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古美術の蒐集通し民族の心伝えた
◆長男が語る鄭詔文初代理事長
20周年迎えた高麗美術館
先月25日、創立20周年を迎えた高麗美術館。朝鮮白磁との出会いから始まった初代理事長、故鄭詔文さんの朝鮮古美術品の蒐集は、1950年から40年をかけて1700点におよんだ。鄭詔文さんの長男で、同館常務理事の鄭喜斗さん(49)に父・詔文さんが蒐集品に託した思いを聞いた。
アボジはオモ二(呉連順同館理事長)と40年間、朝鮮の美術工芸品を蒐集してきました。でもアボジが古美術店から10点の品を預かって持ち帰っても、1点しか買えませんでした。買えなかった品は1万点はあるでしょう。それらの品々は日本や韓国の美術館などに所蔵されています。
1番好きだったのは、古美術店で見つけた朝鮮白磁壺です。玄界灘を越えてきたことにいろいろな思いを持っていました。高麗美術館を建てて4カ月後に他界しましたが、はじめの2カ月間は受け付けで説明を楽しんでいました。
民族教育に情熱を捧げていたアボジは高麗美術館を建てる前、応接室に美術品を置いて、民族学校の子どもたちに説明していました。子どもたちは受験勉強があるからと断ると、勉強より歴史の勉強の方が大事だと話していました。
その当時の子どもたちは今、30歳を過ぎた大人になり、結婚をして、子どもたちを連れて高麗美術館に来ているのです。アボジは20年前に民族の心の種と、歴史の種をまき、その種から芽が出ています。
私がこの高麗美術館を継いでよかったと思うことは、20年前に来た子どもたちのなかに歴史が好きになり、大学で歴史を勉強しているという話を聞いたときです。父の遺志を引き継ぎ、子どもたちに説明をしています。帰化しても自分のルーツを忘れないでほしいという願いがあります。
目で見て触れることが大切です。日本の公立、私立学校、民族学校の子どもたちに見学してもらうためにはまず、社会科の教師に来ていただいて、勉強してほしい。どういう方法で教師に学習していただくか、魅力を感じていただけるか模索しています。
(2008.11.12 民団新聞)
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