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通常国会が閉会した。期待していた永住外国人住民への地方選挙権付与法案は審議再開されないまま、継続審議となった。与野党の誠意のない対応に私たちは憤りを禁じえない。いつになったら日本は地域社会の構成員である永住外国人住民の人権を認める法の整備をするのか。法案は98年10月、当時の金大中大統領の訪日前にはじめて国会に上程されて以来、すでに4度目を数えた。
国会審議は99年から始まり、翌年には参考人質疑も行われ採決の段階に至ったが、01年4月、自民党執行部が反対派にかわり、その後今日まで審議がストップしたままだ。
反対派は、「帰化」しないかぎり「たとえ地方でも、外国人に選挙権を認めることはできない」という。読売・産経両新聞もこの論調だ。さらに「有事の際、日本の安全が脅かされかねない」と永住外国人を頭から危険視する。
地域社会に寄与する存在
私たちは長年地域社会の発展に寄与してきた永住資格を有する「住民」であり、住民権としての地方参政権を必要とする生活者である。有事法制は地方のレベルを超えて国の指揮権で統制できる。永住外国人に地方選挙権を付与したぐらいで日本の安全が揺らぐことはありえない。
95年、最高裁判決は永住外国人住民に地方選挙権は保障されていないが、付与する措置を講じることは「憲法上禁止されているものではない」と明示した。これを反対派は傍論と貶め、最高裁判決を無視しようとする。素直に判決文を読めば、「憲法上禁止されていない」ことが判決の重要な一部をなしていることが分かる。
このことは、その後各自治体が最高裁判決を事例に挙げて、続々と付与に賛同する意見書を採択していることからも明らかだ。現在、一千五百以上の自治体が永住外国人を同じ住民として認め地方参政権を付与すべきだと決議している。
注目される参議院選挙
戦後かつてないほどの数の全国自治体の意見書に対応するためにも、国会は早期に審議をすべきなのである。
まさか、自治体の意見書は間違っているとはいえず、反対派は意見書には一切口をつぐんでいる。読売・産経も意見書採択には一言も言及しない。
参議院選挙戦が始まる。先の国会では国民年金の未加入問題で、国会議員への信頼が地に墜ちた。日本に永住し日本の将来を思う私たちは、参院選の投票率と投票結果を非常に心配している。
一部で「日本の民主主義の危機」が叫ばれている。日本は国際社会の一員として諸外国と協調し共生社会をつくっていく使命がある。そのためにも永住外国人住民を積極的に受け容れ、「住民」としての権利を付与する、「開かれた政策」の実行が急務なのである。
(2004.6.23 民団新聞)
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