ＬＧサイエンスパークの起工式には朴槿恵大統領や具本茂ＬＧ会長らが参席した（23日）

17拠点に革新センター

　韓国経済の内外与件が厳しさを増すなか、朴槿恵政府の核心政策とも言うべき「創造経済」の実践プランが動き出した。全国を17市・道単位の圏域に分け、大手企業17社がそれぞれの自治体とともにその地域の新生ベンチャーの起業を促すだけでなく、各地域企業のアイデアや技術を商業化し海外進出を手助けする構想だ。政府は当面の景気浮揚策を繰り出す一方で、基礎体力の向上という長期的な課題への取り組みも本格化させた。

先導型への飛躍めざす

　皮切りは三星が投資して先月15日に発足した大邱創造経済革新センターだ。今月10日にはＳＫによる大田創造経済革新センターも出帆した。今後さらに、釜山＝ロッテ、慶南＝斗山、仁川＝韓進、光州＝現代自動車などのペアがセンターを誕生させる。

　経済活力を首都圏など特定地域に偏らせることなく、各地域の特性に合わせた「オーダーメード型の創業生態系」の拠点を拡大しようとのねらいがある。

　朴大統領は大邱の式典で「この地域の創造経済は、ここ大邱から始まって世界的な企業に成長した三星が強固なメンター、灯台のような役割を果たしながら、新たな発展を築くことになるだろう」と語った。

　この間、担当部署の未来創造科学部の推進力は十分だったとは言えず、拙速政策との批判が起きてはいるものの、大手企業各社はアイデアを凝らし、政府の期待に応えようとしている。

　韓国経済は内需の低迷にともない、企業が貯め込んだ資金を投資に回さず、雇用も減らすという悪循環にあり、世界経済も新興国の成長鈍化にともなって景況感が鈍化している。

　そうしたなかで、センター発足後、三星とＳＫが半導体工場にそれぞれ15兆6000億ウォン、2兆1000億ウォンを投資すると発表したのは、そうした朗報の一つだ。

　朴大統領は大邱、大田での発足式に続き、23日にはＬＧがソウル市江西区の麻谷産業団地に造成する韓国最大規模の融複合研究団地「ＬＧサイエンスパーク」の起工式にも出席した。

　投資額は4兆ウォンと研究開発投資としては、同社創立以来で最大となった。6年後に完工する予定で、年間9万人の雇用創出効果と約24兆ウォンの生産誘発効果が期待できるという。

　起工式で朴大統領は「韓国企業が先手投資と技術革新を通じて、新たな付加価値をつくり出せば、韓国経済が追い上げ型から先導型へと飛躍する重要なきっかけになる」と強調、「ＬＧサイエンスパークは、困難な時期であればあるほど未来に果敢な投資を行い、たゆまぬ革新を追求するチャレンジ精神を示している」と評価した。

　朴大統領が特定企業の行事に足を運ぶのは13年2月の就任後初めて。科学・技術・文化を産業と融合させる「創造経済」の加速化へ、自らテコ入れに乗り出したかっこうだ。

（2014.10.29　民団新聞）