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国交正常化40周年 韓日40代議員座談会(05.1.1)
「次はソウルで会おう」。和やかな国会議員たち いずれも40代の議員たちは韓・日・在日の連携を強めようと意気込みを語った。(左から)白眞勲、禹潤根、西村明弘、朱豪英の各氏
東アジア新時代を展望して成熟した韓日関係どう構築

 2005年は乙巳条約(第2次韓日協約=植民地支配の実質化)の締結100年、植民地支配からの解放60周年、韓日国交正常化40周年など、近現代の韓日関係にとって重要な歴史的節目が重なり、両国関係の過去・現在・未来を見つめるうえでまたとない1年だ。しかも今年は「韓日・日韓友情年」。意義深い年の始まりに、韓日両国の新進気鋭の国会議員に話し合ってもらった。題して「東アジア新時代へ、成熟した韓日関係をどう創るか」。(文中、敬称略)

座談会出席者
白眞勲氏(民主党参議院議員)
禹潤根氏(ヨルリンウリ党議員)
西村 明宏氏(自民党衆議院議員)
朱豪英氏(ハンナラ党議員)
司会・朴得鎮(民団新聞主幹)

■□
望ましい将来像への課題

歴史認識の一致が要  禹
継続すべき共同研究 西村
若者に共通の課題を  朱
懸案は世界の視点で  白


 司会 改めて言うまでもなく、両国の関係史は複雑に入り組んでいる。国交正常化以降に限ってみても、善隣・友好と軋轢・反発の力学が併存してきた。「韓日・日韓友情年」とは言うが、両国関係の現在地をどう見ているのか。

 韓国側議員と日本側議員は初対面であり、通訳を介しての論議ともなるが、率直な意見開陳をお願いしたい。

私の当選は変化の証し

 白 私は在日韓国人として生きてきたが、03年1月に日本国籍を取得し、昨年7月の参議院選挙で当選した。出馬した時、日本にはない白眞勲(はくしんくん)という名前で、「母の国日本」「父の国韓国」とポスターに表記した。日本人が私を韓国人と認識し、私を支持して投票した事実は大きい。韓国や韓国人に対する日本人の意識が変わってきたことを、まさに私が体現していると思う。韓国でも「ヨン様」という言葉がそのまま使われている。それほど日韓関係が大衆レベルでも近くなってきた。韓国が経済的にも豊かになったことによって、時間の経過とともに新しい確かなパートナーシップが構築できると期待している。

 禹 解放から60年、国交正常化から40年という時間の流れに比べると、韓日関係の進展は非常にスローだった。日本の植民地支配という歴史的事実と、それにともなう清算問題のこじれがネックになってきた。しかし、一般国民レベルでは親しくなるべきだと考えている。韓日は経済的にも政治的にもお互い助け合わなくてはならない運命が背景にあるからだ。

 昨年の日本を一番象徴する漢字は「災」だったが、急速度で関係がよくなっている韓日関係を反映して、二番目が「韓」だった。それほど両国の関係は近いものになっている。大衆音楽などの文化やサッカーW杯の共同開催などを契機にして、政治的分野を除けば韓日親善は進んでいる。そういう意味で逆に、政治家の交流がこれまで少なすぎたことが浮き彫りにされている。

圧迫と不信払拭の時期

 西村 昨年末の新聞報道で、韓国に対して親近感を持つ日本人が56・7%で、前年に比べて1・7%増えていることが分かった。3年連続最高記録を更新している。W杯以降の流れで、日韓関係の緊密な連携を形づくるスタートラインに立ったな、という思いだ。

 韓国を保護国にしてしまってからの100年間は、圧迫と不信・反発の時代で、日韓関係は非常に悪かった。今やその1世紀を払拭する時期にある。豊臣秀吉のこともあったが、300年続いた江戸時代には、朝鮮通信使を通じて文化交流を行ういい時代もあった。

 コンクリートも流し込んだときは脆弱なものだが、時間がたてば強固なものになる。300年と言わず、永遠に続くような強固な日韓関係を作り上げていく決意を新たにしたい。

憎の面より愛の促進を

 朱 韓日関係は愛憎相半ばする、あるいは「近くて遠い国」だと言われてきた。百済文化が日本に伝来し、朝鮮通信使があった半面、豊臣秀吉の侵略、近世に入ると日帝の36年にわたる韓国支配があった。互いにとって有益な時期もあったが、一般的な韓国人の心の中には、地域的、思想的、哲学的に類似感があって親近感を持つというよりも、被害を受けたという感情のほうが強い。

