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見えない壁を崩したい 原村 政樹(映画監督)

 お互いの出会いがないために、日本人と「在日」との間に多くの見えない壁がある。その壁を少しでも崩したいと、「在日」の映像作品を創ってきた。その過程で100人を超す「在日」から話を聞いた。そして、日本人と「在日」のように、民団系の人たちと総連系の人たちの間にも随分誤解があると感じることがあった。

 映画「海女のリャンさん」は日本人と「在日」が一緒に上映運動をして欲しいと制作を始めたが、さらに民団系、総連系の人たちが一緒に上映活動をしてもらえたらと、いつしか願うようになった。そんなことは夢のまた夢、実現不可能と諦めていたが、上映活動を始めてみると、東京・埼玉・京都・岡山など、何箇所かでそれが実現した。もちろん、この映画の上映で歴史的に深い溝が埋まる訳ではないことは充分承知している。それでも小さな一歩だと、私は純粋に喜んでいる。

 さらに嬉しいことがあった。一昨年、埼玉でこの映画を共同で上映してくださった日本人・民団・総連の人たちが、引き続いて私が暮らす川越の蔵造りの街で、昨年11月、朝鮮通信使のパレードを華々しく実現したのだ。その背後には長年、「在日」との共生のために活動を続けてきた「埼玉・コリア21」という日本人グループの尽力があったと聞いている。「在日」の人たちから日本人のマイナス面ばかり聞かされてきた者として、これほど嬉しいことはない。

 思えば朝鮮通信使は「海女のリャンさん」を創る機会を与えてくださった故・辛基秀先生の共生を願ったライフワークであったことも感慨ひとしおである。

(2006.1.25 民団新聞)
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