対南非難トーン強める 北韓の3紙(労働新聞・朝鮮人民軍・青年前衛)は1日、恒例の新年共同社説を掲載した。 「偉大な金正日同志の遺訓を奉じ、2012年を強盛復興の全盛期が開かれる誇りに満ちた勝利の年に輝かせよう」というタイトル通り、金正日への礼賛と遺訓統治の繰り返しに終始する異例なものとなった。 天安艦撃沈や延坪島砲撃をはさみながらも、ここ数年、南北対話を唱えてきたのとは対照的に、対南非難のトーンを上げ、5年ぶりに在韓米軍撤収も主張した。また、ビジョンらしきものは示さず、「人民生活」や「軽工業」に対する言及を大幅に減らした。 ■□ 2大選挙の韓国…揺さぶり意図も 【解説】共同社説は、北韓の年間の国家運営方針を提示するもの。金正日国防委員長の急死から間がないだけに、何らかの変化、もしくは変化へのある種の含みを持たせるのか、注目された。 だが、「偉大な金正日同志が導くことで、首領様(金日成)が創始なさった不滅の主体思想、先軍思想が自主時代の指導思想として光を放つことができ、(中略)我が党と軍隊の威力、国の国力が最上の境地に上り、半万年の歴史でこれまでにない民族繁栄の全盛期が開かれた」とするなど、金正日の《功績》が金日成のそれを超えたとまで称賛する異常さだけが際立った。 金日成死亡後初の共同社説(1995年)では、金日成礼賛は15回、《遺訓》云々は4回だった。今回の金正日へのそれは57回、10回と格段に多い。その上で、「金正恩同志は永遠なる団結の中心」としながら、昨年は4回だった団結という言葉を9回も登場させた。 金正日を先代以上に称え上げ、その遺訓統治と団結を強調したことは、既存路線の固辞を明確にしただけでなく、3代目権力の不安定さと今後の粛清への予兆を示した。 韓国に対しては、「外部勢力と結託し、民族の利益を売り飛ばす事大売国策動を断固粉砕するための大衆闘争の炎を激しく燃え上がらせねばならない」と主張。在韓米軍撤収と合わせて、2大国政選挙を実施する韓国を揺さぶろうとする意図をあらわにしている。 (2012.1.18 民団新聞) |