 こういう感情が両国間の発展を阻害してきた要因だ。節目の年を迎えるにあたり、暗い面、愛憎の「憎」の部分ではなく、明るい面、「愛」の部分を発展させることが互いの利益になる。

 白 その通りだと思う。私が「楽しさから入ろう」というのを心情にしているのもそのためだ。韓日は一般レベルではいまだに温度差がある。韓国にとって日本は大きな存在だったが、日本にとって韓国はいろんなアジアの国の一つでしかない。

 83年頃、日本の銀行員が韓国に研修に来たが、初めはソウルがどこにあるのかも知らない、その程度の認識だった。88年ソウル・オリンピック当時、日本の焼肉店に客が列をなしていたのを見た時、対韓認識の変化を感じた。日韓の問題は楽しい切り口がないと一般の人は逃げてしまう。

 司会 日本側議員は現在の韓日関係の善隣の側面を評価し、韓国側議員は歴史認識問題というトゲを意識している印象だ。だが、問題点に対する認識、善隣友好の側面を発展させていこうという意識は共通していると思う。

 両国関係のもっとも望ましい将来像をどう描くのか、またそのためのネックをどう克服していけばいいのか。

 朱 不幸だった過去を越え、新しい出発をするためには共通の認識を持つ必要がある。町村外相の「韓国支配100年」といった発言や、最近の歴史教科書問題を見ていると、日本の政治家の中には本音と建前があり、建前では韓日友好を叫んでいても、本音の部分では韓国支配に起因する優越感がまだ残っているのではないか、韓国を蔑む意識が潜んでいるのではないかとの思いは消えない。

 西村 「友情年」のスローガンは、「進もう未来へ、一緒に世界へ」というものだ。共通の豊かな未来づくりが私たちに託されているが、望ましい将来像をつくり上げる過程で、克服すべき課題は克服しなくてはならない。その第一の障壁が両国間の過去の悲しい歴史だ。今年5月に歴史共同研究の成果が出るだろうが、互いに納得できるまで、時間に制約されずに研究を継続すべきだ。

正確な認識まず大前提

 禹 韓日関係の望ましい未来のためには、過去のことを無条件に忘れるというのではなく、過去について正確に認識し、反省することは反省し、その上で未来に向かって出発するというのが大前提だ。過去については忘れましょうといってスタートしても、結局は過去の様々な問題が浮かびあがってくる。

 朱 その点だが、日本の中に保守的な動きが台頭しているのを危惧している。ドイツが過去を反省したように、日本も過去の傷をいかに清算、整理するのか、そのための不断の努力をしているのか、その点を残念に思う韓国民が多い。それが両国の関係発展を阻害しているのは事実だ。

 白 いろいろな問題が積み残されているのは、日韓の問題を日韓だけで考えるからではないか。両国の問題は世界の中の日韓関係という視点から考える必要がある。両国関係が発展すれば、世界平和にこれだけプラスになるという目標を持てば、より関係を緊密にしなければ、という国民的なコンセンサスができるのではないか。

 禹 全面的に同感だ。ドイツの首相が国内の保守勢力の反発を受けながらも、かつてヒトラーが侵攻したポーランドなどを訪ね、侵略行為を謝罪した。これはヨーロッパの東西融合、そして大欧州の誕生に大きな役割を果たした。そうした行為が未来へ向けた本当の発展をもたらす。

 日本の良識者や多くの国民は過去史について反省しているが、時折、一部の政治家が冷水を浴びせるような、節操を欠いた感情的な発言をする。そうした問題が続く限り両国の発展にとって害として残る。互いの感情を刺激しないように、過去史についての認識を一致させることが重要だ。

ナショナリズムを懸念

 白 日韓のマイナス面をあえて言うと、ナショナリズムの台頭があげられる。日本で外国人が多くなると、国際化する一方で外国人を排撃する偏狭なナショナリズムが出てくる。それをどうやって克服するか。交流で克服していくしかないと思う。

 私はまず民主党の議員を集め、「日韓からアジアの新基軸を考える会」を設立した。現在71人が参加している。そのうちに西村議員も参加してくれると信じている(笑)。また、韓国でも「アジア平和連帯会議」という集まりが設立された。韓国側の議員も20数人は入っている。この会には政治家だけでなく、民間人も含め合計100人が集まっている。

 両国が抱えている環境や教育問題など、身近なテーマから知恵を出し、ギクシャクした関係を解決していこうではないかと考えている。お互いの共通目標を決め、それに向かって邁進することだ。

 西村 日韓間には議員連盟、親善協会、経済部門では協力委員会がある。白議員がいい提案をなさったが、既存の団体に頼りすぎず、そういったさまざまなチャンネルも活かしながら、色々な形で接触していくことが大事だろう。

