従北勢力 ゆさぶり頓挫 疑惑提起の言論機関が謝罪 天安艦撃沈事件から1年を迎えた3月26日を前後して、韓国ではその「真相」をめぐって諸説が提起された。 特に興味を引いたのが、「1番」と記入された魚雷推進体に付着していた赤い物体は東海産のホヤであり、西海で起きた天安艦撃沈とは無関係という説だ。これは「オーマイニュース」が3月24日付で報道した。 ここでは、「軍民合同調査団の申想哲元民間調査委員から、魚雷の推進体に付着していた赤いホヤの写真3枚を入手した」とし、「ホヤに間違いない」とする申氏や養殖業者、一部専門家の見解を紹介しながら、「ホヤは西海には棲息せず、東海にしかいない。したがって、魚雷推進体は天安艦事件と関係がない」と断じていた。 総連の機関紙「朝鮮新報」(4月6日付)はこれに飛びつき、「南朝鮮当局の事件調査結果が造作されたものであることを示す新たな資料が相次いで現れている」などと強調した。 だが、オーマイニュースは6日、「赤いホヤ報道を謝罪します」との見出しで、「根拠があいまいな記事によって国民を混乱させたことを心から謝罪する」とし、「オーマイニュースは国防部の調査結果を尊重する」と表明した。また、養殖業者もインターネットで、「自分の発言が想像以上に波紋を引き起こしたことに驚いている。国防部の皆様には心から謝罪する」とした。 騒動の火付け役である申氏は、天安艦事件について座礁説を唱えてきた人物だ。野党・民主党の推薦を受けて軍民合同調査団のメンバーになりながら、会議には1回出席しただけで、「沈没の原因をめぐる政府の調査結果を覆す決定的な証拠がある」と訴えてきた。 国防部は国立水産科学院に依頼し、「赤いホヤ」とされた付着物について遺伝子(DNA)分析を行った。その結果、生物の種類を識別できるようなDNAは一切検出されず、「無生物の可能性が高い」ことが分かっている。 北韓に従属するいわゆる従北勢力はなお、天安艦事件を韓国政府の捏造、あるいは座礁による単なる事故と主張する。これは、国民の間に政府不信を拡散させ、政府に揺さぶりをかけるためだ。 従北あるいは親北とされる勢力は、すでに破綻した世襲独裁体制の維持を民族全体の利益より優先させる北韓政権下で、悲惨な生活を強いられる民衆の実態から目を背けてきた。 天安艦撃沈事件と昨年11月の延坪島無差別砲撃事件について、北側の誠意ある処置がない限り、南北対話には応じられないとの態度を貫いてきた韓国政府に対して、従北勢力は、南北関係の安定よりは北韓の屈服を追い求めるものであり、韓半島の情勢をますます不安定にさせているとして、軍事衝突を再発させないためにも対話が必要だと要求してきた。 これは、「やられた側が悪い」という論法であり、韓国側を北韓の軍事挑発に無条件屈服するよう追い込む圧力になってきた。そのテコの一つが天安艦事件にまつわる《疑惑》だった。しかし、オーマイニュースの謝罪によって、従北勢力の期待はまた一つ、頓挫を余儀なくされた。 (2011.4.15 民団新聞) |