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<寄稿>文化交流の火一層熱く…建築家 團紀彦

韓日中共催で「書・築」展

ブックデザイナーと建築家
「創造の夢」を広げて

 このたびの日中韓共同開催の「書・築」展は、昨年夏に、韓国駐日大使の申珏秀氏と韓国京畿道にある「坡州(パジュ)出版都市」の理事長の李起雄氏、そして私の大学時代の恩師で建築家の槇文彦氏が近い将来、日中韓で本や建築をテーマに文化交流を進めたらどうかという話が交わされたことに始まる。

 それを受けて昨年私は、坡州市を訪れたが、日本にはない素晴らしい発想で本の街が創られていることに感動した。その後、ソウルから慶州にかけての山の中の書院建築や伝統的な村々を見学する機会があり、韓国の建築の伝統が儒教の道徳と学問を重んじる深い精神性に支えられていることを知った。

 その後、この文化交流を具現化するにあたって韓国韓東大学教授で建築家の李大俊氏、中国清華大学でブックデザインを指導される呂敬人氏と日本の建築家である私が協議と検討を重ねて、世界に発信できる展覧会にしようと考えて、ブックデザイナーと建築家のコラボレーションによる「書・築」という考えに発展した。

 建築の空間と、本の世界は一見異分野に見えながら、いくつかの共通点も持っている。本は、その中に様々な想いと願いが込められていて、そして宇宙へと通じる空間の広がりをもっている。

 建築もまたそこに様々な願いが込められるものであり、人間と自然と語り合う狆讚瓠複譯錚磽s)を創り出す可能性を秘めている。この展覧会は、そうした二つの分野のコラボレーションを通じて、それぞれの文化をさらに押し広げることが出来ればとの願いが込められている。

世界からも出展を募る

 さらにこの展覧会は、日中韓だけでなく、広く世界のデザイナーに公募展への参加を呼び掛けている。

 その理由はこれが三国だけの内向きの場ではなく、広く世界にも開かれたものとして、優れた人々と作品が集うきっかけとなればと思ったからである。

 日本と中国と韓国は、同じく箸を使い、お茶を飲み、花を愛して月に想いを寄せる風流の心をもつといった東アジア文化の共通性をもちながら、またそれぞれに素晴らしい独自の文化を醸成させてきた。そしてそこには、文化交流が重要な役割を果たして来たことを忘れるわけにはいかない。

 日本の場合、仏教を例にとると、6世紀に百済聖王から伝えられ、聖徳太子の仏教の師は高句麗僧慧慈であり、唐からも鑑真が来日して奈良に唐招提寺を開いた。奈良や京都は、日本文化の原点であると単純に誤解している人も多いが、都市計画や建築は極めて唐的であり、また仏教彫刻などの文化遺産は多くは百済をはじめ新羅、高句麗の先進文化、そしてその向こうの中央アジアの草原からの文化も伝わっている。

顔の見える友情の輪を

 古代は今よりもよほど日本文化はインターナショナルであったと考えるべきであり、現代のグローバリズムも長い歴史の中で相対化して理解すべきなのである。文化のアイデンティティーは、一つの国家の中だけで狭く理解すべきではなく、東アジアの文化交流における多元的な潮流の一環として理解すべきものなのである。

 かつて日本がそうであったように、自国の文化のアイデンティティーを盲目的なナショナリズムのもとに歴史を歪曲しようとすれば、やがてそれは、不毛な帝国主義へと堕落していくことになってしまう。

 日中韓の今日的な関係は、日本の一部の人々の近代の正しい歴史認識の欠如や、古代から近代史に至る歴史的知識の欠落によって時に悪化する傾向を見せ始めている。

 しかし、過去の文化交流と友情による豊かな関係が消えてしまうわけではないと信ずるものである。

 したがって、このような時だからこそ、文化交流の火を消してはならないのだと思う。たとえ、政治や外交で一時的に気まずい関係になっても、少しずつ小さくてもよいから、顔の見える友情の輪を広げていくことが大切ではないか。

 團 紀彦 1956年神奈川県生まれ。79年東京大学工学部建築学科卒業、82年同大学大学院修了、84年米国イェール大学建築学部大学院修了。99年日本建築学会賞業績賞、02年土木学会デザイン賞、ARCASIA AWARDS07〜08年ゴールドメダル、12年台灣建築奬首奬他受賞。

(2012.10.3 民団新聞)
 

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