日韓文化交流基金の設立30周年記念事業「日韓女性作家による自作朗読と鼎談『ことばの調べにのせて』」が15日、神奈川近代文学館で開かれた。 韓国で人気の直木賞作家、江國香織さんは『前進、もしくは前進のように思われるもの』を、日韓文化交流会議の韓国側委員を務めた鄭梨賢さんは、1995年6月29日の起こった事故を題材にした『三豊百貨店』をそれぞれ読み上げた。 作家の辻原登さんを交えた鼎談では、江國さんが「20枚の短編に5種類の時間が入っている。読みながら旅に出たような気持ちになった」と感想を述べ、辻原さんは「旅に出たというのは、黙読では味わいにくい」と話した。鄭さんは『三豊百貨店』の執筆に取りかかる動機を説明し、物語で「Rという名前がつけられた友だち個人ではなく、Rという名前さえつけられることのなかった多くの人々に対する追悼にしたい」と思いを語った。 江國さんが韓国語の印象について「末尾の『〜タ』というところがすごく綺麗だなと思った」という話に参加者は一様にうなづいていた。 (2013.12.25 民団新聞) |