今、きたる北東アジア時代に備えて、着実にその準備を整えています。

 「参与政府」の政策構想は、韓国を「北東アジアの平和と協力のハブ」に作り上げることを目指しています。

 ユーラシア大陸から太平洋へ、また太平洋から大陸に、人とモノ、資本と技術、情報と文化が自由に行き来しとどまることもできる、先進システムを構築していく考えです。

 韓国はまた、持続的な市場改革を推進しています。経済システム全体を「グローバル・スタンダード」に合うよう改革を続けています。透明で公正な競争の場を設けることで、内国人と外国人(の)間に差がない、開かれた市場を実現させます。

 こうした努力が成功を収めれば、韓国は北東アジアの人々と一緒に融合できる「共同繁栄の架け橋」となるでしょう。

 「平和と繁栄の北東アジア時代」を開いていくためには、まず解決すべき課題があります。それは韓半島に平和体制を定着させることです。

 平和なしには何事も成し遂げることができません。すべては平和からスタートしなければならないというのが、私の信念であります。

 韓国の「参与政府」は、「平和繁栄の政策」を推進しています。韓国・北韓との共存共栄を追求しながら、韓半島の平和と安定を制度化していく考えです。

 これは、すなわち北東アジアに平和と繁栄の時代を具現できる土台作りをする作業でもあります。

 私たちは、南北間の和解協力の基調を引き続き維持、発展させていきます。対北韓政策は、より透明に推進され、日本と米国をはじめ友好国との協調も一貫して維持していきます。

 私たちは決して、北韓の核保有を容認しません。同時に、この問題は対話を通じて平和的に解決していくべきだと考えております。

 韓半島に緊張が醸成されれば、それは韓半島のみならず、北東アジア全体の平和と安全を脅かします。韓国と日本は共に前の世紀に戦争の惨禍を経験しました。その傷はいまだに癒やされておりません。韓半島と北東アジアの葛藤(かっとう)と緊張高潮は、我々皆にとって不幸なことです。これこそ、私たちが北韓の核問題を平和的に解決しなければならない、切実な理由であります。

 今年4月に北京で、北韓の核問題に対する平和的な解決のための最初の対話が行われました。私はこの問題が1日や2日で解決できるとは期待していません。対話のモーメンタムをいかしていかなければなりません。対話を通じて信頼を積み上げていけば、平和的な問題解決の道が開かれます。

 これまで日本政府は、韓半島の平和、北韓の核問題の平和解決のために積極的な役割を果たしてきました。中でも、昨年9月に小泉首相が北韓を訪問し、「平壌宣言」を採択したことは、非常に意義深い決断だと評価し

ています。

 私は日本人拉致問題で日本国民が受けた衝撃と苦痛をよく理解しております。また、日本が北韓の核とミサイル問題に大きな懸念を示していることについても共感しております。

 今後、この問題が解消されて日本と北韓との関係が改善されれば、北韓の開放促進と韓半島の平和に大きく寄与することでしょう。

 私は、北韓が国際社会の責任ある一員として表舞台に出られるよう、韓日両国が一層緊密に協力していくことを願います。

 日本政府と議会の積極的な役割を期待します。

 もはや北韓は核を放棄し、開放と共生の道を歩み出さなければなりません。北韓がこの道を選択した時、韓国と日本をはじめとする国際社会は、必要な援助を惜しまないでしょう。

 議員の皆さまは韓米同盟関係の未来についても関心が多いと伺っております。

 韓米同盟の維持を強固なものにします。先月ブッシュ米大統領との首脳会談で、韓米同盟をさらに確固たるものに発展していくことに合意しました。

 現在、韓日米の3カ国は、韓半島と北東アジアの平和のために、緊密で積極的な協調関係を維持しています。今後もこうした協力は変わらずに持続されます。

 韓日両国が共同の未来に向けて希望の種をまく土壌は既に準備されています。

 昨年、われわれ両国は、ワールドカップ・サッカー大会の共同開催を成功裏に終えました。これもやはり、韓日関係発展の明るい未来を示す、明らかな証拠であります。

 両国の経済交流と人的交流も分かちがたい段階に来ています。ご存じのように、韓国と日本は相手にとって、極めて重要な貿易相手国であり、投資パートナーとなっています。

 両国を往来する人々は一日に1万人以上に上ります。海外旅行に行く韓国人の大半が日本を訪れています。日本国民が2番目に多く訪問する国もやはり韓国であります。

 両国間には毎日約50の航空便が飛んでいますが、それでも足りないほどです。これは世界でもまれな、活発な交流であります。

 今後、早期に両国国民がソウルと東京を結ぶシャトル便にのって、ビザなしに自由に往来できることを期待してやみません。

 私は自由な文化交流が、両国国民間の理解を高めるのに非常に有益だと考えております。日本の大衆文化の追加的な開放措置を前向きに検討していきます。

 また、若い世代間の対話と交流をさらに増進していきます。

 韓日自由貿易協定(FTA)推進の成功のためにも、両国が共に努力することを願います。

 終わりに、議員の皆様に一つお願いの言葉がございます。

 60万人の在日韓国人はこれまで日本で、地域社会と韓日両国の関係発展に向けて大きく貢献をしてきました。私はこの方たちが日本社会の堂々たる一構成員として、さらに積極的に貢献していけることを心から期待してやみません。

 皆さまが議論していらっしゃる地方参政権が付与されれば、韓日関係の未来に非常に大きな役に立つことでしょう。

 日本のことわざに、「子供は親の背中を見て育つ」という言葉があります。親が生きる姿こそ、子供たちにとってもっとも大切な教えになるという意味だと理解しております。

 私たちは、この子供たちにどんな姿を見せるべきでしょうか。

 私たち皆、心の壁を取り壊しましょう。真の和解と協力の時代を開いて行きましょう。そして、私たちの子孫に、よりすばらしく明るい未来を残しましょう。

 私たちが固く手を結んで進めば、未来は私たちのものになります。

(2003.6.11 民団新聞)
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