 大蔵大臣の秘書官の時、東南アジアで金融危機が起き、韓国はIMF時代だった。あまり報道はされていないが、アジア全体でしっかりと補完しあうアジア通貨基金機構をつくろうという動きがあった。韓国の金融危機は、他国に飛び火して東アジア全体を大きく揺るがすということで、大蔵省をあげて韓国、東南アジアをどのように支援するのかを研究したことがある。

 安全保障の問題も経済問題もイニシアチブは日韓がとっていかなければいけない。両国が未来志向の関係づくりのために知恵を出しながら、互いに理解し、溝を埋める努力が必要だ。そのためにもわれわれ政治家同士の交流が急がれる。

若い発想で発展へ努力

 朱 同感だ。国交正常化40周年を契機に、韓国は被害者意識にとらわれすぎていないか、傷を負わせた日本はあまりにも早く負わせた傷を忘れてこなかったか、振り返る必要がある。お互いに共存し、発展していくことのできる方策を探していく必要がある。「ヨン様」ブームなどもあって文化的な面では大いに交流が行われていて、関係発展のきざしが見えている。今日集まった私たち若い議員たちがお互いに頻繁に会い、こうした関係発展に向けた動きを強くしていかなければいけないと痛感する。

韓・日・中の連携がカギ

 禹 今の時代、どこかの国がどこかの国、地域を支配することはありえないだろうし、世界がそれを認めないだろう。地球村に住む者として、互いに協力して初めて互いの利益を生むことができる。とくに東北アジアにおいては、韓・日・中が平和を維持してこそ、世界の平和、アジアの平和に貢献できる。

 韓国にも日本と同じように「遠くの親戚より近くの他人」という言葉がある。韓日がよい隣人としての関係を築くことが、アジアの平和、世界の平和に貢献する道になる。地政学的にも双方の国益的にも、韓国と日本は協力しなければならない理由のほうが多い。

 朱 しかし、韓日間には両国の利害が衝突する場面も多くある。とくに市場シェアの面で、一つのパイを奪い合う現実がある。韓国語では唇と歯の関係だと言われるが、一方で金融問題など韓国が駄目になると、それが東南アジアに波及するといった例もある。韓日はゼロサムゲームであると多くの人が認識しているが、ゼロではなく、プラスサムだ。

 どちらかが駄目になると一方も駄目になるということを認識して初めて、韓日関係は発展するのではないか。そういった意味からも、われわれ若手議員自身も認識を改めなければいけない。また、将来を背負う学生に、正しい歴史認識を持たせることが、今後の両国関係において大きな力になる。

6者協議は日韓主導で

 西村 もうひとつ、直近の課題としては北朝鮮の問題について、日本は対話と圧力、韓国は対話と説得で解決しようとしている。立場や思いの違いはあるが、日韓を含む6カ国協議などを通じて、両国がイニシアチブをとって多国間の安全保障体制を築くことが、北東アジアの安全や平和につながる。

 それが先日、ASEANでも採択された東アジア共同体構想に寄与することにもなる。両国を相互往来する人を500万人に増やそうと首脳間で話されたが、違和感なく行き来できる環境づくりをしたい。今の技術だと、博多から対馬を経て釜山まで鉄道を敷設できる。そうすれば博多から釜山、ソウルへ、さらにユーラシア大陸を横断してヨーロッパまでつながる。日韓はやはり、一衣帯水の関係だとつくづく思う。

■□
国際化と外国人参政権問題

先駆的役割担う在日  白
韓日発展の試金石に  朱
心情無視した帰化論 西村
在日の寄与評価せよ  禹

 司会 今世紀前半の東アジアは、世界経済の成長センターとしての期待を集める一方で、大規模な紛争が勃発する可能性も指摘されてきた。北韓問題は不透明で予断を許さず、周辺に複数の火種を抱える中国は、経済力の伸長をバネに政治的・軍事的プレゼンスを強め、日本は中国への対抗軸の強化に腐心している。東北アジアの中心国家構想を打ち出した韓国もまた、国内葛藤すら克服できないまま、日中の調整役どころか、北韓問題についてさえ苦渋を飲まされている状況がある。

 東アジア、なかでも東北アジアの平和と安定を確かなものにするためには、韓日両国のパートナーシップに基づく成熟した関係が欠かせないとの認識は同じだ。それを現実化する重要なアプローチとして、両国の内なる国際化、外国人と共生していく社会システムの構築がある。

