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<文化>演劇人よ批評し合おう 韓日交流へ熱く語る唐十郎さん
「眼を負傷したので」とサングラスをかけて話す唐十郎さん
共に高める関係に 韓国で紅テント公演の夢も

 「何かいいモチーフを見つけたら、韓国で紅テントを張って演劇をしたい」。劇作家、演出家の唐十郎さん(70)は、韓国の李炳柱国際文学賞を受け、9月17日に慶尚南道・河東で行われた授賞式に出席した。韓国の演劇人との交流は60年代後半から。70年代初めには、自身の戯曲をソウルで上演するなど、韓国とは縁が深い。演劇界の重鎮として、両国演劇界の発展に向けて提言する。

李炳柱文学賞日本人初受賞

 李炳柱国際文学賞は、韓国を代表する小説家、李炳柱さん(1921〜1992)の功績を称え設けられた。世界的水準の東アジアの文学者を選定している。3回目の今年、日本人として初の受賞となった。

 李炳柱の作品『弁明』や『冬の夜‐ある皇帝の回想』などを読んだ。

 「解放後の廃墟から立ち上がろうとしている群衆の姿とかを見ながら、そういうものを記録していいものか、あるいはポエムとして歌っていいものかと自問自答する。小説を通じて歴史を記録する者として、非常に自分に厳しい人だと思った」

 小説と演劇という表現方法の違いはある。だが、お互いの作品に向き合う姿勢には、共通性を感じてきた。

金芝河さんと胸襟も開いて

 60年代後半、ソウルで詩人の金芝河さんと初めて出会う。交流を深めるなか、韓国の大学で自身のテント芝居に見立て、幕を木に吊って芝居を披露したこともある。台詞のところどころに韓国語を入れた。「韓国の観客たちは知的で貪欲。韓国語で話すと『そんなのなってない』と笑われた」 また70年代には『二都物語・鉄仮面』を執筆。ソウルで金芝河作の「金冠のイエス」とともに上演した。「金芝河君とは一緒に酒も飲み、よく論争もした。すごい論客ですから」

 日本における小劇場運動(「アングラ演劇」と総称)の先陣を切った。63年、劇団状況劇場を旗揚げ。67年に東京の新宿花園神社に初めて、紅テントを設営した。

 紅テントを建てるまでの5年間は随分と、さ迷ったという。自分の芝居にあった器が見つからなかった。街頭での野外劇や、真夜中の映画館などで行った。あるとき「自分のやりたい芝居の容器がないと、一つの街の演劇にならないと思った」

後継者も育ち楽しみふえる

 唐さんの戯曲を多数上演しているのが、劇団新宿梁山泊を率いる在日の金守珍さんだ。金さんは状況劇場に8年間、在籍した。今年3月には韓国で、「少女都市からの叫び声」を上演。また、唐さん自身の母親を実名で登場させた「風のほこり」は、唐さんが同団のために書き下ろした。05年から毎年、上演している。

 後輩と呼ぶ金さんに「ライバルが出てきた」と話す。

 唐さんは97年10月、横浜国立大学教授に就任。00年に唐ゼミが発足。05年に同大学を定年退職後、「劇団唐ゼミ」と改め、正式な劇団として活動する。

 同団を率いるのは、唐さんが育てた初の演出家、中野淳之さんだ。めきめき頭角を現している。唐さん自身が金さんと中野さんが競うのを、楽しみにしているといったふうだ。

 今後、韓日の演劇人のなかで必要なのは「批評し合う関係」だと話す。 「例えば金守珍の公演を韓国から見に来て、その批評を韓国で書くべきだし、日本人も韓国に渡って、興味深い芝居を見たら日本に戻ってその批評を書く。そういう交流があったほうがいい。でも、まだそこまで両国はいっていない」。批評し合いながら、共に高め合っていく関係になることが重要だと指摘する。

 韓国の演劇人との共演はまだない。機会があれば韓国で、紅テントを張って公演したいとも。「そのためにはもっと、韓国に行かないとだめだな。頑張りましょう」。古希を迎えて、演劇に傾ける情熱は深まるばかりだ。

(2010.10.20 民団新聞)
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