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韓国食育の歴史<7> サンチサム
包んで食べる醍醐味

 韓国のサムは遠い昔から、クク、キムチ、チゲと並び、庶民の食を象徴し好まれている品である。『東国歳時記』に、「正月の15日にナムルの葉っぱにご飯を包んで食す。これを『福サム』という」とある。

 各家庭ではこの日に、焼き海苔や乾燥貯蔵しておいた白山菊、唐胡麻などの調理した葉にご飯をのせ、サム醤を添えて、いわゆる福を包んで食べる。豊年を祈願し福を乞う、庶民のこの素朴なサムの風俗は、今日にまで伝承されている。

 葉菜のなかで幅の広い葉はほとんどサムの材料に用いるが、そのなかでもサンチ(チシャ)は代表格になる。サンチはビタミン、ミネラルを豊富に含み、繊維も柔らかい健康的な野菜である。これを2〜3枚、手のひらに広げて、サム醤、魚の煮付けや焼肉を合わせて、両手で包み込んで一口でいただくのが一般的なサンチの食べ方である。

 口を大きく開けてサムを頬張る姿は決して品のよいものではないが、これがサムの醍醐味であろう。食欲のないときでも肉、魚類の料理を一緒に包むことで、必須な栄養分を摂取することが可能である。天下一品料理と自負したい。

 サンチにはまた、睡眠、鎮静効果をもたらす成分(ラクッコピコリン)が含まれていて、食後気だるくなる。美味しさのあまりたくさん食べて、満腹感も手伝って眠くなる。韓国では「嫁にはサンチサムを食べさせるな」という俗言もある。

 サンチサムを食べる姿に対して、『於干野譚』の記録に「大きく開けた口はまるで鐘樓で夜明けの大鐘が鳴り終わるや、閉ざされた南大門が開くが如し…」と表現している。また、李徳懋の『士小節』には、婦女子が口を大きく開ける姿は決して女性らしくない(品がない)ことや、手のひらにのせて、匙と箸を使って包む方法も説明されている。

 このサンチはヨーロッパの温帯地方と、印度北部地方が原産地であるが、中国を通じて韓国に伝来された。文献によればサムを好む食生活のなかで、優秀な育種法が開発され中国に逆輸入され、千金菜と呼ばれた。 今は1年を通して出回っているハウス育ちのサンチは、水分は多くシャキッとした食感はあるが、在来種に比べると厚みのある葉から、かすかに香る苦味は感じられず、また葉を摘み取った跡からにじみ出る白い液も見られない。

 おそらく、韓国の田園都市に立ち寄れば、先人たちが夏の時節食として、こよなく好んだ本物のサンチの味を経験することができるだろう。

料理研究家 姜連淑

(2008.7.30 民団新聞)
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