 民団は韓日両国に対して、定住外国人への地方参政権付与を求めてきた。この問題について、所属政党の党論はどうか、また個人としての見解をうかがいたい。

国益に適う参政権付与

 白 民主党の綱領には参政権付与が明記されている。個人としてももちろん賛成だ。しかし、昨年の選挙で多くの新人議員が誕生し、彼らの中にはこの問題を研究していない者もいる。党論をもう一度まとめて法案を出したいと思う。

 日本には国際化や少子高齢化問題などの観点が必要だ。近い将来、外国人や移民をどうするか、深刻な問題になる。国内の外国人とどうつき合うか。国内の国際化なくして真の国際化はできない。なかでも、日本人と同じように日本で生まれ、日本人と同じように生活している外国人をどうするか。私は地方選挙権法案を51対49で通したいとは思わない。

 日本に長く住んでいる外国人を受け入れるということは、日本の国益、日本の国際化、そして日本に与えられた課題であり、日本にとって必要だとの広いコンセンサスが必要だと考えている。

差別克服が人類の歴史

 朱 全面的に賛成だ。この問題は基本的に裁判所で法的に解決するのでなく、政治的に決着させるべきだ。反対する人は、在日韓国人が70万余り存在しているので、この数字が選挙に影響を及ぼすのではないかと、政治的な判断が働いているのではないか。

 人類の歴史は差別を克服する歴史でもあると思う。在日韓国人への参政権の付与というのは、新たな韓日発展の試金石になるし、国連常任理事国入りを目指すなど世界のリーダーになろうとする日本の国際的地位をより一層高めることになるはずだ。

多様性尊重政治の目的

 禹 駐ロシア大使館の法律顧問だった頃、サンクトペテルブルグ大学で、老教授が民主主義とは何かについて語るのを聞いた。教授は「民主主義とは、顔も考えも違う、人間一人ひとりが持っている多様性をすべて認めることだ」と言った。閉鎖的な社会主義国だったからこそたどりついた考えではないか。

 政治の究極の目的は、地球上のすべての人たちが、それぞれの違いを超え、価値ある存在として認めあうことだ。私を含め、政治家が持つべき究極の夢、目標もそこにあると思う。ヨルリンウリ党としては、国内にいる脱北者や中国朝鮮族の問題があり、立場をはっきり整理できていない。

 ところで、日本の衆議院で審議が始まったと聞いているが。

自民党内はなお帰化論

 西村 私はその委員会の委員で、審議に加わっていた。個人的には地方参政権は賛成だ。

 しかし、日本国民の権利と義務を規定する憲法との絡みから、難しいというのが自民党の雰囲気になっている。

 在日韓国人は自分の判断の余地なく日本国籍になり、また韓国籍になった。そういった特別永住者をどう扱うかという問題は、党としては帰化申請のハードルを低くするので、日本人になってもらったうえで権利行使を、というのが基本的な考えだ。

 朱 参政権問題は、法律と政治の両方にまたがる。憲法の解釈において、やはり国民に限られるのではないかということで、韓国でも壁にぶつかっている。韓国は歴史的に見ても外国人の比率が極めて少ない。その外国人とは華僑だが、世界で一番深刻な差別を受けているのが、韓国の華僑だ。

 最近になって外国人労働者の定住者が増えている。定住外国人の参政権はこれまで論議されてこなかったが、要求する声がここ数年高まっている。この問題はまだ社会的なイシューとはなっておらず、国会で論議される段階ではないが、遠くない将来国会でホットイシューになると見ている。

 西村 日韓親善協会の役員を長く務めているし、議員連盟にも協力してきた。両国の状態を理解した上で、賛成している。帰化も一理あると思うが、その考えは在日の民族的アイデンティティーを無視する意見だ。韓国人としてのアイデンティティーを持ち、帰化はせず日本で生活している人を理解することが賢明だと思う。

 賛成議員の一人として、先輩議員からのプレッシャーを受けているが、在日の方の率直な思いを伝えて理解させようと努力している。韓国の盧大統領から相互主義で参政権付与を、という話があったが、韓国でも憲法違反の可能性から保留になっているということだが。

人間らしく生きる権利

 朱 韓国では外国人投票権は憲法上の問題であり、政治的にはネックではない。先ほども述べたように、外国人の比率が極めて少ないからだ。

 だが、時期がくれば、一定の条件を満たした外国人に付与するのが望ましい。権利が欲しければ帰化を、というのがこれまではいろんな国で通用してきた原則だが、憲法は自国民のみならず、すべての人に認められるべきだ。人間らしく生きる権利は、国家という枠組みを超えてすべての人に享有されなければならない。

国籍の違い乗り越えて

 禹 在日同胞は日本人と同じように、この国に寄与している。国籍の違いだけで権利を制限するのは、民主主義の原則に反している。参政権は必ず与えられなければならない。

 司会 各議員の発言に勇気づけられる思いだ。在日同胞は韓日会談の妥結当時、日本のマスコミから「厄介者」扱いされ、日本の将来に禍根を残す存在とまで言われた。しかし現在では、「国際化を目指す日本の足元を確かなものにする存在」、あるいは「同じ土地に住む兄弟」だと評価が変わってきた。

 民団は韓日関係が極めて険悪な時代から、日本各地に日韓親善協会や日韓議員連盟をつくり、地方自治体や民間団体の姉妹提携を主導するなど、多様な交流を牽引してきた。こうした善隣友好の土壌は、両国関係が決定的に悪化することを抑止する機能を果たしている。在日同胞に対する評価の変化には、韓日の架け橋になろう、多文化共生社会を実現しようとする民団の一貫した姿勢が反映されている。

 禹 韓日間の最も大きな問題は歴史認識の差異、感情の違いだ。韓国は日本に対して加害者と被害者の関係で見ているが、日本は韓国に対して重要なパートナーだと思っている。日本は自らが加害者であるという意識をあまり持っておらず、韓国をワン・オブ・ゼムであると考えている。

 こうしたお互いの認識の違い、その溝を埋めてもっと近しく緊密に接しなければならない相手であると認識するうえで、民団の役割は重要だ。「会わなければ関係も遠くなる」という言葉もある。こうした座談会を用意してくれたように、架け橋としての役割を期待したい。

架け橋から基軸へ進め

 西村 日韓関係はこれから何が必要かというと、垣根のない率直な話し合いだ。そのためには文化を理解することが欠かせない。その意味では在日はトランスカルチュラル、頭でなく体で両国の文化を理解している重要な存在だ。

 「三金時代」の方々は日本の文化について、仕方なしに理解せざるをえなかった世代。今の若い世代は、W杯を契機に両国の文化を自然に受容している。一番相手の文化を理解する必要があるのは、30代から50代ではないか。相互理解のために、民団はその架け橋にとどまらず、基軸としての役割を果たせる。

 朱 韓日両国を父と母に例えるなら、在日は両国の間に生まれた子どもと言えるかも知れない。両国の関係が協力、共存に向かうことを最も切実に願っているのが在日だ。両親がケンカをすると一番苦しむのは子どもだ。逆にお互いに嫌なところがあったとしても、子どものためにけんかを我慢することもある。

 韓日が望ましい方向に向かっているかどうかは、在日がどんな心持ちで過ごしているのか、そのことだけで分かる。両親の問題で子どもたちが苦しむことのないように、がんばるつもりだ。同時に、在日のみなさんも、韓日という両親の関係を取り持つかすがいという側面からも努力をしていただきたい。

在日の役割一段と重要

 白 在日韓国人は今以上にますます重要な存在になってくると期待している。日本の国際化を推進する上で、他の外国人住民の先駆的な存在として、一番重要な役割を遂行する宿命があると思うからだ。

 禹 トルストイの言葉を紹介したい。彼は人生には重要な三つがあると言った。「一番重要な時は、今」で、「一番重要な人は、今一緒にいる人」で、「一番重要なことは、今一緒にいる人のためにすること」だという。私たち4人の40代が年に2回くらい会えるように「4人会」をつくり、次回はソウルで会うことを提案したい。その音頭を民団がとってくれれば、韓・日・在日の輪がもっと広がる。

 西村 次回は食事でもしながらもっと親近感を深めよう。

 朱・白 大いに賛成だ。楽しみにしたい。

 司会 韓流現象は一時的だとしても、人の心は複雑なしがらみを容易に越える一面を見せたと言っていいと思う。今年は「韓日・日韓友情年」でもある。色あせた感のある「韓日新時代」を実質化する出発点にしたいものだ。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

■□
西村 明宏氏

 44歳。自民党衆議院議員、文部科学委員、災害対策特別委員、党国土建設関係団体副委員長、国会対策委員。早稲田大学、同大学院卒

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禹潤根氏

 47歳。ヨルリンウリ党議員、法制司法委員、予算決算特別委員、党院内副代表。全羅大学、同大学院卒

■□
朱豪英氏

 44歳。ハンナラ党議員、倫理特別委員、未来戦略特別委員、法制司法委員。嶺南大学、同大学院卒

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白眞勲氏

 46歳。民主党参議院議員、外交防衛・予算・拉致問題特別各委員、党政策審議会副会長、組織委員会副委員長、日本大学、同大学院卒

(2005.1.1 民団新聞)
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